黄金旅程

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087717747

作品紹介・あらすじ

直木賞受賞第一作。

装蹄師の平野敬は北海道の浦河で養老牧場を営んでいる。牧場は幼馴染の和泉亮介の両親が所有していたものだったが、騎手だった亮介が覚せい剤所持で刑務所に入ったこともあり譲り受けた。敬が注目するのは栗木牧場生産の尾花栗毛馬・エゴンウレア。以前装蹄したことがあり、その筋肉に触れた瞬間、超一流の資質を秘めた馬だと確信していた。だが気性が荒く、プライドも高い馬で調教に手を焼いていて、今まで勝ち鞍がない。その馬主と競馬場で会った際、レースで突然馬が興奮するという不自然な現象に遭遇する。また、敬は出所して無職だった亮介に、本来の力を取り戻すべくエゴンの乗り役になるよう勧める。その後、レースでの不自然な現象は厩務員の一人が犬笛を使って八百長に加担していたことが判明。敬は裏で糸を引くヤクザの尾行を始めるが気付かれ、拉致され殺されそうになるも、一命を取り留める。様々なトラブルが起こる中、エゴンが出馬するレースの日も近づき、亮介による最後の調教も終わった。エゴンに人生を託した人々の想いは、二勝馬脱却への奇跡を呼び起こせるのか――。

【著者プロフィール】
馳星周(はせ・せいしゅう)
1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒業。96年デビュー作『不夜城』で第18回吉川英治文学新人賞、98年『鎮魂歌』で第51回日本推理作家協会賞、99年『漂流街』で第1回大藪春彦賞、2020年『少年と犬』で第163回直木賞を受賞。他の著書に『約束の地で』『雪炎』『ソウルメイト』『神奈備』『雨降る森の犬』ほか多数。

感想・レビュー・書評

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  • 相変わらず馳星周さんの作品はハードボイルドぽい所突っ込んでくるなぁ。競馬は良く分からないけど実在馬『ステイゴールド』をモデルに小説家されてるそうですけど波瀾万丈な馬だったんですねぇ!その歴史に残る話は競馬ファンの詳しい方に聞いてみたくなりました。

  • 感想
    ダビスタでなかなか強い馬が作れなかったことを思い出す。

    馬に関わるのはジョッキーだけでなく、調教師や装蹄師、獣医、厩務員、トレセンの乗り手など様々な人がいるんだなぁ。

    サクセスストーリーで読了感も良かった。

    あらすじ
    主人公の敬は北海道の浦河で養老牧場を営んでいる。若い頃は騎手を目指したが体重管理が出来ずに断念し、装蹄師として働いた。

    和泉牧場の一人息子だった幼馴染の亮介は元一流ジョッキーだったが、覚せい剤で逮捕され、出所して再び戻ってきた。その頃、ちょうどエゴンウレアという実力はあるが、勝てない馬のトレセンでの乗り手がおらず、亮介が雇われることに。しかし、借金取りが亮介に来て以来、なんだか雲行きが怪しくなる。

    敬は牧場を担保に入れて、馬主からお金を借り、亮介の借金を肩代わりする。それも全てエゴンウレアのためだった。

    エゴンウレアという馬と出会い、周囲の人の意識も期待も変わっていった。ノール・ファームという大型牧場に対して、日高の星としてエゴンウレアは期待され、現役最後の香港のG1戦で、黄金旅程として名前が登録され、見事勝利し、種馬として登録される。

  • ステイゴールドをモデルにした馬は魅力的に描かれ何故あれほど人気があったのかよくわかる物語。生い立ちなどはかなり変更ありガチ勢注意。周囲で起こる人間ドラマは競馬モノではよくある感じ。

  • [評価]
    ★★★★★ 星5つ

    [感想]
    私は身近に馬に関わる人はいないが本書を読むと多くの人、様々な人が競馬に関わっているのだと感じた。
    本書の競走馬「エゴンウレア」は実際の競走馬「ステイゴールド」をもとに誕生した架空の競走馬であるが、そのエピソードに関してはほぼ元の競走馬通りというのが面白く、あらあめて「ステイゴールド」の生涯が波乱万丈だったということがよく分かる内容となっていた。
    一方で競馬に関わる人には悪い人間も存在しているということは事実かもしれないが残念ではある。
    最後に要所要所で「ステイゴールド」以外の競走馬のエピソードが実名・匿名の両方で登場することにはニヤリとさせられる。

  • 【読者が書いてほしかった場面を書いてない】

    競走馬たちをレース場に立たせるための、
    裏方達のあらゆる奮闘や馬への愛を描いた本作。

    しかし構成上、やはりか悲願のG1一勝目が最大の山場として設定されている。
    その方が生産者・調教師・装蹄師ら裏方達の一喜一憂を描きやすいからだ。

    ただ、ここに読者が書いてほしかった内容との若干のズレが生じているように思えてならない。
    というのも、元ネタとなっているステイゴールドの史実があまりに有名だからだ。

    伝説となった香港ヴァーズの一戦がまさかの最終盤のダイジェストになってしまっている。
    正直、ここをとにかく氏の熱い筆で熱烈に描いてほしかった。
    それだけを望んで本作を手に取っただけに、猛烈な肩透かしで土俵に叩きつけられたような気分。

    もちろん私個人の勝手な思い込みや期待が多分にあっての独り相撲だ。
    しかしせっかくステイゴールドという長い競馬史においても非常に稀有な馬を題材にしたのなら、
    一番書いてほしい世紀の一戦がダイジェスト送りとなったのは、あまりにも寂しい。

  • 競馬の華やかさの裏にある残酷さが、とても丁寧に描かれていてた。馬主や、ジョッキーだけでなく、多くの人が関わり、人生を掛けて情熱を注いでいる。一握りの成功を夢見て。

  • 競馬を見る視点が確実に変わり競馬を愛する人々の気持ちが凄く伝わった
    実力はあるのに気性が荒く人間の言う通りにはならないエゴンが引退して生き残るためにはGⅠで優勝し種牡馬になるしかない
    引退が決まっているラストランの香港GⅠの優勝は感動と興奮
    そしてエゴンの血は受け継がれてゆく

  • ますます競馬が好きになりました!
    女医が魅力的に描かれておらず、恋愛要素がなければなお良かった。

  • 面白いし、良かったのに、後半の脱線が本当に惜しい。


  • レビューで評価が高かったので興味を持った、
    初めて読む作家さん。
    馬への愛とリスペクトを感じる作品だったが、
    主人公をはじめとする人間の方にあまり魅力を感じる人物を見い出せず、少し残念。

    ここではあくまでも馬が主役。
    生き生きと描かれる馬の調教やレースシーンには引き込まれた。
    馬を取り巻く競馬界の問題、課題も
    小説の中だけの話ではないんだろうな、と感じた。

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著者プロフィール

1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒業。出版社勤務を経てフリーライターになる。96年『不夜城』で小説家としてデビュー。翌年に同作品で第18回吉川英治文学新人賞、98年に『鎮魂歌(レクイエム)不夜城2』で第51回日本推理作家協会賞、99年に『漂流街』で第1回大藪春彦賞を受賞。2020年、『少年と犬』で第163回直木賞受賞した。著者多数。

「2022年 『煉獄の使徒 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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