チンギス紀 十二 不羈

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087717730

作品紹介・あらすじ

モンゴル国の鎮海城をあずかるダイルは、三千の守備兵を組織し、三つの砦に配置した。領土は拡がり、チンギス率いる十万の遠征軍は鎮海城とは逆の方角(東)に出撃している。チンギスが滅ぼしたナイマン王国の元王子グチュルクは逃亡し、モンゴル国の西に位置する西遼の帝位を簒奪していた。西遼が数万の兵を動員できると考えるダイルは、その懸念を雷光隊を率いるムカリに話す。
一方、モンゴル国の侵攻を受けている金国では、完顔遠理が精強な五万の騎馬隊を整えた。また、先の戦いでモンゴル軍の兵站のいくつかを切ることに成功した耶律楚材が、政事の立て直しに力を注ぐ。
南の潮州で暮らすタルグダイとラシャーンは、かつての部下ソルガフの遺児トーリオを息子として扱い、自分たちの商いについて学ばせようとしていた。

治めるべき領土は急激に大きくなり、守るべき国境線も広がっている。チンギスはボオルチュと、戦の状況や物流など、国のありようについて話す。

強き者たちに異変が生じる十二巻。

【著者略歴】
北方謙三(きたかた・けんぞう)
1947年佐賀県唐津市生まれ。中央大学法学部卒業。81年『弔鐘はるかなり』でデビュー。83年『眠りなき夜』で第4回吉川英治文学新人賞、85年『渇きの街』で第38回日本推理作家協会賞長編部門、91年『破軍の星』で第4回柴田錬三郎賞を受賞。2004年『楊家将』で第38回吉川英治文学賞、05年『水滸伝』(全19巻)で第9回司馬遼太郎賞、07年『独り群せず』で第1回舟橋聖一文学賞、10年に第13回日本ミステリー文学大賞、11年『楊令伝』(全15巻)で第65回毎日出版文化賞特別賞を受賞。13年に紫綬褒章を受章。16年「大水滸伝」シリーズ(全51巻)で第64回菊池寛賞を受賞。『三国志』(全13巻)、『史記 武帝紀』(全7巻)ほか、著書多数。

感想・レビュー・書評

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  • 感想
    チンギスは50歳になり、3年かけて金国の燕京を落とす。自分であれこれしなくても周りが動く体制が出来上がっているので大まかな方針さえだせばよいようになっていた。

    チンギスが大きくなるにつれて、そこから逃れていた敗者も大きな流れに逆らえず飲み込まれていくのが皮肉。どこまで大きくなるのか?本人はもう望んでいなくても広がり続けるように見える。領土は広がるも何か寂寞としたものを感じる。

    あらすじ
    鎮海城が西遼によって攻められようとしていた兵力はモンゴル軍の十倍。ダイルはなんとか防ぎ切るが、死ぬ。狗眼のヤクも命を落とす。

    金国は完顔遠理の兵力を5万まで増やし、モンゴル軍の侵攻に備え、兵站線を切ることに努力していた。

    チンギスはダライノールから再び南下し、完顔遠理を敗り、燕京を降伏に追い込む。

    タルグダイが金国から逃れてきた船と闘争して命を落とす。トーリオが後を継ぐことに。

    トクトアは亡くなり、隠遁したアインガが森の生活を継いでいた。そこにマルガーシが現れ、一緒に生活するが、ホラムズ朝よりマルガーシに迎えがくる。

  • <混>
    出だしのっけの数ページ,ちゃんと読んではいるのだけれどストーリーは全く頭に入って来ない。登場人物や場面 集団の数が多過ぎる。僕が前の巻を読んだのはおおよそ半年前なのである。
    北方謙三大御所の大河小説の終盤はいつもこんな風になる。ここいらへんであきらめて一旦全話完結してから あらためてのっけから読んだ方が効率良いかなぁ と番度思う。もう同じことを何回思っただろうか。三国志から数えると10回では済まないかもしれない。いや流石に未だそこまで多くはないか。

    今回はそれに加えて北方御大が執筆している姿までもを想像してしまった。人物や事象や集団がとても多いのは北方御大にとっても同じでしょうから,執筆時はかたわらに壮大な一覧図表でも掲げられて一々チェックしながら書いているのだろうなぁ,と失礼ながら想像する。そして スバル誌 への毎月の連載作品なので専任の人物確認読み手が 少なくとも複数人居て 書いた端から素早く ”人物設定チェック” が入るのだろうなぁ。
    公衆の面前にて活字となる前には完璧にしておかなければならないのだ。いや遣り過ぎなのかもしれないが でもそうしておいてもらわないと僕ら半年に一冊読みの追っ駆け読者ではもう間違いには気が付けないのだ。すまぬ。と,またもどうでも良い りょうけんの毒舌感想 であった。すまぬ。


    なにを揶揄してどう書いても変わらぬことが一つある。それはこの北方チンギス・カンの物語が面白い!ということだ。なんだかんだと云いながらこうして僕はずっと読んでいるのだから。この巻ではチンギスが突然まぐわいを多く遣るようになってしまう。設定ではもう40歳を超えている筈だが 「乳とおしりが出来るだけ大きく張った女を,それでいて腰はおもいきりくびれていないとダメだからな」という絶対的要求をソルタホーンに申し付けるのである。まあ男はそうでなくてはいけない と僕も妄想レベルでは賛成だけどwww。

    以下先取り希望的予想談。チンギスは金国を攻め滅ぼす。そして金は元となってゆくのであろうか。この物語は中国が元に統一されるまで続くのであろうか。すると 元 という国の首都はウランバートルなのか。チンギスが欧州とアジアにまたがって築いた大帝国の名前は何というのだっけ。大モンゴル帝国 か? どなたか教えて下され。質問だらけですまぬ。自分で調べろ!と言われそうで またも すまぬ。

  • チンギスも歳をとってだいぶおしゃべりになって、もろもろ甘くなった。でもそれはそれで、味が出てきて、良い。いろんな場面で様々な次世代人材の関係ができていく、今後に向けての前フリな感ある。これだけ登場人物がいるのに、これ誰だったっけ?ってのがないのも、命が宿ってる証拠だろう。次も楽しみ。

  • チンギス・カンの版図拡大のなか、旧知のダイルが無くなるなか、一方、戦い以外で新たな力を発揮するチンギスの孫、ヤルダム。水滸伝の盟友ごとく、チンギスの仲間の結束は固い。それがモンゴル族の国の根幹になっている。

  • 西遼がバイカル城を襲いダイルとヤクが死ぬも死守。
    金を攻め燕京を占領
    チンギスの孫を厳しく育てる
    ジャラールッディーンが高山兵雇い、チンギス攻めを企む

  • 引き延ばしに掛かっているような気がする~金を攻めているモンゴル軍はダライ・ノールで越冬する。西遼の最前線となった鎮海城はダイルが入り,ムスリが率いる雷光隊が敵の動きを牽制しながら陽山砦からの援軍が来るまで待ち構える作戦だ。10倍の敵を引きつけて撃退したが,ダイルと狗眼を率いていたヤクが戦死した。鎮海城を守ったことで,本来長男のジョチの支配下に加える謙謙州を臣下に加えることも可能になった。春になり,宰相の福興が採用した文官・耶律楚材に兵站を切られそうになった反省を基に,ダライ・ノールから南下した上で全軍で燕京を攻め,降伏させた。しかし,金の帝は約定を捨てて河南の開封府に逃げ,チンギスの斬撃を受けた完顔遠理は帝に捨てられた思いを抱えながら再起の時を待つ~まあ,金も簡単に征服されたわけじゃないのよって言いたいわけでしょうか。ホラズム・西遼・西夏が残っているよ。あと2巻ぐらい? その後は,チンギスの孫であるヤルダムの物語になるの??

  • チンギス紀も振り返ればもう12冊目か、正直領土が広大になり過ぎて話もあっちこっちに飛び回るし、何十年もの月日が経ってしまい、定期ごとに読むにはいささか間が空き過ぎてだれだっけ、こいつ?って人名もしばしばになってきた。戦いも草原頃はこってりねっちりと書かれていたが、金国が敗退する時は3行ほどで終わってしまい笑ってしまった。
    途方もない距離をモンゴルの戦人たちは駆け回ったんだろうなぁと思いを馳せる。細かなところでタルグダイが死に、ダイルも死んだ。ムカリは嫁を貰い、そしてボオルチュとチンギスは相変わらずでまだまだこの物語は終わりそうにない。
    ジャムカの息子がまた活躍しそうな次巻が楽しみだ。
    そして、そろそろ終わりにしないか、北方先生?笑

  • 著者独特の言い回しと文体は男っぽいものである。更に内容自身も男の世界だ。モンゴルのチンギスカーンと息子や孫の世代がそして今迄に出て来た人間や場所などの出来事が語られる。チンギスの話はちょっと小休止だ。それでも本書は第12巻まだまだ続くこれからも楽しみに待っています。

  • 西ではチンギスの孫ヤルダムが謙謙州との交渉に成功し東では勝利した旧金の支配を進める。版図の広がりとともに交通網の整備され物流が活発化する、若手が育つ一方でかつての勇将達がこの世を去る。世代交代が進みチンギスも老いつつある。時の流れを感じる巻。

  • 今回もまた広大さが増してきて、数か月ぶりにモンゴルの大地に心を飛ばすためにはちょっと時間がかかりました。でも、入り込んだらもう、懐かしい人々やライバル達がまたまた壮大すぎる世界観で暴れ回ってくれるので一冊読み終えるのが勿体ない気持ちでいっぱい。あの凛々しい少年の面影を残したテムジンが今はもう老いを受け入れ、そして家族(孫まで!)や兵のことを思いやる巨大な王になったのは感慨深いものです。

    私が個人的に好きだったあの彼の係累もまた独自の成長を遂げ…
    また続きが気になる数か月を過ごしてます。

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著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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