石川くん (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.65
  • (50)
  • (78)
  • (102)
  • (13)
  • (3)
本棚登録 : 604
感想 : 103
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087461534

作品紹介・あらすじ

「啄木の短歌は、とんでもない!」と糸井重里さんも驚嘆。親孝行で清貧という石川啄木のイメージは大誤解だった!?本当は仕事をサボって友達に借金をしては女の人と…。そんなサイテーな、だけど憎めない「石川くん」をユーモラスに描いた爆笑エッセイ集。"一度でも俺に頭を下げさせた/やつら全員/死にますように"など、啄木の短歌には衝撃の現代語訳つき。朝倉世界一の可愛いイラストも満載。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 詩心の全くない私は、短歌も俳句も詩もほとんど解さない。よって当然だが啄木にも親しんでこなかった。

    そんな私が、娘の「バイト先のカフェのオーナーが石川啄木のひ孫みたいだよ」の一言で、俄然興味を持って読んだのが本書。
    どうやら、正しくはひ孫ではなく血縁関係があるみたいだけだったが・・

    それにしても、本書を読んで驚いた。いや、驚いたなんてものではない。このゲスっぷりはただことではない。詳しくは書かないが、教科書的な芸術活動に励むも貧しさに負けて夭折した天才、みたいなイメージはガラガラと崩れる。ここまで徹底してゲスだと、アッパレと言いたくなる。

    おそらく世の中と多くの人は啄木のホントの姿を知らないのではないか。恐るべし啄木。

    と、ここまで書いて、もしかしたら本書の筆者のバイアスが相当かかってる可能性もある事に気付いたので、ぜひ「ローマ字日記」と「一握の砂」を読んでみたい。

  • 「石川くん」とは石川啄木のこと。短歌でありながら、口語に近い、わかりやすい言葉を用いて、世間の人を驚かせた石川啄木。しかし、当時の言葉は今聞けば十分に難しい。そこで、歌人の枡野浩一がさらにわかりやすく今の言葉に変えて詠み直してみました、というもの。これが非常に面白い。例を挙げてみると、こんな感じ。

    啄木のもとの歌:「一度でも我に頭を下げさせし 人みな死ねと いのりてしこと」
    著者の詠み直し:「一度でも俺に頭をさげさせた やつら全員 死にますように」

    数々の短歌とともに、親しみを込めて語られる啄木の素行。茶化しているふうではあるけれど、そこには愛情も感じられます。読めば石川啄木という人に興味を惹かれる本。

  • 面白かった

  • 歌人枡野浩一が、石川啄木の短歌を現代文に訳しながら、啄木の人となりについてこき下ろす。愛情の裏返しだとしても、ここまで貶すかというほどの貶し方。短歌からは想像できないが、酷い人間だったようだ。

  • 再読。やはりくだらなかった。でも衝撃的な部分もあってびっくり。その部分を読まないうちに人に勧めてしまったけど大丈夫だろうか。。やっぱり本物を読みたくなった。

  • 教科書にも載る立派な石川くんの実は…な駄目っぷりに人間てこんなものだよなーって思う本。

  • 友達のように呼びかける、石川くん、と。

    某石川啄木のアニメをみたのがきっかけで読む。自身も歌人である著者が石川啄木に送る手紙のように、石川啄木の歌や人生について書いた連載をまとめたもの。石川くんもヒドイし、著者のコメントもヒドイ。でも、包み隠さず生きるというのは石川くんのような生き方なのかもしれない。だから、石川くんにヒドイことを言いつつ、石川くんを嫌いにはなれない。

    一番好きな歌は「こころよく 我にはたらく仕事あれ それを仕遂げて死なむと思ふ」

  • 枡野氏の「石川くん論」が本当なら、プライベートの石川啄木は、どうしようもないダメ男だったんだなと思いました。

    石川啄木には金田一京助という親友がいて、何かと石川啄木のサポートをしてくれます。私が以前読んだ本に、『カフカはなぜ自殺しなかったのか?』がありますが、カフカもよい友達に恵まれて、精神的に支えられたり、自作を世に出す手助けをしてくれたりしたようです。天才として名を残すには、友達運に恵まれることが重要になってくるのでしょうか。あるいは、一見、人間的に大きな欠点があっても、何か他の人を強く引き付ける魅力があって、よい友に恵まれるのでしょうか。

  • なんだろな、ノリが合わなかった…?のかな
    書いてある内容はわかりやすく、なるほどと思います

  • 確か、トヨザキ社長書評集でのオススメから。これ、ネット新聞連載の文庫化なんですね。記憶に残っていた啄木作品は、ここに収められた中のほんの数作だったけど、それは教科書に載るような、格式ばった風味の漂うものばかり。軽いノリのものとか、色々あるんですね、実は。愉快な解釈による部分が大きいのだけど、かなり啄木が身近に感じられるようになりました。イラストがまた良かったです。

全103件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

一九六八年東京都生まれ。歌人。雑誌ライター、広告会社のコピーライターなどを経て一九九七年、短歌絵本を二冊同時刊行し歌人デビュー。短歌代表作は高校国語教科書に掲載された。短歌小説『ショートソング』、アンソロジー『ドラえもん短歌』、入門書『かんたん短歌の作り方』、『毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである 枡野浩一全短歌集』など著書多数。目黒雅也や内田かずひろの絵と組み、絵本・児童小説も手がけている。

「2023年 『おやすみ短歌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

枡野浩一の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部みゆき
劇団ひとり
伊坂 幸太郎
桜庭 一樹
万城目 学
伊坂 幸太郎
伊坂 幸太郎
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×