夏の花 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.59
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本棚登録 : 97
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087520415

作品紹介・あらすじ

1945年8月6日、人類史上初の原爆投下に広島は死体で埋まり、傷ついた人々のうめき声で満ちた。自らも被爆した詩人・原民喜はこの人間存在の凌辱ともいえる悽惨な地獄絵に直面し、「このことを書きのこさねばならない」と固く決意する。名作「夏の花」ほか「壊滅の序曲」「廃墟から」を収録。第1回水上滝太郎賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 原爆のことをここまで感情を抑制して淡々と書けるものなのかと衝撃だった。

  • 「夏の花」「壊滅の序曲」「廃墟から」の中編と短編3作からなる。初めての原民喜であり、今後も触れるかわからないが、遠藤周作が日本の戦争をモチーフとした小説の中では「夏の花」が随一と言っていた。ガリバー旅行記の翻訳も彼のもので読み、そのあとがきにて夏の花の背景なんかも書かれていて、なんとなしに手に取った。
     正直この手の作品は苦手だ。痛ましさが先行し、信仰に生きる自分としては救いも、美しさもどのように感じていいのか、心が閉ざしてしまう感覚がある。私の弱さなのだろう、狭量のゆえだろう、と思うのだがその先にやはりいかない。だから今回も一通り撫でただけで終わった。確かに描写は美しい、白い襷のような潔さと、タイトル通り夏の花のはかなさが浮かぶ。今回はそこまで。

    14.9.4

  • たんたんとした口調が逆に重みを帯びていました。
    とんとんとんと話は進んでいきますがその威力は絶大です。
    本当の戦争の話はこういうものだと思います

  • 広島の原爆を体験した作者がその体験を忠実に書き残した本書。


    描写がリアルで生々しく、
    過酷で悲惨な状況もきれいで透き通るような文体で記してある。


    この作品は最初の数ページを見れば読まなければならないとわかる。
    青空文庫のサイトでも無料で閲覧できるので、
    是非多くの人に読んで欲しい。
    苦しみ助けを求める人々の気持ちが、廃墟と化した町の様子が、
    生き延びた後にも残り続けるであろうさまざまな悩みが伝わってくるであろう。


    「このことを書きのこさねばならない、と、私は心に呟いた。」とあるように、著者がやむにやまれぬ気持ちでこの本を書したことを想像して胸が痛むばかりである。

  •  「夏の花」のほか、「壊滅の序曲」、「廃墟から」をクロノロジカルに配して一緒にまとめたもの。この配置は原自身が意図したものとは異なるが、この順序で読める版が一つはあっても良いのではないか。リービ秀雄の「鑑賞」を楽しみに買ったが、解説がなかなか充実していて示唆的。註や年譜もしっかりしているので、学生に最初に読ませるのに適しているかもしれない。それにしても、原の言う「パット剝ギトッテシマッタアトノセカイ」は、ベンヤミンの「歴史の天使」が凝視している光景と重なるように思えてならない。

  • 普通に生活していた人たちが被爆したということが、生々しくしく感じられるという意味では、「夕凪の街 桜の国」と少し似た読後感を持った。ただ、当事者の言葉であること、また自殺されたということを知ると、より重みは強い。黙祷し、二度と起こらないよう約束するしか出来ないけれど。

  • 高校の授業で読みました。なるべく多くの人に読んでもらいたいです。

  • 高校の時に授業でやった。
    当時のことがしっかり書かれていて、この本はいろんな人に読んでほしいと思う。

  • 広島に旅行をしたので、どの辺で主人公が右往左往しているのかがわかった。
    何も知らない市民たち。そして原爆。
    戦争はまだ終わっておらず、それによって受けた傷は深く、その無念をかきだすのには、どんな言葉を尽くしても難しいことがわかります。

  • 2008/10/07

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著者プロフィール

1905年広島市生まれ。慶應義塾大学英文科に進学し、「三田文学」などに短編小説を発表。帰省中に広島市の実家で被爆した。直後の市内の様子を書き留めたノートをもとに47年に「夏の花」刊行するなど、被爆後の広島の惨状を詳細に残していった。51年に『心願の国』を遺し自殺。

「2019年 『無伴奏混声合唱のための 魔のひととき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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