天使の柩

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087715378

感想・レビュー・書評

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  • 天使の卵、天使の梯子に続く、天使シリーズ最終章。

    春妃を失って14年。
    未だ一人の歩太が出会った少女、茉莉。

    それぞれに傷を負った二人が出会って生まれたものが、恋愛ではなく親愛であるところがいいですね。

  • 村山作品は「天使の卵」から読み始めたなぁ~「おいしいコーヒーの入れ方」シリーズはどうなったんだろう?もう図書館も仕入れる気がないみたい(笑)
    この「天使の柩」、蛇足の感が否めない。まぁ、「天使の梯子」もそうだったけど・・今回は逆境の女の子と歩太達の交流。しかしこの女の子、設定とキャラに違和感あるし肩入れする歩太に無理がある。お互いを想いながら理解しようとはしないケースになるのかな?村山恋愛小説として中途半端。ドロドロ部分が上滑りって印象。村山さん、行き詰まりのような・・

  • 天使の卵、天使の梯子、へブンリーブルーと一通り読んではいたけれど、20年もの長い月日の流れにいつしか物語が遠いところにいってしまってました。

    夏姫と歩太との関係や様々な葛藤、苦しみ、悲しみを思い出しながら
    ああこれでシリーズ完結なんだなあ
    棺ってどんなこと意味するのだろうと
    色んな想いかかえながら本編読み進めてました。

    茉莉を通して描くかれた悲しみに満ちた世界。
    歩太と出会うことによってもたらされる幸福。
    結局のところ歩太自身も救われていたんだね。

    ようやく明るい日がさしてきてよかった
    こころからそう思えた作品でした。

    これで終わりだと思うと寂しいのが正直な感想。
    ザボンが猫の目線からみたお話っていうスピンアウトも面白いようなきがするんだけどなあ。。。。

  • 天使の卵シリーズ完結編。
    帯の紹介文で、また最近の「アタシってこんな目にあったの」的アピール癖が出てしまうのかと思ったが
    主人公が中学生なせいか気にならなかった。
    懸案事項の解決が呆気ない気はしたけれど
    長いスパンのシリーズ物が変な方向に進まずに
    キャラがぶれずに終わってくれただけで大満足。
    おいコーもなんとか初心に戻ってほしいなー。

    【図書館・初読・1/7読了】

  • 「天使の卵」から20年、「天使の梯子」から10年。
    歩太の長い長い旅がようやく終わって、新しくまた歩き始める物語。

    14歳の茉莉の目線で世界は回る。歩太や歩太のお母さん、夏姫や慎一、社長にも茉莉は出会う。望まれず愛されず、疎まれ、でも茉莉は世界を呪わない。それがどれだけ優しさに溢れているのか、茉莉は知らない。それすら教えてくれる大人が、回りにいなかったからだ。そんな中で、本当に予想しないきっかけで、歩太と茉莉は出会うことになる。

    読み続けてきてよかったと、本当に思った。
    美大に落ちて浪人生になって、夏姫と別れて春妃と付き合って、春妃を亡くして、歩太はどれだけ自分を責めただろう。夏姫も自分を責め続けて、そんなかたちでしかいられなくて。でも夏姫は慎一と出会ってまた歩き始めた。歩太も口では前を向いてると言っていたけれど、春妃を亡くしたことはずっとずっと歩太の中に鮮明に残っているはずだ。だから、夏姫と春妃の話をしているときでも、彼は泣かなかったんだ、そう感じていた。

    これは間違いなくわたしの特別な本になった。最近のわたしは文庫にならないとなかなか本を買わなかったんだけど、これは、手にとって、棚に戻しちゃいけない気がした。このまま買って、読まなくちゃ。それしか思わずに、買った。ときどきあるこの現象が「天使の柩」に起きてくれたことに、感謝したい。

    自分を大事にすることが、周りの人を大事にすることにも繋がるのだ。自分を粗末に扱えば扱うほど、周りはそれを感じて眉根を寄せ、苦しそうにする瞬間があるだろう。いつも優しくいられる訳じゃない、聖人じゃないのだから。でもできうる限りで自分や大事な人を大事にしていたら、周りを大事にしていたら。きっと見える景色は違ってくるはずだ。

  • 天使シリーズの最後ということで迷って購入。
    好きな作家さんであるが、、、、、、
    たまたまの偶然であろうが、最近好きで読んでいる少女漫画「これは恋のはなし」の設定、ストーリー、心に傷を持つ30代独身男性(芸術関係の仕事についている)家族の残した古家に一人住んでいる。家庭の愛情に恵まれないトラウマのある少女(小学生から中学生)と猫を介して出逢い、交流、男性側の周囲の人たちとの交流においても少女が子供らしく人に甘えてもいいのだという基本的な人間への信頼感を獲得していくという物語。男性は少女に恋愛感情を持ちながらもそこに未成年であるという禁忌が働き、性的な側面、将来への期待という感情を抑えながら、大人の男性として少女に愛情を注いていくという美しい物語。エピソードは違うが殆どが一緒。
    あまりにも相似点が多すぎて、正直驚く。
    力のある作家さんで好きだけれど、、、、、
    ある種の漫画は文学を超えるということが儘あるけれど、読む順番の影響もあるだろうが漫画の方に軍配を上げざるを得ない。漫画のほうが一方的ではない双方の影響の与え合いのエピソードが満載であったし。
    ただ、その話をした息子曰く「歩太君が幸せになってくれれば良いよ」と。
    そうだね、そうかもしれない。

  • 天使のシリーズの完結。読後感は最高。

    天使の卵のあんなにツラい結末があり、梯子で夏姫だけは救われ、遂に歩太の心も浄化されるのかなと思う結末。
    歩太の心を救うのは、恋愛ではなくて父性というところに腑に落ちる。

    茉莉の生い立ちや、身に起こる出来事が辛くて、目を覆いたくなるが、それでも救ってくれる人がいる。世の中捨てたものじゃないなと思う。

    久しぶりに村山由佳さんの本を読んだが、やっぱり最高だ。

  • 男の子が産まれたら、歩太と名付ける~ 

  • 天使シリーズの最終章。天使の卵より心に響かなかったものの、自分を見失っている少女が歩太に出会い、だんだんと変わり幸せになっていくだろうこの先がみえよかったなと思った。

  • 登場人物たちが中年に手が届いて、筆者の本領発揮の世代になったって感じだな

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著者プロフィール

村山由佳
1964年、東京都生まれ。立教大学卒。93年『天使の卵――エンジェルス・エッグ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2003年『星々の舟』で直木賞を受賞。09年『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、柴田錬三郎賞をトリプル受賞。『風よ あらしよ』で吉川英治文学賞受賞。著書多数。近著に『雪のなまえ』『星屑』がある。Twitter公式アカウント @yukamurayama710

「2022年 『ロマンチック・ポルノグラフィー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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