読書は格闘技

著者 :
  • 集英社
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レビュー : 54
  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087716559

作品紹介・あらすじ

今を生き抜くために必要な事象について、立場の異なる「良書」を批評的に読み、自らの考えを新たに形成する──。格闘技としての読書体験を通じた、武器となる読書術とは? 推奨ブックガイドも収録。

感想・レビュー・書評

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  • ドイツの哲学者ショウペンハウエルは読書に対しても、 皮肉に満ちた批判をしている。いわく、 「読書は、他人にものを考えてもらうことである。 一日を多読に費やす勤勉な人間は、 しだいに自分でものを考える力を失っていく」 …… しかしながら、 「読書は格闘技」という考えた方からすると、 ショウペンハウエルの批判は、一面的だと言える。 というのも、私の考える読書においては、 著者の考えをそのまま無批判に流れ込ませるのではなく、 著者が繰り出す攻撃を読者が受け止めたり、 さらには打ち返したりするからだ(p.7)。

    「読書は格闘技」という考えた方に立つと、「良書」の定義も変わってくる。 普通、「良書」というと、書いてあることが正しいものであり、正しい考え方であると思われる。しかしながら、書いてあることに賛成できなくても、それが批判に値するほど、一つの立場として主張、根拠が伴っていれば、それは「良書」と言える(p.8)。

    私の研究室時代の指導教官は、その師にあたる教授の論文について、「初めて読んだときは、凄い論文だと感動したが、今では全ての行に反論が書き込んである」と言ってびっしり書き込みの入った論文を見せてくれたことがある。「良書」「良い論文」とは、批判に値し、乗り越える価値があるもののことを言うのだ(p.8)。

    【組織論】書店には、成功した人物が書いた、多くの読者を対象にしたやや自慢話風の「天国のような話」が今日も並んでいる。しかし、本当に天国に行く方法を知りたいのであれば、地獄を観た人達の明日の生活をかけた、いわば、血と汗で書かれた書籍を読むべきではないのだろうか。成功には偶然の要素もあり、その要因は本人にもわからないことが多いのに対して、失敗には再現性がある(p.33)。

    【どこに住むか】東京には、たくさんの大学があるし、企業の本社も、図書館、博物館、美術館、書店、映画観などの量、またそれに伴う多様性も圧倒的に集中している。また、東京には日本中の各地方、そして諸外国じゃらも多くの人が訪れるから、そうしたネットワークも集中している。そういう意味では、どの大学かよりもどの都市にいるかの方が受ける影響は大きい(p.60)。

    【才能】まともな心理学者で血液型とパーソナリティに関連があると考えている人はほぼ皆無であるが、それでも、一般に流布してしまうのは、それほどまでに、類型化と自己理解、適正についての社会的ニーズが多いからであろう(p.73)。

    【正義】少し前にマイケル・サンデルの「正義」に関する授業が流行ったり、また、トマ・ピケティの『21世紀の資本』が世界的なベストセラーになったように、なんらかの「正義」に基づく格差是正に対する関心は高い。ただ、ピケティが格差に構造的に存在し拡大していることを説明していたとしても、なぜ、その格差を解消せねばならないかについての証明があったわけではい。格差を是とするのも非とするのも結局は価値観の問題でしかないから、他の考え方を持つ人を説得することはできない(p.109)。

  • インプット量がすごそうなイメージのある瀧本さんが、どういう所を意識して読書してるのか気になって読んだ。

    ベースの考え方はディベート。
    だから、良書の定義も反駁する中身のあるものと置いているのが面白い。
    読書についてはスタンスが分かれる所だけど、ただ読むだけならたしかに頭でっかちになるが、読書はゆっくり考えながら進められるからそうはならない(読み過ぎなくらいでいい)と思ってる。

    ·瀧本さんもいわゆる列買いするらしい
    ·読書は格闘技という考え方に立つと良書とは正しい主張ではなく、1つの立場として主張根拠が伴っているもの
    ·著書の背景から主張を察する
    ·自分と遠い例示は一度抽象化させて自分に置き換えることで吸収される
    ·成功者のキラキラエピソードだけではなく地獄の景色も意味がある、失敗には再現性があるから
    ·根拠の筋道がハッキリしているものこそ格闘技向き
    ·創造力のためにフィクションは有効

  • なるほど、この本にはそういう読み方があったのか!と目からうろこが出ました。
    着眼点が面白くて、知っている本でも新しい読み方を提示してくれました。
    読みやすいけれど読みごたえがある。
    古典的作品から、漫画まで、多岐にわたるジャンルの本同志を「戦わせる」ことで、その本のもつ性質がよく見えてくる。
    全部をつぶさに読んだわけではないけれど、批判の仕方、本の読み方、そしてその分野での新しさの追究の仕方についてヒントがちりばめられています。

  • 書物や引用物を読む際には、データや文脈や時代背景を確認することが重要であることを説いた本。「自分の頭で考えて読書しましょう。」というメッセージ。また瀧本先生は、文学作品の抽象化に長けていること、インプットされている知識量が膨大であることを再認識した。

    興味を惹いたのは、「正義」について。そもそも格差是正が是であるという前提などを疑っている。

    ・正義について
    正義論(ロールズ)
    組織を作る際、ヒトは自分の地位が有利になるよう仕組みを作るものである。しかし、「無知のベール(自分がどの立場になるか不明な状況)」の下では、「最悪のシナリオになった際に、最大の利潤を得られる仕組み(最悪の展開でも、まあ悪くないかと思える状況)」を選択する傾向にある。(ゲーム理論における「マキシミン原理」)
    かくして、利己的な判断が全体で見ると利他的な組織(相手の気持ちを慮るという感情論でなく、自分の利潤を確保する勘定論なのに良い組織)が完成するはずであるという架空の設定における話。
    →批判としては、前提としてなぜ国家を作る前提にあるのか。無知のベールおよびマキシミン原理が発動することに蓋然性があるのか。

    アナーキー・国家・ユートピア(ノージック)
    国家を成立させるにあたり、自己の利潤を最大化させる「万人の万人に対する闘争」状態ではないことを前提に、ヒト同士が自分の身を保証するための保証協会を作り始めるという仮説。これは「維持費は加入者数に比例しない上に、多くの人が入っている方が信頼度が増す」という規模のビジネスとなるため、大手が中小を食う&ユーザーが大手に乗り換えるため、いずれは1つの協会に統一される。そして、この協会によって守られていること以外は個人の自由であるというユートピアが完成するという話。アナーキーは無政府国家、ユートピアは桃源郷の意。
    →個人の理性を信頼し、国家から取り返した正義を個人に託した型。前者の正義論は、仕組みを構成員の一致で決める方式なのに対し、後者は構成員に保証協会の選択権が生じるため、現実的であるという意見がある。

  • ある分野の理解を深めたいときには、その分野で“権威”とされている本を何度も読めば足りるのではなく、その分野の両極の考え方を知る必要があるというのを最近思っていたが、本書を読んでその認識を強化した。
    この人は『タッチ』を論じさせても面白い。
    しかし読みやすい文章を書くよなー。
    個々の本の紹介も参考になった。

  • ブキケツ超え
    本の読み方の視点がnewでした。手間かけて作ってるなと思いました。

  • Round 0 イントロダクション
    Round 1 心をつかむ
    Round 2 組織論
    Round 3 グローバリゼーション
    Round 4 時間管理術
    Round 5 どこに住むか
    Round 6 才能
    Round 7 大勢の考えを変える(マーケティング)
    Round 8 未来
    Round 9 正義
    Round10 教養小説―大人になるということ
    Round11 国語教育の文学
    Round12 児童文学 読書は感想戦―あとがきにかえて

  • 「読書とはこういうもの」という押しつけ感がある。自由に読みたいものです

  • 本の読み方。
    何冊か気になる本を発見した。

  • なかなか面白かった

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著者プロフィール

瀧本哲史(たきもと てつふみ)
?(生年月日不明) ~ 2019年8月10日
京都大学産官学連携本部イノベーション・マネジメント・サイエンス研究部門客員准教授、経営コンサルタント。東京大学法学部で民法を専攻し、卒業と同時に同大学大学院法学政治学研究科助手に。アカデミズムで大変評価されていたが、マッキンゼー&カンパニーに入社を経て、投資家として独立。若い起業家を支援するエンジェル投資家として活動しながら京都大学で教鞭をとり、多くの著名人に影響を与えてきた。著書に、『僕は君たちに武器を配りたい』(ビジネス書大賞2012受賞)、『君に友だちはいらない』『ミライの授業』(以上、講談社)『武器としての決断思考』(星海社)など。2019年8月10日、47歳で逝去したことが16日に報じられた。

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