時代小説 ザ・ベスト2019 (集英社文庫)

制作 : 日本文藝家協会 
  • 集英社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087458947

感想・レビュー・書評

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  • 目次
    ・一生の食 吉川永青
    ・春天 朝井まかて
    ・津軽の信長 安部龍太郎
    ・安寿と厨子王ファーストツアー 米澤穂信
    ・扇の要 佐藤巖太郎
    ・夫婦千両 中島要
    ・黄泉路の村 矢野隆
    ・沃沮(よくそ)の谷 荒山徹
    ・大忠の男 伊東潤
    ・海神の子 川越宗一
    ・太鼓橋雪景色 諸田玲子

    私の中では、ある程度史実に基づいたフィクションが歴史小説、過去のある時代を舞台に名もない人々の生活を描いたものが時代小説、と分類していたのですが、この本では区別なく収録されていました。
    それは”あくまで、「時代」とは、時代小説や歴史時代小説の「時代」ではなく、「現代」の舞台背景と区別するための意味”だからだそうです。

    それにしてもいろんな時代小説があるものです。
    魏と高句麗の戦いを背景にクトゥルフ神話を描いた『沃沮の谷』や、明や平戸島の松浦氏と海上貿易の主導権を争う倭寇を描いた『海神の子』、有岡城から解放された黒田官兵衛の昏い安楽椅子探偵ものなど、時代小説の概念が吹っ飛ぶようなラインナップ。

    その中でも断トツに異端なのは、『山椒大夫』をモチーフにした米澤穂信作品。
    弟である厨子王の命を救うために入水した安寿は、結局命が助かり、彼女の歌う「鳥追い歌」は民衆の心をとらえ、彼女の歌姫としての才能は、山椒大夫に富をもたらした。
    っていうストーリーはさておき、その文体よ。
    筒井康隆?って思っちゃったわ。

    『津軽の信長』である津軽為信のことはこの作品で知ったけど、高橋克彦の『天を衝く』で知った秀吉に喧嘩を売った男こと九戸政実がちらっと出てきて嬉しかったな。

    一番時代小説らしいのは『夫婦千両』。
    庶民のささやかな話なんだけど、どう展開するのかどきどきしながら読みました。

    このシリーズは毎年出版されているそうなので、他の年のも読んでみたいけれど、何しろ読みたい本が目白押しだからなあ。
    ご縁があったら読みましょう。

  • 小説現代2018年2月号吉川永青:一生の食、3月号朝井まかて:春天、オール讀物2018年4月号安部龍太郎:津軽の信長、ミステリーズ5月号米澤穂信:安寿と厨子王ファーストツアー、オール讀物7月号佐藤巖太郎:扇の要、小説宝石7月号中島要:夫婦千両、小説現代8月号矢野隆:黄泉路の村、ナイトランド・クォータリーvol.12荒山徹:沃沮の谷、野生時代12月号伊東潤:大忠の男、オール讀物12月号川越宗一:海神の子、オール讀物12月号諸田玲子:太鼓橋雪景色、書下ろし雨宮由希夫:現在に過去を見出し、過去に現在を見出す、の12編を2019年6月集英社文庫刊。文庫オリジナル。2019年の時代小説ベストというのが面白いです。どういうルールで選んだのかわかりませんが、多彩なのは確かです。ベスト2020もあるので、そちらでも、選択ルールを確かめてみます。

  • 諸田玲子さんの作品が好き。

  • 米澤穂信の異色作と、川越宗一が出色。

  • 時代小説ザ・ベスト2019。

    なんといっても「安寿と逗子王ファーストツアー」の衝撃。
    まず元ネタとなった「安寿と逗子王」自体を知らないのですが、知っていれば彼女が「ほうやれほ」の触出で歌い出したとき何を思ったでしょうかね。
    あの安寿がこうなっていくのか、という感慨を得る事ができなかったのは、楽しみの一つを無くしてしまいましたよ、残念。

    「春天」「太鼓橋雪景色」の二つは、果たせなかった恋の思い出を過去語りする形ながら、違う結末を迎えるのが読後の比較となって良かったです。
    別れてしまった二人が、再び巡り合う「春天」。戻れない過去を悔やみながらも、道は続いていることを気づかされる「太鼓橋雪景色」。
    どちらも、形は違えど新しい未来への扉を開く形で終わっているのが気持ちよかったです。

  • 米澤穂信さんの「安寿と厨子王ファーストツアー」。発想が秀逸!
    アンソロジーは、今まで知らなかったさっかさんをお手軽に知ることが出来て、良い。

  • SFっぽいのが多い。
    『春天』『安寿と厨子王ファーストツアー』『海神の子』『太鼓橋雪景色』が良かった。

  • 米澤穂信さんの作品を読むために購入。

    言葉遊びがなかなか面白くて、次は何が出てくるかなとワクワクしながら読んだ。

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著者プロフィール

日本文藝家協会(にほんぶんげいかきょうかい)
昭和21年(1946)、作家、劇作家、評論家、随筆家、翻訳家、詩人、歌人、俳人等、文芸を職業とするものの職能団体として誕生。大正15年(1926)に劇作家協会と小説家協会とが合併、設立された文藝家協会を前身とする。戦後、「社団法人 日本文藝家協会」として生まれ変わり、文芸家の権利を守るだけではなく、日本の文芸文化全般の隆盛を願って活動を続けている。


「2023年 『文学2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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