キューバ紀行 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.50
  • (2)
  • (4)
  • (7)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 57
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087483154

作品紹介・あらすじ

「祖国か、死か、われらは勝つ」至るところで見受けられるこの標語には、キューバ革命の切実さがこめられていた。独特の人種構造と砂糖生産に限定された経済構造。それがつくりだしたキューバの人々の気質。政治的にも経済的にも大国の影響下にあった国家の、宿命からの脱出の歴史に、20世紀後半の最大の特徴を見る。国家と国家の支配関係における本質的な問題を見据えた紀行文学の最高峰。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  この本一冊でキューバ革命とその背後にあるものに関して最低限の知識は身に付けられる。革命前、キューバはアメリカのために砂糖を生産し、アメリカのために娯楽を提供する云わば植民地状態だった。そこに英雄・カストロが現れ革命へと導く。
     この本はカストロを高く評価しているが、「独裁者」だと評価する人もいる。キューバ人の野球選手が亡命してアメリカのメジャーに行く事実を考えれば、僕の中にもキューバには自由がないというイメージがある。その辺はもっといろんな本を読んで勉強しないと何とも言えない。

  • 2023年9月読了。
    不勉強にして堀田善衛にキューバへの渡航歴があることや、木下杢太郎が皮膚病の研究のためにやはりキューバを訪ねていたとは知らなかった。
    キューバを観察する視点の面白さがあり、ページ数も薄いことから早々と読み切る内容。

  • キューバ危機から数年後の紀行。

    国名を聞いて思い浮かぶものは、
    キューバ危機、カストロ、チェ・ゲバラ位である。

    日本とは縁遠い国のイメージだったが、
    すでにこの時期から技術協力などが進んでいたことに驚きを感じる。
    極めつけは紡績工場の名前に浅沼稲次郎の名がついていることだろう。
    2009年時点ではまだ稼働していたらしい。

    小国故の悩み。特に共産主義にはNOを突き付けつつも、
    結果として旧ソ連に近づいていかなければなかったという経緯は興味深い。

  • 「低開発国における状況の論理化・常識化のための革命的運動と、それに対する帝国主義的な先進国の干渉、そして圧迫。これがおそらく二十世紀後半を特徴付ける最大のもの」

    まさに「低開発の国の内側に住む人々にとっては、たまったものではない。自分達で自分達のものを作ろうとすれば圧迫され、攻撃され、いったい、ではおれたちに死ねとでもいうのか」ってかんじです。ほんとその通りすぎて。

    (2009年5月23日 記)

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

1918年富山県生まれ。小説家。1944年国際文化振興会から派遣されて上海に渡るが、敗戦後は中国国民党宣伝部に徴用されて上海に留まる。中国での経験をもとに、小説を書き始め、47年に帰国。52年「広場の孤独」「漢奸」で芥川賞を受賞。海外との交流にも力を入れ、アジア・アフリカ作家会議などに出席。他の主な作品に、「歴史」「時間」「インドで考えたこと」「方丈記私記」「ゴヤ」など。1998年没。

「2018年 『中野重治・堀田善衞 往復書簡1953-1979』 で使われていた紹介文から引用しています。」

堀田善衞の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×