みどりの月 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087475838

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  • みどりの月
    幼少時に発達障害を疑われていた主人公。
    療養で日記をつけることを習慣にさせられて以来、次第に未来日記を書くようになっていた。だが、そこに書いたことはもちろん中々実現されず、実現されなかったために、主人公は自分が今生きているこの人生は間違いで、本当の未来はどこか違うところにあるのだという認識が拭えなくなってしまう。
    けれど奇妙な同居生活を経て、ようやく何一つ思い描けない場所を、予定外の自分を、みてみたいと思えるようになる。

    かかとの下の空
    離婚目前の若い夫婦がアジア放浪の旅先で、ヤバイ女(マリコ!)に出会ってつきまとわれ続ける話。

  • 軌道を修正しながら人生を歩む女性が主人公の話と、タイの放浪話
    一話目は大変客観的な描写で、言葉で一つ一つの動作をこんなに具体的に表現できる物なのかと思った。
    二話目は割と抽象的な話、聞いたことある街名があったところはリンクできた。

  • キタザワもマリコも、オレンジの巻きスカートの女も苦手だ。
    読み始めてすぐに思った。ルーズで、グダグタで、図々しくて、

    「しっかりと」「普通はこうでしょ」ルールに縛られがちな自分を彼らは遠くの方でニヤニヤ笑っている気がするから(とんだ被害妄想だけれど)

    南も「私」も彼らに対してしっかりと(?)苛々するしそれを行動や言葉にするのだけれど完全に拒絶するわけではない。
    そこが読んでいてもやもやするし、苛々するし、でもそうそう、実際そうなんだよなぁとも思う。

    気になる、待っている、厚かましくてルーズな彼らのことを私も。

    苦手な人、自分とは相容れない人と関わった時、その時の気持ちを「ムカつく」「〇〇な気持ち」とか簡単に整理することも行動に移すことも現実は難しい。
    嫌だな、苦手だな、訳わからないなと思いつつも惹かれる、姿を探している。
    形容し難い気持ち達に折り合いをつけながら生きているんだと思う、私たち人間。

  • 『みどりの月』と『かかとのしたの空』
    という2つのお話。
    2つのストーリーは全然違うのに、どこかリンクしている気がした。

    「かかとのしたの空」での、荷物の描写は面白かった。
    旅に出る前は、
    【捨てるのは一瞬で、手放したとき自分がむりやり背負わされていた重い荷物を勢いよくおろしたような物理的快感があった。】
    と晴れ晴れした気持ちだったはずなのに、
    旅に飽き、疲れがたまり、「思ってたのと違う」と気づき始めた頃になると、
    【それでも荷物は重かった。疲れが癒えることはなかった。不要なものを捨てたぶんだけ、同じ大きさの、倍の重さの何かが入りこんでいるように感じられた。帰りたいとは思わなかった。ただ何かが噛み合わないのだった。】
    と真逆の捉え方になっていた。

    分量が少なくて読みやすそうと思って手に取ったけど、
    登場人物が皆それぞれに「諦め」とか「逃避」に走っていて、でも結局現実からは逃げられない。読みながらもやもやして、読後もすっきりしなかった。

  • 同棲する事になった男のマンションに実は戸籍上の妻が住んでいたと言う角田ならではのあり得ない設定の話とアジアを放浪する男女の話の2話。

  • 若い4人が暮らすマンションでの物語で。

    ①主人公の恋人

    ②恋人の遠い親戚(送か枯れてはいるが、実際戸籍上は妻)

    ③その女の恋人(だらしない)

    ④主人公!


    20代とかそこらへんて、過渡期というかモラトリアムというか

    思春期とはまた違ったゴチャゴチャしている期間なのかもしれない。

    でも、きっと30代で自立してもドロドロしちゃうだろうし。

    40歳になって迷うのもイイと思う。

    あー、これ以上書いていると、論語を台無しにしてしまう…


    幸い(もしくは不運にも)、今の自分はゴチャゴチャした生活になっていないけれど

    もう少し、立派なへらへら人間を目指して、日々モヤモヤと精進してゆきたい。

  • 短編が二編、どちらにも品のない女性が出てくるのだけど、読むのがしんどかった。旅先でのマレーシアやバンコクの生ぬるくて湿気のある空気感がすごい。読了後、すっきりはしない。なんともいえない気持ちになった。

  • 1話目のみどりの月は割と面白かったけど、かかとのしたの空は全然好きじゃなかった

  • 角田光代ファンだけど、苦手だった…。

  • 2018.11.25-179

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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