「イタい女」の作られ方 自意識過剰の姥皮地獄 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087465181

感想・レビュー・書評

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  • 自分は男なのだが、男社会の中でどうにもこうにもやっていけないと感じることがとにかく多かった(というか、まさに今)。なので本書の4章、太宰治について論じられている部分は正に「我が意を得たり!」といったところ。そうなんです、女性的なんですよ!(ただ、自分との類似性故に太宰を嫌ううさぎ氏に対し、自分はむしろ類似性故に太宰に好感を持った口なのだが)。
    本書で論じられているのは主に「イタい女」の話。でも結局「イタい男」も「イタい女」と構造としては同じ。女は横並び、男は上下関係の社会に生き、男は「装着せよ、強き自分」、
    女は「装着せよ、ダメな自分」を唱えるからこそ、そこから逸脱している人間はとかく生きづらく、「イタく」なってしまうのだ。そして本書の言う"姥皮"(所謂"謙遜"?)は、横並びの社会で生きる女が生み出したいわば必殺技である。
    うさぎ氏の結論は一点集中型の"恋"ではなく、より広範囲の"愛"で生きるべし、とのことだが、自分が考えたのはむしろ、男と女がそれぞれの世界での常識から逸脱して状態で生きていくのがいかに辛く大変か!ということ。「イタい」男や女にならないようにすることも大事だが、もっと多様な選択肢の下で生きられる社会になってほしい。

  • 「姥皮」についての言及や、腐女子、ゴスロリ少女についての考察は面白いが、後半がややトーンダウンか。

  • 著者の中村うさぎさんの定義によると、自分の価値を過剰評価して自信過剰で自意識過剰に陥ってしまっている女性が「イタい女」で、どうすればそのような「イタい女」にならずにすむかということを解説しています。中村うさぎさんの本はこれまであまり読む機会がなかったけれど、ストレートで分かりやすい説明が多くてすらすらと読めました。自分も自信過剰で自意識過剰の「イタい女」にならないようにしなくては、この本を読んでそう感じる女性が多いかも。

  • 姥皮わかるーすごくわかるー。女なら、姥皮のむず痒い感覚はある程度身を以て知っているはず。しかし姥皮をかぶっている(いた)からといってイタくない人間であるとも思えず、姥皮をかぶりつつも何かのイタさにも足を引っ掛けているような気がして、己を振り返りゾクリとする。自分のことをきちんと客観視していきたい、いろいろなことを弁えて生きていきたい…それらの何と難しいことか。

    面白エッセイを読んでいたつもりが気がつけば哲学書だった的うさぎさんエッセイ。

  • 中村うさぎって偏ってんなー

  • 中村氏のエッセイはこれまでいくつか読ましていただきましたけれども、今作もまた、面白かったですね! 男向けか女向けなのか定かではないのですけれども…まあ、男の僕が読んでも面白かったのだから、性別問わず楽しめるでせう!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    僕もどちらかと言えば「イマドキの男」に分類される年齢ですので、著者がおっしゃっていることはよく分かりました。逆に「バンカラ」だの何だの、他にも過去にカッコイイとされていた男共の例が出てきましたけれども、むしろそちらの方が僕的には分からなかったですねぇ…もう僕が学生時代を過ごした頃などには「不良」などと呼ばれる存在は居なかったですから…また、そういった者をカッコイイとするような風潮もなかった…ので、中村氏が定義する草食男はよく理解できました…!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    巻末に収録されている松野氏との対談も良かった…のですけれども、松野氏の変人っぷりには少々度肝を抜かれたと言うか、ぶっちゃけ引きました(笑)

    エヴァとか太宰治とかを参考にして日本の男の内面の変化、みたいなものを取り扱っているのは興味深かったですねぇ…と書いてさよなら。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • 女のイタさは痛いほど伝わってきた!こういう人いるよねーって思う!姥皮の話も納得!でもなんか話の繰り返しが多かったかな?

  • ≪内容覚書≫
    中村うさぎが「痛い女」について語るエッセイ。

    ≪感想≫
    なんだか妙に共感できてしまった。
    喜ぶべきか悲しむべきか。

    女子の生態をわかりやすくまとめてくれている。
    男子の生態も、なるほど、そういうことなのか、と納得。

    男女はやはり違う生き物だと再認識した。


    女子の行動がわからない男子が読んだら、良い勉強になるのかも。
    ぜひ男子の感想を聞いてみたい、と思った作品。

  • 『イタい女』『自意識過剰』
    どちらも自分に心当たりのある言葉で、きっと私みたいな女に対して心改めるよう色々書いてある本だと判断し、恐る恐る本を手にしたのですが…タイトル最後の姥皮って一体何だろうか?

    本を読む目的は一転し、「デブのモテ自慢はイタイ」「整形女の年齢サバ読みはイタイ」という言葉に対して一切心を痛めず読み進めると謎が解けました。

    『姥皮』とは日本の民話に出てくる被ると醜い老婆になる魔法の衣で、
    美しい娘に対しヤマンバが他の女から妬まれないようにとか言って渡したものだそーな。

    うさぎさんはその『姥皮』を美人がよく言う「美しいだなんてとんでもない」といった謙遜を指す言葉として使い、
    女社会の「ネタミ、ヒガミ、ソネミ」から身を守る為に装備しなければいけないけど、男から愛されるためには脱いだ方がいいと言ってます。
    なるほどー

    姥皮の謎(というか私が無知なだけですが)が解けた所でイタい女や自意識過剰といった面にフォーカスして読んでみましたが、
    モテるモテないだの、愛される愛されないだの、恋愛市場の話ばかりで
    「そんな毎日恋愛の事ばかり考えてないですっ!」とツッコミを入れようとしたら……
    うさぎさんご本人が第9章で『私は「イタい女」を考察するにあたって、あまりにも「恋愛市場的価値」にこだわり過ぎたかもしれない……』とツッコミ入れてました。
    流石、ツッコミ小人をたくさん飼ってるだけの事はあります。

    第9章以降は真面目に恋と愛の違いなどを語っていて、正直うさぎさんの文章じゃないみたいと思ってしまいました。けど感動しました。

  •  「姥皮」が怖い。そうか、ああいうのそうだったんだと実感。
     序盤は笑えるけど、後半の視線はやさしい。枡野浩一とはまたナイスチョイスなあとがき対談を読めば、中村うさぎが氏の観点がはっきりと見え、面白い。

     姥皮について。
     自分も被ってるとは思うんだけど、姥皮の行き着く先は「自己しか居ない世界」なのかと。
     明らかに自分の方が優れているのに「自分を卑下し他人を評価する」のを見たことがある。それものすごい失礼かと思うんだけど。魂まで姥皮被ってると、イヤミじゃなくて本人にとっての現実で。自分が優れているのが認められない。自分が幸せじゃないんだろうなぁと感じた。
     姥皮が社会生活を円滑に行かせるためのツールかと思うけど、それにより自己が縛られてしまうという恐ろしさ。それよりは、自慢人間の方がいいとは思うけど、きっと出る杭が打たれた故の行動なんだろうな。

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著者プロフィール

1958年2月27日生まれ。
エッセイスト。福岡県出身。
同志社大学 文学部英文学科卒業。
1991年ライトノベルでデビュー。
以後、エッセイストとして、買い物依存症やホストクラブ通い、美容整形、デリヘル勤務などの体験を書く。

「2017年 『エッチなお仕事なぜいけないの?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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