虫とけものと家族たち (集英社文庫)

  • 集英社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087600889

感想・レビュー・書評

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  • これほどの幸福感を与えてくれる本を、わたしは他に知らない。
    ギリシャの陽光、暢気で明るくとぼけてアホな人々と動物たち。
    煮詰まって苦しくて自分の周りに壁が迫ってきたように感じる時に何度も読んでは助けられてきたシリーズ。
    バブルに浮かれていた当時も、その後のどんどん重苦しくなっていくこの国に住んでいて、居心地が悪くて苦しみながら何とか日々を生きてきた私のお守りのような存在。

    ギスギスイライラの度合いがどんどん濃くなってくるわれわれの社会にに、この本は必要だとずっと思っていた。

    集英社から発行されていたこの本を何気なく手にとって読んで魅了されたのはもう数十年前のこと。
    すっかりハマってギリシャに移り住みたいと本気で考えたものだ。
    当時は池澤夏樹氏の存在も知らずに読み、後になって池澤氏の小説を読んで魅了されてから、あの本の訳者だったのか!と驚いたもの。

    本を扱う職業についてから、物語に登場する「ラリー」ことロレンス・ダレルの『アレクサンドリア・カルテット』の存在も知って手を出してみたりもした。(読めなかったけど)

    長らく絶版だった本書が、ありがたいことに中央公論新社さまから発行された。(ありがたいので出版社も”さま”づけ)
    復刊ドットコムに再刊リクエストを出してからもう十年以上。
    どうやら、森見登美彦氏の小説に出てきたのがきっかけらしい。
    ありがとう!森見さんッ!!
    装丁が変わってしまったのは残念だけれど(あの絵がとっても合っていたのだ・・・)
    再刊してくれた事に心の底から深く深く感謝申し上げる。
    続編もすぐ出してね♪

  • 小休止

  • 時々読み返すジェラルド・ダレル。
    子供時代の著者がマッチ箱にサソリを入れて持ち込み、家中がパニックになるエピソードの印象が強く、爆笑本として覚えていたが、久しぶりに読み返してああ、そうではなかったと思い出した。これは少年だった著者が、家族とともにギリシアはコルフ島で過ごした何年も続く永遠の夏休みの記録。誰もが、こういう夏休みを過ごしたいと思うだろう。

    でも本書に感傷や郷愁は微塵もない。コルフ島には燦燦と日が降り注ぎ、ご近所さんは愉快で時々迷惑、家族たちはそれぞれやりたい放題。文学者気取りの長兄は発作的に妙な友達を家に招く癖があり、次男は銃器とボートにしか興味がなく、長女はニキビとオシャレに一日を費やす。それらをまとめる未亡人のお母さんはお人好しで、料理が生きがい。でも怒るときは怒る。一癖もふた癖もある家族たちが、動物オタクの末っ子の著者に振り回される。著者は長じて動物園の飼育係になり、その後も動物を追い回す一生を送ったらしい。ちなみに長兄は後日本当に作家になる。

    著者がコルフ島で過ごしたのは第二次世界大戦前で、邦訳が出たのも40年も前のことだ。でも古い感じも、手の届かない感じもしない。コルフ島に行けば今でも、ダレル一家や隣人たち、虫や動物たちに会えるような気がする。
    犬連れて虫取りに行きたい。ジェリーは家庭教師にはついているけど、学校行ってないみたいだし。

  • 島の描写とジェリー少年の熱意が素敵。あとちょいちょい挟まれるジョーク。

  • 心から楽しい笑い。懐かしいギリシャの風景がよみがえる。力強いギリシャの風景。一人ひとり気ままな家族。好きなことをやって生きるっていいなあ。

    • macamanさん
      ダレル本、私も大好きです(^^)
      いつかコルフ島に行ってみたいなぁー
      ダレル本、私も大好きです(^^)
      いつかコルフ島に行ってみたいなぁー
      2011/11/28
  • ★ 楽しすぎて 疲れるくらい ★

    描かれているのが実在の人物たちとは思えません。
    解説者いわく「めげたときに読む本」らしいです。うん、わかるわかる。かなり楽しい。楽しすぎて疲れるくらい。

    この著者は、かのロレンス・ダレルの弟にして生物学者。
    家族を描いたこの本にも当然ロレンスは出てくる。ヘンなやつとして…。

  • はちゃめちゃな人たちのはちゃめちゃな日常

    息子は博物学者に育てよう と思った

    ギリシャもいいかも

  • これまで読んだなかで最も好きな本、何度も読み返した本。
    僕はこの本を高校の図書館で借り(ハードカバー)、南国の実家のうだるような夏の暑さのなかで読みました。

    ダレルほど多彩な虫や動物たちとの出会いは望むべくもありませんが、実家の庭に「アオオビハエトリグモ」という宝石のようなクモを見つけ、飼育を試み、ギリシャの光景を重ねたものです。

    出会ってから20年以上の歳月が流れましたが、いまも時々思い出してはいくつかの章をつまみ読みします。
    先年実家に帰った折には、アオオビハエトリグモを捕まえて700km離れた現在の住まいに連れてきました。
    http://macaman.ldblog.jp/archives/30520852.html

    たまに庭先でアオオビハエトリグモを見かけると、決まって長兄ラリーと家族との喧騒、セオドアや動物たちのストーリーが思い出され、心が温かくなります。

    • macamanさん
      chineseplumさん、コメントありがとうございます!
      ブクログでRESいただいたのはじめてで、嬉しくなりました(^^)

      そうですね。...
      chineseplumさん、コメントありがとうございます!
      ブクログでRESいただいたのはじめてで、嬉しくなりました(^^)

      そうですね。
      昆虫も、小さな動物たちも、そして人々も、コルフ島のすべてが最高だと思います。

      ・・っと、chineseplumさんは「風とけものと友人たち」も読まれてるんですね。
      すごい!

      「風と〜」は文庫になったら買おうと思いつつ、ン十年願いがかなわなかった本です(涙
      そのうちBOOK OFFなどで出会えたら良いなぁーと思っております。
      ありがとうございました。
      2011/11/28
    • chineseplumさん
      macamanさん、本棚に遊びに来てくださってありがとうございます。
      とてもうれしかったです。

      好きな本の話ができるのって楽しいです...
      macamanさん、本棚に遊びに来てくださってありがとうございます。
      とてもうれしかったです。

      好きな本の話ができるのって楽しいですね。

      macamanさんのブログにもお邪魔しました。
      わたしはブログの入り口でうろうろしているのでとんちんかんかなことをするかと思いますがこれからも遊びに行かせてください。

      2011/12/01
    • macamanさん
      こちらこそ、ブログまで遊びにきてくださってありがとうございます(^^)

      chineseplumさんのベスト1が池澤夏樹氏の「スティル・ライ...
      こちらこそ、ブログまで遊びにきてくださってありがとうございます(^^)

      chineseplumさんのベスト1が池澤夏樹氏の「スティル・ライフ」で、すごく嬉しくなりました。

      実は「虫と〜」の訳があまりに楽しく、集英社宛に池澤氏へのファンレターを送ったことがあるんです(高校時代・・若気のいたり?でした)。

      そうしたら、ナント!
      池澤氏ご本人から虎の切り絵のお手製年賀状をいただき、めちゃくちゃ感動した思い出があります。

      池澤氏の著作も素晴らしいですね。
      今でも、本屋さんで探す作家さんの筆頭です。

      私もchineseplumさんの本棚、また遊びに寄らせてください。
      これからも、どうぞよろしく〜(^^)!
      2011/12/01
  • 座右の書ともいえる1冊。もっとも贈り物にしたい本のひとつです。
    復刻して定番化してほしい。

  • 1930年,イギリスの寒さから逃れるように,陽光溢れるギリシャの島'コルフ'に移住した一家の愉快な珍生活.主人公の8才の少年は作家本人であり.後に動物園をつくってしまった動物・虫好きなダレルの幸せな幸せな少年時代のお話しである.イギリス式ブラックユーモアもたっぷり効いています.登場する理屈っぽい兄は,後'アレキサンドル四重奏'を書いた文学者ロレンス・ダレルです.

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ダレルの作品

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