- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087477269
作品紹介・あらすじ
坂下薫平19歳。首都大学の学生寮で、個性溢れる面々と楽しい日々を過ごしていた。だが、寮の取り壊しをもくろむ大学側は、元刑事の舎監・名倉を送りこみ、厳しい統制を始める。時を同じくして起こった、寮内のストーカー事件や自殺未遂騒動。だが、一つ一つのトラブルを乗り越えながら結束を固めた寮生達は、遂に大学側との戦いに立ち上がる。現代の若者達の「旅立ち」を描く、伸びやかな青春小説。
感想・レビュー・書評
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ある大学の学生寮取り壊しを巡って対立する、寮生と大学側の構想を中心に物語は描かれている。
大学生、それは人生最後の夏休み。最高に楽しい時間。なにか責任に追われることもなくただただ毎日が楽しくて仕方がない…でも、どこか物足りないような、心の真ん中に穴が空いたような、そんな時間でもあったりする4年間。
この本の学生たちも元はそんな学生だったに違いない。それが名倉という舎監の登場により廃寮に向けた動きが加速していくことで、寮生たちは自身で考え、動き、立ち向かう勇気のある大人へと成長していく。
学生運動が盛んだった頃の姿が正しいとはもちろん思わないが、少なくとも今の学生よりは生きる気力に満ち溢れていたはずだ。そんな時代を生きていたら自分の行き方も少しは変わったのかなとも考えたり。やはり、何かに夢中になる、生きる意味を見つけてそれに向けて突き進む姿には、いくつになっても心が動かされるなと感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
全共闘時代の記憶をなぞって気炎を上げる現代っ子たちの寮生活。
同じく時代を間違えちゃったような寮監さんや食堂のおばちゃん(お姉さん?)との心の交流。
自分を語れないクンペー君の家族愛と恋の目覚め。
ああ、セイシュンだなぁ。
わざわざクリスマスパーティー前夜に寮取り壊しの実力行使に出た宅間学長補佐は何考えていたんでしょうか?チャレンジャーと言うか何と言うか…。もしかして彼もセイシュンしてたのでしょうか。それとも予算の都合かな? -
青春、父性、若者の成長等々、ベタな題材を説教くさくなくまとめられるのは野沢尚の才能か。他の野沢作品に比べて「暗い」部分が少なく、読後感もさわやか。
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20年ぐらい前に見た単発ドラマを覚えていて
主演がV6の岡田さんと渡哲也さんでした。
今回は渡さんの訃報もあり、もう一度見たいドラマで映像を探していましたが見つからず
原作の方を読んでみました。
大学の寮の廃止を巡って繰り広げられる物語で、感覚的には「僕らの7日間戦争」を
読んだ時に似ていると思いました。
大学生やその寮に関係する人たちを取り上げた短編的な部分がつながり
最期は、大学側との廃寮をかけた戦いに入っていきます。
帯で朝井リョウさんのインパクトのある言葉
「私は一生、この物語のラストシーンに、背中を押してもらうつもりだ」
とありますが、確かに頷けるラスト、とっても勇気をもらえます。
あぁ~若さっていいな、って純粋に思えるし
哀愁に似た気持ちも残ります。
とってもよい1冊、おすすめです。 -
「お前は本気か。本気で取り組むからこそ見える景色がある」
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学生運動、立てこもり。昭和の熱い時代を連想するが、これは現代の若者の話。現代だから、古い学生寮に暮らすのも、自治を主張して大学に対抗するのも、ごくごく少数派。
寮生たちには事情があり、それぞれの方法で区切りを付けていく。一件落着とまでは言えない結果でも、区切りを付けることで前へ進んでいく。
大人になりきる前の、若者のストーリー。 -
いつもの野沢尚っぽい急転直下型でドロドログチャグチャした部分が全くないさわやかな青春小説。「僕らの七日間戦争」が好きだったので、題材に魅かれて読んだけど、この本も登場人物それぞれに魅力があって、舞台となった学生寮の雰囲気がものすごく伝わってくる。
読み終わった後スッキリして清々しい気持ちになれる素敵な一冊。 -
金大生のための読書案内で展示していた図書です。
▼先生の推薦文はこちら
https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=18447
▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BA71469563 -
学校の国語の問題集にこの本の一部分が出てきてて、面白そうだなと思って図書館で借りて読んでみた。
だけど。そこまではまれなかった。
読み始めてから読み終えるまで、2ヶ月くらいかかってしまった(その間に他の本にも行ったりしたけど)笑笑 -
第1章を読み終えた段階で、ストーリーの流れや結末がおおかた見えてしまった。そしてやはり想像した通りの終わり方だった。定番の青春小説だけど、まあ、面白かった。