君に舞い降りる白 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 141
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087462135

作品紹介・あらすじ

もう誰も、好きにならない。鉱石店でアルバイトをする大学生の修二は、そう心に決めていた。しかし、店に来る少女・雪衣のことが少しずつ気になり始める。次第に距離を縮めるふたりだったが、彼女は自分の素性を一切話さない。だが、ついに彼女が隠していた秘密を知っていしまう。その時、修二は-。人を深く想うということを描いた、心に響く美しい青春小説。

感想・レビュー・書評

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  • 清々しい読後感の恋愛小説。
    幸せな未来を感じさせる余韻がいい。
    傷つきながらも、新しい世界へと踏み出す登場人物すべてに声援を送りたくなる。

    鉱石店「石の花」のスタッフと、お店を訪れる過去に大きな傷を抱えた人たち。
    その誰もがお店に安らぎと居心地のよさを感じているが、やがてはそれぞれが自分の問題と向き合い、未来へと一歩を踏み出す。

    鉱物を取り扱うお店「石の花」。
    山入水晶、緑鉛鉱、クリソコラ、菊花石、蛍石など、聞いたことのないような名前ばかり。
    自然が創りだす造形美ってすごい!

    章ごとに描写されている想いに切なく苦しくなる。
    相手を思うあまり突っ走る主人公の姿には若者ならではの瑞々しさを感じたし、作品を通して誰かを深く想うことの尊さを感じた。
    優しく爽やかな恋愛小説でした。

  • 2020/07/31
    10年くらい前に読んだことあったけど、借りた本だったので、自分の手元に置いておきたいという意味も込めて買い直し、からの読み直ししました。
    佐川ミネラルという鉱物販売店でアルバイトをする修二を主人公にした、彼と彼の周りの人たちの織りなす話。
    簡単にいうと、結構修二がリア充。
    鉱物販売店で思い浮かべるイメージは地味だったり、静かだったりそんな感じなのに、この本の設定に出てくる人物たちは男女ともにキャラが魅力的。設定も高レベルになっていると思います。
    鉱石販売店のアルバイトでこんなこと経験できるなんてあるのかよ…と思いつつ、そのギャップがまたいいのかもしれません。
    色々と暗くなる場面も出てきますが、読み終わった後のすっきり感はこの人の作品に共通しているような気がします。

  • 冒頭の雪衣の美しさに惹かれて。
    登場人物の心の傷が深いけど、結果としてみんな前を向いて進んでいく。
    鉱物好きなので、色々想像も膨らんだ。
    恋愛物だが、重すぎず軽すぎず、ちょうど良かった。
    読後感が爽やか。
    恐らく関口尚作品を読むのは初めてだと思うが、他の作品も読んでみたくなった。

  • 素晴らしい。
    心洗われる一冊。
    清々しい読了感。

    ありきたりなお涙頂戴ハッピーエンドではない。

    心の描写がとても綺麗である。
    人、誰しもが持つ過去。それに対峙する葛藤。克服と妥協の狭間、その過程。

    まて、鉱物店を選んだところも中々にくい。

    まるで、私小説のような近しさを覚える。読み返したくなる一冊でした。

  • 表紙がとてもきれいで、タイトルもなんかすごくきれいで思わず買ってしまった本です。
    あらすじを読むと大学生の恋愛話ということで良いなと思ったんですけど、鉱石店というのがいまいちピンとこなかったです。
    読んでみると盛岡が舞台の話で嬉しくなりました(今私は盛岡の大学生なので)。知っている地名とか出てきたりして、情景が思い浮かべやすかったです。

    3部構成で主人公の恋愛模様、アルバイト、周りの人達といった感じで話が進んでいきます。読んでて続きが気になってしまうというか、ついつい入り込んでしまうような話だと思いました。面白かったし、終わりがすっきりしていたので良かったです。

    話に出てくる石の描写がとてもきれいで、私は全然石に興味がなかったんですが、思わずネットでどんな石なのかなって調べてしまいました。

  • 前読んだとき(2〜3年前?)は「あんまり面白くないなぁ」って思ったんだけど、今回読んだら良かった。
    こういうことがあるから読書って面白い。

    雪衣の物語と3つの章のそれぞれの物語が進んでいって…希望のあるラストにつながります。

  • 前半は少しダラダラ感じてしまった。が、それが後半全て持っていかれる。スルメみたいな本。個人的に前半ダラダラ感じる本は後半ハマる。

  • 前半の方を読んでみて、勝手にSF的な話の展開を想像していたけど全然そんなんじゃなかった
    石の花を中心にそれぞれのストーリーが混じりながら展開されていく、ほっこりする小説

  • 感想
    どれだけ待てるか。自分だって距離を詰めたい。でも相手に信頼してもらわなければ。いつだって恋愛は相手のあること。自分だけで完結しない。

  • もう10年前に、大学進学のために上京して家を出ていった息子の部屋の本棚にあった一冊。切なく、でも輝いていた青春小説。

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著者プロフィール

1972年栃木県生まれ。茨城大学大学院人文科学研究科修了。映画館の映写室でアルバイトをしながら小説を執筆し、2002年『プリズムの夏』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。07年には『空をつかむまで』で坪田譲治文学賞を受賞。他の著書に『ブックのいた街』、『はとの神様』、『ナツイロ』、『シグナル』、『潮風に流れる歌』などがある。

「2018年 『サニー・シックスティーン・ルール』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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