- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087464443
作品紹介・あらすじ
初めてだった。男から、そんな目で見つめられたのは-。家族を置いて家を出た母が死んだ。葬式で母の恋人と出会った「私」は、男の視線につき動かされ、彼の家へ通い始める。男が作ったベーコンを食べたとき、強い衝動に襲われ…表題作ほか、人の心の奥にひそむ濃密な愛と官能を、食べることに絡めて描いた短編集。単行本未収録の「トナカイサラミ」を含む、胸にせまる10の物語。
感想・レビュー・書評
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食べ物がタイトルとなった短編が10篇。
婚姻外の男女の関係がたくさん出てきた。全て明確な終わり方をするわけではないので、着地点がよくわからず不思議な感覚になった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ミートパイとか、カツサンドとか。
煮こごりとか。
ご飯をテーマにした話なんだけど。
私が今まで読んできたご飯の話は、どれもほんわかしているものが多かったけれど。
この本は、どれもなんだかディープ。
題目と共にある判子がとても可愛い。
“何かを食べたい、ということは、
誰かを抱きたい、ということだ。” -
面白い短編集でした。
特にトナカイサラミが好きでした。 -
思っていたよりずっと官能的‥食べるも愛するも本能で、理屈はいらないのだと思う。
あと、男と女はタイミングが全て。 -
ベーコン、ほうとう、煮こごり、水餃子などの食べ物をモチーフに、10歳の少女から60過ぎの老人までそれぞれの、多くは不倫関係にある男女の、人生の断片を描いた短編集。
日曜にだけやってくる男を待つ女(ほうとう)、会社で倒れた後、体調は戻ったのに出社できなくなった男(クリスマスのミートパイ)、謎の老人の死を巡り右往左往する女たち(煮こごり)…。
「煮こごり」の中に『針の先ほどの空白のようなもの。それが何なのかは謎だった。自分がこうまで焦がれるのはそのせいとも思えたし、あるいは焦がれるということは、相手の中にそのような空白を図らずも見つけてしまうということなのかもしれない』という件りがあるけれど、不倫を取り巻く人間模様の、空白感、空虚さ、曖昧さ、不確定さ、あるいは大人の割り切り、みたいなものが全編を漂う。
普通の主婦が見知らぬ青年と関係してしまう「アイリッシュ・シチュー」の艶かしさったら何とも言えないけれど、しかしこうも不倫の話が続くと最後は少々ぐったりではありました。。。 -
はっきりとした感情が書かれず、ゆらゆらしているのにしっかり胸に突き刺さる、寂しく苦しい恋愛の短編集。
救いがあるような無いような、なんとも言えない切なさが残った。
井上荒野さんの作品は何冊か読んでいるけれど、この読後感がたまらない。
静かに燃えている感じ。
料理のタイトルが並ぶ短編集。
普通ではない歪な恋愛を描いているのに、知らない世界なのにどこか共感してしまう不思議。
江國香織に似ている気がする。
どれも面白かった。 -
料理の描写が秀逸。後味は悪い。
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どれも不穏な味わいの短編。
食べ物がおいしそうだったり苦そうだったり。
カツサンドとか煮こごりとか、食べるときに思い出しそう。 -
食べ物が美味しそう、不穏な感じがよい