毒舌 身の上相談 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 176
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087481709

作品紹介・あらすじ

天台宗大僧正、中尊寺貫主、参議院議員、直木賞作家…。まさに波瀾万丈の人生を生きた今東光和尚。過激な毒舌の裏に溢れる人間愛と知性で、多くの人々に愛され続けた。その奔放な人生経験をもとに、若者たちの悩みにズバリ答えた型破り。

感想・レビュー・書評

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  • 週刊プレイボーイ誌上に70年代に連載されていた、読者投稿型の人生相談コーナー「極道辻説法」のベストセレクション的な一冊であろうか。

    内容は老若男女からの恋愛や性の悩み、学校・家族・職場の人間関係・宗教観や芸術観、哲学までじつに幅広く、真剣で深刻なものからくだらないものまで雑多。

    「毒舌」の冠に違わず基本的に表現は乱暴でぶっきらぼうであるが、時にひょっこり垣間見える愛情がとても温かく優しい。自分に耳触り良く聞こえる事だけを聞いていても成長や変化には繋がらないと思うので、こうやってバシッと言ってくれる人がいるというのは大切なことだとしみじみ感じる。
    勿論、何から何まで賛同する訳ではないが。


    いくつになって読んでも背筋が伸びるような、見識が深まるような一冊かと思う。

    よく新品で棚に挿さってたな…。


    10刷
    2021.8.15

  • 20年近く前の出版。若者の悩みに対して、天台宗の大僧正であった今東光さんがまさに「毒舌」で答えてます。これを読んでると、やっぱり20年前だけあって今の悩みとは違うものもずいぶんあるけど、根本的なところはあんまり変わらないなぁという印象を受けます。つまり、恋愛とセックスに関すること、人生に関すること、勉強や進路、仕事に関すること、そして宗教に関すること。この辺は、やっぱり根源的な悩みとなるんですね。

    かなり違うのが、悩みを綴っている20歳前後の人たちの「日本語を書く力」がダントツに高いこと。もう、ちょっとした古典文学みたいな文章を書いてきてます。最初は、こういう投書をする人だからある程度の文章を書けるのかな、と思ったんだけど、18歳ぐらいの子でも「小生」とか「貴殿」とか使ってるんだよね。言葉はだんだん年を取るから、今は30代でもこんな言葉は使わないだろうけど、それを抜きにしても、ここに出ているような「きちんとした文章」を書ける人は、今はどれぐらいいるんだろうと思うと、本の趣旨と全く関係ないところでちょっと幻滅したりもしました。

    古い相談も多いけど、今に通じる普遍的な悩みもある。
    一読して損は無いと思います。

  • 人生とはかくもくだらないものである。人生の悩みなど、その時の当人にとっては切実なものであっても、振り返れば実にくだらないものだったということが多い。希代の怪僧今東光和尚に寄せられた当時の若者たちの悩みを読むにつけ、和尚でなくとも「お前アホちゃうか!」と突っ込みたくなるものばかり。だが和尚はそんな若者どもにも愛情溢れる毒舌でご回答なさっている。ではこの和尚にこんな悩みを打ち明けてみたとしよう。「生きていくのが辛いです。もう死ぬしかないと思いますが。」 きっと和尚の回答はこうに違いない。「ああ、とっとと死んじまいな!お前が死んだって誰も困りゃしないよ。」 
     悩める人よ、本書を紐解いてみるがよい。たとえ本書の若者たちの悩みに共感することなどなくとも、今東光和尚の破格の人間パワーの前に脳がリセットされること間違いなし。

  • 自己の在り方、恋、仕事など…生きていく上で避けては通れない悩みを厳しく真摯な態度で答えられていて、こちらも叱咤激励された気持ちになった。百人百通りの悩みがあり、それが心強く感じられた。

  • 時代が違うからなのか知識不足なのか経験不足なのか僕と思考方法が合わない点が多々あったが、宗教観、絵画に対する見識の深さは感銘を受けた。

  • 人生

  • 人生の深さを考えさせられる一冊。人生面白く生きる糧になる内容ではないかなと。

  • 人間愛だね。
    昔の人は貧しかったのだけれども、必死さがある悩みも多い。多分に青臭いけど、それがまた人間愛だね。
    漫然と本を読むのではなく、批判的な思いを込めているか。まずいね。自惚れだね。

  • 口は悪いが、愛がある。
    馬鹿野郎、こん畜生連発。
    きっと相談者にとっても期待するような回答はほとんどない。それでも前に進ませようと言う気持ちが伝わる。

    相談者たちの文体に時代を感じる。
    そしてその内容もなかなかのぶっ飛び具合。

    死刑囚からの手紙なんてのもあり、それに対する和尚の答えには胸を打たれた。

    こんなこと言える人がいたんだなぁ。

  • 正確に言うと★★★★★★★くらい。和尚はフィリップモリスだったみたいですが。「『処方せん』的読書術」からのリファレンス。下(シモ)から入って天空に抜けていく本書の構成も最高です。
    実にプレイボーイ誌的な質問に対する回答として綴られた、和尚の怒号の数々は、フィル・アンゼルモ(ex.パンテラ)の歌詞なりランボーの詩なりを彷彿させる熱さを帯びている。強さと優しさは双璧ではなく表裏だと教えてくれる、そんな良書との出会いに感謝。合掌

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