- Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087467963
作品紹介・あらすじ
愛する夫を事故で失った茉莉。傷ついた心を抱え、幼い娘と福岡からパリ、東京へと移り住む。
娘を育てながらバーで働き、男たちと交際しつつも、幼馴染みの九と、いつもどこかでつながっていた。
やがて福岡に戻った茉莉を、不思議な運命が待ち受けていて―。
男と女はわかりあえるのか?
半世紀にわたる男女の魂の交歓を描いた一大長編。
感想・レビュー・書評
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下巻読了20240502 感想は『?』
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ひとりの女の子の一生をみた
なにも変わってないようで、時間分しっかり変わっているようでもある不思議な感覚
左岸は九サイドか〜読まなくてもいいかな… -
こんな簡単に好きになったり何も感じなくなったりできるものかな
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2019年に読んだシリーズ。4冊も続いてたから登場人物への感情移入がものすごかった記憶。
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上巻読んで読むのやめようかと思ったけど、きづいたらまりちゃんがどうなっていくのか気になってる自分がいて読了
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やっぱり愛されたいよね。
そして愛したいよね。
純粋すぎるがゆえの1人の女の子の歴史を見た気がした。
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目次
6 一杯のお酒にできること
7 パパとママと惣ちゃん
8 再び、恋におちる
9 運命の歯車、アミとさき
10 うったうったうー、再び
なぜ茉莉ちゃんに恋をしたのか 辻 仁成
p.57
まんまと計略にはまることになった。恋に落ちたと言うわけではなく、男と女の友情を覚えてしまった、という意味だ。それは安心なことだった。安心で快適で、まさに「豊かなたのしみ」だった。もっとも、その後茉莉がインドネシア人留学生のバウルスとの間にも同種の友情を築いたとき、志津夫は薬がききすぎたと言わんばかりに苦笑していた。思いだし、茉莉は微笑む。
フィリップからもバウルスからも、たまに手紙がくる。どちらも、茉莉にわかるよう平坦な英語で書かれており、どちらもしかし、ハンドライティングの文字に癖があって、ところどころ判読しづらい。そして、どちらも決っておなじ文句が書かれている。会えなくて寂しい。その言葉の軽さは、茉莉を喜ばせる。重い言葉より軽い言葉の方に、真実はむしろ宿るからだ。
p.104
「アンブローズが何よ」
勇気が湧き、声にだして言ってみた。ふふふ、と、新が笑った。
「イギリスが何よ」
暴言だと知っていた。猫を膝にのせた、あの喜代の満ち足りた表情ーー。でも喜代は帰ってきた。それもまた事実だった。
p.207
店に、男ばかりのグループがいた。全員が背広姿で、全員が酔っ払っていた。青年と中年のあいだみたいな、うだつの上がらない男たちだった。思いだし、茉莉は苦笑する。財布に子供の写真を入れていて、でも子供をお風呂に入れたことはない、という感じの男たち。なかの一人は、しかしひとり暮らしだった。茉莉もいまではそれを知っている。
誰一人魅力的ではなかったし、誘い方も下手くそだった。笑い声ばかり大きくて、笑のどさくさまぎれにしか、体に触ることもできないのだった。
■すごい毒舌だ。苦笑
p.243
二度目のソムリエ試験に茉莉は落ちた。試験に落ちることにはすっかり慣れているとはいえ、今回は内心自信があったので、落胆した。
p.284
「ポスト・デサンス」仏語ガソリンスタンド -
愛に生きるって素晴らしい。
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よくもまぁ次から次へと…と思いつつも共感もでき、結果…いい話でした✨
先に読んだ右岸の“裏”を確かめる事ができるので、そういう意味でも面白かったです。「私は自分のものしか愛せない」印象に残る茉莉の一言でした。