骨笛 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.37
  • (2)
  • (6)
  • (19)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 86
感想 : 7
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087485424

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 現代が舞台の短編集。一部がゆるくつながっている連作短編という形式で、そういう形が好きなこともあり、一気に読めた。皆川さんの幻想小説の良いところは、現実をひたすら見つめた末に、幻覚が現れてくるところだと思う。見つめる現実はひたすら不毛で、大人なら、例えば泉の母のように「夢でうるおえばうるおうほど、昼の暴力に負けない力が増す」ことを知り、そういった対抗手段をとることができるけれど、なす術を持たない少女が、浮かび上がる甘美な幻覚を眼前にしたら、それに身を委ねるしかないだろう。人物のつながりもどこか歪んでいくラストの「骨笛」まで、とてもよかった。ただ、幽霊と生きている人物があっけらかんと会話するような奇想的なエピソードが幻想小説に入り込んでくるのは、どうも違和感があり、それが「薔薇忌」にもあまり馴染めなかった理由かもしれない。

  • 2013.01.17

  • 「骨笛」皆川博子
    幻想的な日常を描いた短編集。クリーム色。

    ふわ、もやっ、と漂うような読み心地の、互いに織り交じった7編からなる作品集。

    「私」と「あなた」の言葉のやり取り。何だかとても夢心地で、、、そう、何故彼女は死んでしまったの・・・私はどこへ向かうのかしら・・・。

    乱暴に総括するとこんな感じです。。。
    各編に共通して流れているBGMがあるような、或は多面体をいろいろな方向から鑑賞しているような。不思議な輝きを秘めている作品群。
    『噴水』という一編が一番印象に残りました。
    沢山の登場人物達が互いに関わり合って物語を紡ぎ出しています。油断してるとこれ誰だったっけ?となるので、人物像を思い描いて読むとよいかと思いました(笑)(3)

  • よく知らないおばの家でパイ食べる話がすっげぇ怖かった。
    残り3話になってようやく係わり合いのある人たちの
    それぞれの、時間軸の違う話だと気付いた。
    夏生が好き。

  • 雨の日は、水に沈む町を沼猫がよぎってく。それぞれが抱え絡み合う思慕と毒、少女期の終焉、こわばり。世間の生き方にそまれず、夢にだけ生きるものは、現実で死ななくてはならないから。

  • 短篇の連作。解説にも書いてあったが、読み進めるうちに誰が死者でどのようなつながりなのか区別がつかなくなる。
    ぼんやり輪郭を失った中で、ウサギママと海外転勤の元締めの人が妙にキャラが濃かった。(2003.8.9)

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

皆川博子(みながわ・ひろこ)
1930年旧朝鮮京城市生まれ。東京女子大学英文科中退。73年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁 旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞を、『恋紅』で第95回直木賞を、『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞を、『死の泉』で第32回吉川英治文学賞を、『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―』で第12回本格ミステリ大賞を受賞。2013年にはその功績を認められ、第16回日本ミステリー文学大賞に輝き、2015年には文化功労者に選出されるなど、第一線で活躍し続けている。

「2023年 『天涯図書館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

皆川博子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×