ネメシス 復讐の女神 下 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087607093

作品紹介・あらすじ

行き詰まる銀行強盗事件の捜査。チームを離れ、独自の捜査に踏み出すハリーに届く謎めいたメール。そしてついに彼に、殺人の容疑が降りかかる…。相次ぐどんでん返しの末に浮かぶ真相とは? (解説/池上冬樹)

感想・レビュー・書評

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  • 人生の重さと深さをしみじみ感じさせる。

    薄く雪化粧した街と灰色の空を斜め45度から俯瞰するカバー絵
    「メネシス 復讐の女神」というタイトル……。
    ノルウェーのオスロという地名の響き……。

    上巻を読み終わったときに感じた印象は、結局そのまま終盤まで続き、最後の最後でやっと落ち着いた。
    刑事ハリー・ホーレシリーズの第4作目であったことは、巻末の「解説」にあった。
    だから、人の名前がポンポンと前置きもなく出てくるのかとも思ったが、そうでもなさそう。
    どんな登場人物にもその背景があることを丹念に描く……S.キングの作風にも似通っているところ。

    銀行強盗と元恋人の殺人事件が、同時進行しながら進むこの物語は、意外な展開の謎解きと、作者独特の表現世界を味わうことができるのが魅力。

    この物語では解決しないエピソードがある。
    シリーズが続いているようだけど、どこまで遡りどこまで追うかはいったん検討ボックスへ……。

  • 銀行強盗と元カノの事件が並行しながら展開する。一匹狼ハリーと、特殊能力を持つ女性刑事のコンビが面白い。ハリーが折りに触れて過去の事件にこだわるのでおかしいなーと思ったら、日本での刊行が順不同らしい。3作目→7作目→1作目→4作目と翻訳されてるんだって。確かに、前回読んだ『スノーマン』(7作目)の時は、過去事件についての記述はなかったし。でも、これはいかんでしょう。

    混迷極まるふたつの事件。捜査は一進一退。下巻に入ると目まぐるしく展開する。手掛かりを追ったその先から二転三転する局面。全体像が浮かび上がるにつれ形を現す歪んだ心理。被害者、加害者、そして黒幕を結ぶキーワードは「復讐」。疾走感にページを繰る手は止まらず、途中しれっと投げ込まれた手榴弾で混乱する。前作との繋がりから未訳の続編へと──あー、こういうことか。だったらなおさら、順番通りに読まないと。

    マイクル・コナリーが「私のヒーローだ」と賞賛するだけあって、ハリーのキャラも含め、第一級の警察ミステリだと思う。熱いのか病んでるのかわからないときがあるけど、そういう危ういサジ加減が絶妙なのよね。

  • 並行する二つの事件の捜査、謎のメール、真相を知る人物は次々と死に、遂にはハリー自身にアンナ殺害容疑が降りかかる。真犯人になんとか辿りつき、とりあえず解決は見たが、前作から持ち込まれた事件がまだ未解決だそうでスッキリ感はない。北欧でのロマの人々についての描写で知らなかったことがわかったのはいい方か。

  • 新しい相棒魅力的だが、ハリーがどうなん?なんとか解決はしたが・・

  • (上巻より)

    銀行強盗に、元恋人の殺害、刑務所の元銀行強盗のロマ、
    前作で登場した新しい恋人とその息子の親権裁判、
    そして元相棒のエッレン殺害の犯人、ヴォーレル警部、
    一人の女性をめぐる兄弟が二組と
    ちょっと盛りだくさんすぎ。

    エッレンの事件がまだ解決されないのは不満だが、
    顔を覚える刑事、ベアーテがナックルズの達人で、
    殺されずに済んでよかった。
    それと、ハリーを買っている刑事部長が
    奥さんに言われてコリアンダーを買っている場面が意外だった。

  • 「ジョー・ネスボ」の長篇ミステリ作品『ネメシス 復讐の女神(原題:Sorgenfri,英語題:Nemesis)』を読みました。

    『スノーマン』、『ザ・バット 神話の殺人』に続きノルウェーの小説家「ジョー・ネスボ」の作品… 引き続き北欧ミステリですね。

    -----story-------------
    〈上〉
    オスロ中心部の銀行に、白昼強盗が押し入り、銀行員一人を射殺、金を奪って逃走した。
    現場に手がかりひとつ残さない鮮やかな手口で、「ハリー・ホーレ警部」も加わった捜査チームにとっては、前途多難を予感させられた。
    一方、かつてのガールフレンド、「アンナ」と食事をした「ハリー」は、翌朝、前夜の記憶がない状態で目覚めた。
    そして「アンナ」が死体で見つかり…。
    30カ国以上で出版されている話題作。

    〈下〉
    連続銀行強盗事件の捜査が行き詰まり、「ハリー」はチームを離れ、独自の捜査に踏み出す。
    また、自殺として処理された「アンナ」の死の真相を探り続ける「ハリー」に、謎めいたメールが届く。
    死の直前、「ハリー」が「アンナ」と会っていたことを知っている、とほのめかす文面だった。
    そして、「アンナ」殺害の容疑が降りかかり、窮地に陥る「ハリー」…。
    「エドガー」賞長編賞の候補にもなった、北欧ミステリーの傑作。
    -----------------------

    本作品は刑事「ハリー・ホーレ」を主人公とした推理小説シリーズの第4作目で、2002年に発表された作品… エドガー賞長編賞の候補にもなった作品です、、、

    登場人物が多く相関関係が複雑なうえに名前が覚えにくく、前半は理解不足や思い違いが多かったので、もどかしさがありましたが、中盤以降、「アンナ」殺害の容疑が降りかかり、窮地に陥った「ハリー」が、警察に追われながら、事件を解決に導く展開はスピード感があり、スリリングな展開だったので、一気にスピードアップして読み終えました… 「ジョー・ネスボ」の作品は、こんな展開が多いですね。

     ■第一部
      1 計画
      2 宇宙飛行士
      3 苦痛の家
      4 反響
      5 ネメシス
      6 唐辛子
      7 白のキング
      8 ジャララバード
      9 霧
      10 ソルゲンフリー通り
      11 幻想
     ■第二部
      12 フライトート
      13 大理石
      14 運
      15 ガジョ
      16 <ナムコ G-CON45>
      17 アラビアの涙
      18 素晴らしい日
      19 電線に吊された靴
     ■第三部
      20 着陸
      21 モノポリー
      22 アメリカ
      23 馬頭星雲
      24 サンパウロ
      25 袖の下(バクシーシ)
     ■第四部
      26 ダジューダ
      27 エドヴァルド・グリーグ
      28 火蟻(ラヴア・ぺ)
      29 三一六号室
      30 バイブレート・モード
      31 懐中電灯
     ■第五部
      32 デヴィッド・ハッセホフ
      33 ディスオズミア
      34 ワニチドリ
      35 SOS
      36 ワルツィング・マティルダ
      37 スピウニ・イェルマン
      38 紡錘状回(フュージフォーム・ジャイラス)
      39 グロック
      40 ボニー・タイラー
     ■第六部
      41 S2MN
      42 ケバブ
      43 ラモーナ
      44 道しるべ(パトリン)
      45 孫子の兵法
      46 メーディア(ギリシア神話。イアーソーンが金の羊毛を手に入れるのを助けた女魔法使い)
      47 燐光
      48 ハインリッヒ・シルマー
      49 ストーン・ローゼズ
      50 エーケベルグの丘
      51 サン・スーシ

     ■〔解説〕暴力、叙情、意外性にみちた凄い小説 池上冬樹

    オスロの銀行に覆面強盗が押し入り、支店長は犯人の要求に応じ現金を用意したものの、犯人は女性行員「スティーネ・グレッテ」を射殺して逃走… 犯人が25秒以内に現金を準備しろと要求したにも関わらず支店長がATMから現金を取り出すのに手間取り、犯人の要求から数秒遅れたのが理由と思われた、、、

    その後も同様な手口で次々と別な銀行が襲われるが、死者が出たのは最初の一件だけだった… オスロ警察強盗部は強盗事件として捜査を進めるが、「ハリー」と相棒の女性捜査官「ペアーテ・レン」は殺人事件として捉えていた。

    「ペアーテ」は警察学校を卒業したばかりの新米で、一度見た顔は全て記憶できて忘れないという特殊能力を持っており、父親も刑事だったが、銀行強盗事件で殉職しており、犯人が未だに不明なことから、彼女は密かに犯人を追い求めていた、、、

    「ハリー」も相棒の「エッレン・イェルテン刑事」を亡くしたばかり… 銃密輸組織の捜査中に何者かに殺され、容疑者とされた「オルセン」というネオナチの青年は逮捕時に同僚の「トム・ヴォーレル刑事」に射殺され、真相は闇のなかという状況だったことから、「ハリー」は「エッレン」殺しの真相を追い求めていた。

    事件の捜査中、「ハリー」は、かつて付き合ったことのある「アンナ」から連絡をもらう… 「ハリー」の恋人「ラケル」は元夫との間で息子「オレグ」の親権を巡る裁判のためにモスクワに行き留守だったことから、「ハリー」は気が乗らなかったが、「アンナ」の家に向かったものの、その後の記憶がなく、気付いた時には二日酔いのような状況で自宅に戻っていた、、、

    そんな「ハリー」に事件発生の連絡があり、現場に向かうと、そこは「アンナ」の家で、彼女が死んでいた… 右手に拳銃を握っており、自殺と判断されたが、「ハリー」は左利きの「アンナ」が右手に銃を握っていたことから他殺の疑いを持つが、自身の記憶がないことから、一抹の不安を覚える。

    「ハリー」は、銀行員殺害事件の捜査のため収監されている伝説の銀行強盗「ラスコル・バジェット」の聴取を行ううちに、「アンナ」の知られざる過去を知ることになる… 「ラスコル」の兄「ステファン」、「アンナ」の隣人「アストリー・モンセン」、「アンナ」の不倫相手「アルネ・アルブー」、その妻「ヴィグディス」、殺された「スティーネ」の夫「トロン・グレッテ」、その兄「レーヴ」、その他大勢の関係者を一人ひとり調べ上げていくうちに、全く無関係と思われた銀行強盗による銀行員殺害事件と「アンナ」の事件に意外な相関関係が見えてくる、、、

    その後、「アルネ」は何者かに殺害され、「レーヴ」は自殺… 捜査は二転三転するうちに、「アンナ」殺害の容疑は「ハリー」に向けられ、「ハリー」は窮地に陥っていく。

    ここまでの展開がホントに長い… 登場人物が多いので、ちょっと疲れ気味でしたが、この後の展開は子気味良くて一気読み、、、

    「ラスコル」と「ステファン」、「トロン」と「レーヴ」という二組の兄弟が犯した同じ女性を愛するという過ち… これが二つの事件の謎、動機を解く鍵になっていましたね。

    まさかね、夫が妻を殺し、「アンナ」は他殺に見せかけた自殺だったとは… それにしても憎々しいのは悪徳刑事「トム・ヴォーレル」、、、

    今回も自身の悪事を暴かれないために、利用していた「アルフ・グンネル」が容疑者として浮かんだ際に、逮捕される前に射殺したり、「ハリー」に罪をなすりつけようとしたり、「ペアーテ」をクスリを使って弄んだりと… 酷いですよねぇ、今回は無罪放免になっていましたが、次作以降、懲悪勧善の展開になることを期待したいと思います。

    刑事「ハリー・ホーレ」シリーズは、これで第7作→第1作→第4作と読んだのですが… 前作から継続している謎や、次作に続く謎も残っているので、ホントは順番に読みたいなぁ、、、

    翻訳順がバラバラだし、シリーズ10作品中、4作品しか翻訳されていないようなので、それも叶わぬ希望ですね… 残念です。



    以下、主な登場人物です。

    「ハリー・ホーレ」
     オスロ警察警部

    「ヤック・ハルヴォルセン」
     オスロ警察刑事

    「ピアーテ・レン」
     オスロ警察の新人刑事

    「ビャルネ・メッレル」
     オスロ警察刑事部長

    「ルーネ・イーヴァルソン」
     オスロ警察強盗部長

    「カール・トールレイフ・ウェーベル」
     オスロ警察鑑識課員

    「トム・ヴォーレル」
     オスロ警察警部

    「ディドリク・グドムンソン」
     オスロ警察刑事、銀行強盗事件捜査チーム員

    「マグヌス・リーアン」
     オスロ警察刑事、銀行強盗事件捜査チーム員
     
    「トーリル・リー」
     オスロ警察刑事、銀行強盗事件捜査チーム員

    「オーラ・リー」
     オスロ警察刑事、銀行強盗事件捜査チーム員

    「ストーレ・アウネ」
     心理学者

    「エッレン・イェルテン」
     オスロ警察刑事だったが殉職

    「アンナ・ベーツェン」
     ハリーの昔のガールフレンド

    「ラスコル・バジェット」
     伝説の銀行強盗

    「ステファン・バジェット」
     ラスコルの兄

    「アストリー・モンセン」
     アンナの隣人

    「アルネ・アルブー」
     ヴィグディスの夫

    「ヴィグディス・アルブー」
     アンネの妻

    「ヘルゲ・クレメンツエン」
     ノルデア銀行ボークスタ通り支店長

    「スティーネ・グレッテ」
     ノルデア銀行ボークスタ通り支店窓口担当

    「トロン・グレッテ」
     スティーネの夫、会計士

    「レーヴ・グレッテ」
     トロンの兄

    「アルフ・グンネル」
     錠前会社従業員

    「イェルゲン・レン」
     ベアーテの父

    「スヴェッレ・オルセン」
     エッレン・イェルテン殺害犯

    「ラケル・ファウケ」
     ハリーの現在の恋人

    「オレグ」
     ラケルの息子

    「エイステイン」
     ハリーの幼馴染み

    「アニ・ニアジ」
     ハリーの隣人

  • 12月14日読了。図書館。

  • ハリーホーレ警部シリーズ。文句なしに面白かった。
    盛沢山で話しの展開も早く ドンデン返し?もあり 
    オスロの自然描写も少しながらあって情緒的。
    オスロに住んでいたので土地勘はある筈なのに 日本語表示の
    街の通りの名前がすぐにピン!と来ず 戸惑った(笑)

  • 贖罪を求めるのは復讐するのと同じくらい強い本能だ ハリー・ホーレ

  • 粗い、強引、かっけぇ。

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