著者 :
  • 集英社
3.36
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本棚登録 : 200
感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087714630

作品紹介・あらすじ

平成元年に社会へ船出した大江と鷹西はやがて学生時代の夢を叶え、政治家と小説家になる。だが、二人の間には忌まわしい殺人事件の記憶が埋もれていた…。

感想・レビュー・書評

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  • 『解』というタイトルの意味が最終章で判った。
    わかる、ではなくてほどける、とかこわれる、という意味なんだな。

    対をなすという『衆』を読んだときは
    『鹿野や実川や石川の抱える闇や苦悩を理解しきれなかった』のだが
    この本の主人公ふたり(といって差し支えないよね)の心情がよく判ったのは
    『平成』という時代の話であり、彼らが世代的に自分により近いからか。
    理解はできても肯定はできない、というレベルではあるけれど。

    第0章の1989がものすごく効いてると思った。
    この章があるとないとでは鷹西と大江に対する印象や入り込み方がまるで違う。
    そして意外と名前の字面って重要なんだなと思うことしきり。
    『鷹西仁』と『大江波流』ってずいぶん綺麗な字面じゃないか(爆)。
    そんなところにも釣られてしまう読者もいるってことだ。筆頭がここに(笑)。

    あそこまで迫っておきながら追及の手を緩めてしまう。
    この上なく曖昧で後味の良くないラストではあるものの
    そこに至るまでの24年間を読んできた限りでは
    これはこれで有りな結末かもしれないと思ったりもした。
    震災のごたごたが(取り敢えず)収束した後の
    鷹西と大江の関係性も見てみたい気もするけど
    そこまで踏み込まずに終わっておいた方がいいのかも、と思ったり。
    どっちやねん(爆)。

    フィクションなのは判ってるけど、ここまで実際の出来事とリンクしてると
    モデルは誰だ、とつい邪推したくなってしまう。
    大江は年齢的に見てこの人かな、とか、藤野は裏で糸引いてるあの人かなとか。
    …やめといたほうがよさそうだな(笑)。

    追記。
    …よくよく考えてみると『鷹西仁』て
    某ジャ○ーズくんと一文字違いじゃあーりませんか(爆)。

  • +++
    「俺たちは同志だ。俺たちは、日本を変えていく」平成元年、夢を誓った二人は社会に飛び出す。大蔵官僚、IT会社社長を経て政治家に転身した大江。新聞記者から紆余曲折を経て、人気作家になった鷹西。だが、二人の間には、ある忌まわしい殺人事件が横たわっていた―。1994年、封印された殺人の記憶。2011年、宿命の対決が幕を開ける。バブル崩壊、阪神・淡路大震災、IT革命、そして3.11。「平成」を徹底照射する、衝撃の“問題作”。
    +++

    1994年から2011年の間の日本という国の時代の流れと空気感がとてもよく伝わってくる物語だった。大江と鷹西という大学の同期生がそれぞれ社会の別の分野で活躍するようになる様子にも興味を掻き立てられ、その友情と信頼が、いつまでも続くようにと願うのである。だが、混迷を深める国を立て直すためとかなんとか、もっともらしい理屈をつけたとしても、その一点をうやむやにしてしまうことが、どうしても腑に落ちず、消化不良な後味の悪さが残ってしまう。むしろここから先を読みたいと思ってしまう一冊でもある。

  • 堂場瞬一『解』読了。★★★
    大学時代の親友、大江と鷹西。物語は、1989年から始まる。大江は父親が代議士で将来はあとを継ぐ予定だったが、父親が急死し、周囲から出馬を勧められるが、断りIT企業を興そうとする。
    有力な元代議士の元に協力を依頼しに行くが、断られ、思い余って殺害してしまう。
    鷹西は、小説家を目指しながら、新聞記事の仕事に追われる。
    大江は、時代に乗り会社を大きくしていくが、鷹西は、なかなか小説家のステップを踏めずにいるが、応募した小説が新人賞を受賞し、小説家としての一歩を、踏み出す。
    大江は、満を持して政治家への道を歩みだす。鷹西も小説家を目指してとしての地位を築き、お互いに大学時代の夢を実現していくが、記者を辞めた鷹西は、記者時代に解決できなかった、大江の殺害事件を調べていく。
    真実を掴んだ鷹西は、党代表、総理になろうとする大江に突きつけるが、そこに3.11の大地震が発生し、、、。

  • 2015.10.29読了。
    よくあるようやストーリーで、ラストも残念。(図書館)

  • 大学時代の友、互いに夢を語り合う唯一の相手であり
    同志の鷹西と大江は1989年大学卒業後、
    鷹西は新聞記者、大江は大蔵省に入省する


    本当に実現できるかどうか分からない物を追いかける
    過程が二人の目線で交互に語られていきます。


    バブル時代から、1995年の阪神・淡路大震災
    パソコン・ネットの普及
    2000年のミレニアム・二十一世紀の始まりと
    時代を駆け抜ける
    2000年問題なんてのもありましたね〜。


    鷹西は記者仕事を忙しくしながら小説平成文学賞を
    受賞したが小説家としての一本立ちはなかなか難しく
    会社勤めをしながら細々と書いていた。


    大江は代議士の父親が莫大な借金を残して急逝してしまう
    借金返済と政治家になるための資金の確保のため
    IT企業を興し順調に会社を大きくしていく。


    鷹西に転機が訪れます。編集者から時代物の
    ミステリーへの転向を勧められ、重版とシリーズ化から
    小説家としての一本立ちができるようになった。


    大江は会社が軌道に乗ったところで、政治に打って出
    今では党内ではベテランから信頼を寄せられ
    若手議員からは慕われるように
    スキャンダルに縁がなく経済分野を得意とする政策通
    誰もがこの男ならと思わせる政治家になっていた。


    そんな二人には忘れられない年がある
    1994年、元代議士の堀口保が殺害される事件
    鷹西はちょうどその事件記者だったが転勤で
    事件から途中離脱。大江は父親の知り合い。
    今だに犯人は捕まっていない


    小説家として一本立ちした鷹西は自分なりに
    事件を調べ始める。
    そしてある疑惑が彼の頭から離れなくなってしまう。


    あいつが頑張っているから自分も頑張れる
    どんなに状況が変わってもライバルで友達
    そんな二人が対決する場面は見どころの一つでも
    あったところなのに東日本大震災へと繋がり
    あっけなく終わってしまった


    犯行も安直でミステリーとしても物足りなかった。

  • 7

  • 2015_04_03読

  • 大学の同級生で熱い志を持つ二人の若者が別々の道で夢を追いかける。
    実業家から政治家に転進した大江と新聞記者から小説家になった鷹西。

    浅い感じがするものの入りやすいストーリーで面白さを期待してしまう。
    平成に自民党から民主党に政権が移った時の設定。
    ただ読み終わってみると
    ちょっと物足りなさが残るのは否めないかなぁ・・・

  • 最後の物足りなさは残念。

  • #読了。「衆」と対をなす作品。昭和から平成が舞台。新聞社に入社し小説家を目指す鷹西、大蔵官僚になり父親の後を継ぎ政治家を目指す大江。2人の間には友人という関係だけでなく、忌まわしい殺人事件が。時代背景にはうなずける箇所も多く面白く感じたが、もう少し突き詰めても。

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著者プロフィール

堂場瞬一(どうば しゅんいち)
1963年茨城県生まれ。2000年、『8年』で第13回小説すばる新人賞受賞。警察小説、スポーツ小説など多彩なジャンルで意欲的に作品を発表し続けている。著書に「刑事・鳴沢了」「警視庁失踪課・高城賢吾」「警視庁追跡捜査係」「アナザーフェイス」「刑事の挑戦・一之瀬拓真」「捜査一課・澤村慶司」「ラストライン」「警視庁犯罪被害者支援課」などのシリーズ作品のほか、『八月からの手紙』『傷』『誤断』『黄金の時』『Killers』『社長室の冬』『バビロンの秘文字』(上・下)『犬の報酬』『絶望の歌を唄え』『砂の家』『ネタ元』『動乱の刑事』『宴の前』『帰還』『凍結捜査』『決断の刻』『チーム3』『空の声』『ダブル・トライ』など多数。

「2023年 『ラットトラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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