夢伝い

  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087717969

作品紹介・あらすじ

孤独を愛する人気作家が突然の断筆宣言。担当編集者は作家の住む地方へひとり、向かった。作家を脅かすものを探しに――(「夢伝い」)。地球に近づいてきた惑星、現れた女遍路――。四国に戻って来た私は、40年前の午後を思い出していた(「送り遍路」)。自らの胎内で卵を孵すセグロウミヘビ。海洋生物マニアの男は「彼女」を手に入れてから生活が一変し……(「卵胎生」)。未知のウイルス性感染症が蔓延した後、「新しい世界」の幕が開けた。男は都心から自然豊かな土地に移住を決め、恋人とはリモートで関係を深めていたが……(「果て無き世界の果て」)など、昭和から現代までを舞台に、日常に潜む怪異や心理の歪みから生まれる怪奇を描いた全11話を収録。

宇佐美まこと(うさみ・まこと)
1957年、愛媛県生まれ。2006年「るんびにの子供」で第一回『幽』怪談文学賞〈短編部門〉大賞を受賞。17年『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞〈長編及び連作短編集部門〉を受賞。『ボニン浄土』で第23回大藪春彦賞候補に。『展望台のラプンツェル』で第33回山本周五郎賞候補に。他の著書に『熟れた月』『骨を弔う』『羊は安らかに草を食み』『子供は怖い夢を見る』『月の光の届く距離』など多数。

感想・レビュー・書評

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  • 11編の短編集。
    どれも日常に越境してくる異界を描いたものである。
    ゾクゾクするような怪談とは、ちょっと違う感じがした。
    不気味さといったほうが近いかもしれない。
    表題の「夢伝い」は、眠れない怖さがひしひしと伝わってきた。
    恐怖や戦慄もあるのだが、短編でちょうど良いと思えるくらいだった。
    あまり、長くなると記憶の底に残りそうで、怖い。

    「エアープランツ」は、不気味さが半端ない。
    「果てなき世界の果て」は、コロナ禍ならではのバーチャルで、予測不能な怖さを感じた。
    「母の自画像」は、選ばなかったもうひとつの道。

  • 怪奇短編集の一冊。

    宇佐美さんの丸ごとホラー、さまざまな時代背景を絡めた11編の怪奇。 

    と言っても、あまり怖さはない。

    怖さよりも不思議感が勝る感じ。 

    表題作「夢伝い」はひたひた迫り来る感じが王道。

    「卵胎生」は仕掛けの毒と恐怖のバランスが絶妙で、ヌメヌメ…さまざまなシーンに想像力を掻き立てられた。

    まさに今の時代を反映した「果てなき世界の果て」は、お!とくる結末を味わえた。「母の自画像」は静かな余韻が後を引く。「沈下橋渡ろ」は淋しさ、懐かしさ、せつなさを伴いたどり着く場所…それが宇佐美さんらしい世界観で一番好き。

  • 【書評】『夢伝い』宇佐美まこと著 - イザ!
    https://www.iza.ne.jp/article/20220612-NGZOWOJJUVMAVP4QSYS3QBYMMM/

    夢伝い | 集英社 文芸ステーション
    https://www.bungei.shueisha.co.jp/shinkan/yumedutai/

    夢伝い/宇佐美 まこと | 集英社 ― SHUEISHA ―
    https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-771796-9

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      (エンタメ季評)ホラー・幻想 かなしさと懐かしさ、あちらの世界 東雅夫:朝日新聞デジタル(有料会員記事)
      https://www.asah...
      (エンタメ季評)ホラー・幻想 かなしさと懐かしさ、あちらの世界 東雅夫:朝日新聞デジタル(有料会員記事)
      https://www.asahi.com/articles/DA3S15332146.html
      2022/06/23
    • 猫丸(nyancomaru)さん

      「私の原点は怪談――人間の怖さや狂気を書いていきたい」宇佐美まこと | 集英社オンライン | 毎日が、あたらしい
      https://shue...

      「私の原点は怪談――人間の怖さや狂気を書いていきたい」宇佐美まこと | 集英社オンライン | 毎日が、あたらしい
      https://shueisha.online/culture/30969
      2022/07/13
  • 現実とさまざまな形の非現実を行き来するような、不思議で不気味な話が11篇収められた怪奇短編集。
    事実が明かされていくほどに、奇妙なまでに辻褄が合っていく過程と、静かに迫ってくる不気味さと恐怖が秀逸な表題作「夢伝い」をはじめ、話はどれも恐ろしいながらも美しくまとまっており、余韻も良く、そのうえ読みやすいため一気読み必至。

    どの話にも異界や幻想的な展開が共通してあるのだが、決して一本調子ではなく、素晴らしいまでのどんでん返しがあったり、意表を突く結末もあったり、恐怖だけでなく切なさがあったり…
    怪奇短編集ではあるのですが、ほんと怖いだけじゃないんですよ。話の流れが流麗で…
    表題作の夢伝いは、展開的にもまさしくホラーと言えますが、どちらかというと怪奇というより幻想譚めいた話も収録されているので、怪奇短編集とあまり思い込まずに読む方が楽しめる気がする。
    と、私は思います。
    なぜこんなに素晴らしい短編をこんなにも書けるんだ!?と思うくらいどのお話も響く。

    かなり好みどストライクな作品に出会ってしまった…。宇佐美さんの小説はお初なのですが、以前から気になっていた他の作品もぜひぜひ読みたくなりました。
    ちなみに本書の中で一番好きなのは「沈下橋渡ろ」です。
    「送り遍路」と「母の自画像」も秀逸。
    あーでも「水族」も「愛と見分けがつかない」も「卵胎生」も「湖族(たしか十数ページほどと一番短い)」も「満月の街」も好き!(全部じゃん)

    備忘録がてら各短編のタイトルを記載しておきます。

    夢伝い
    水族
    エアープランツ
    沈下橋渡ろ
    愛と見分けがつかない
    卵胎生
    湖族
    送り遍路
    果てなき世界の果て
    満月の街
    母の自画像

    *以下あらすじ・ネタバレ含む各話の感想*
    時間がないので全部じゃないです。泣

    ・夢伝い
    今ノっている作家・猿橋ヒデヲの担当編集をしている主人公・増元。
    次回作の執筆が進まないなか、猿橋からはもう書けないとメールが送られる。
    増元が猿橋の元を訪れて書けない理由を聞くと、スランプではなかった。彼は今までの作品を考えていたのは、児童養護施設時代の友人・相澤なのだと言うのだ。
    さらには猿橋は相澤を殺してしまったともー。
    事実を明らかにすべく興信所に調査をするもほとんど空振り状態。最終的に増元は相澤の家を突き止め訪問するのだが…

    なるほど、夢伝いってそういうことね。
    夢を伝って…それだけの話なら言ってしまえばありがちな展開かもしれない。けれど、それが明かされていく過程と、その発想に一滴も二滴も隠し味を入れて話に深みを増しているところが(本作に限らないが)本当にすごい。
    猿橋の件を明らかにする中で、同時に増元の方の問題も同時進行で明かされていく。増元が昔付き合っていた女が孕み、父親はどう考えても貴方しかいないと認知を求められていた。しかしどう考えても彼女と付き合っていた時期が合わない…その子どもは一体誰の子だ?
    結末の締めかたがうまい。
    この話を読んで、もうこの短編集に心を掴まれてしまった、そんな一品。

    ・水族
    主人公・麻里は友が浜水族館に通っていた。
    その水族館にいるシロイルカ・ベガが好きなのだ。恋人とよく通った場所でもある。
    彼女は卓也と婚約していたのだが、もうすぐ結婚というところで卓也が麻里の目の前で自動車事故を起こしてしまい…
    水族館で働く、麻里とも交友のあった卓也の昔からの親友・亮の働きぶりを遠くから眺める麻里。
    亮は件の事故現場に黄色いバラを供えていた。
    黄色いバラは麻里の好きな花で、結婚式の会場を飾るはずだった。
    麻里は思い返す。
    お金持ちゆえの無邪気な卓也と、実家の自動車修理工場の経営が傾き、過酷な人生を送る亮。
    2人の間には深い友情があった。しかし、あまりにも境遇が違う2人の間で、ゆとりある金持ちゆえの無神経さを持つ卓也と付き合い続けるのに、亮は苦しんでいたのではないかー
    さらにあの自動車事故には不審な点があり…

    悲しくもあり、やるせなさもあり…それでいて衝撃のラスト。
    「水族って面白い言葉だろ?だって水族って独立した言葉はないんだから。」という台詞が目から鱗で印象に残っている。

    ・エアープランツ
    会社で仕事ができないとよく上司に叱責され同僚にはそれを嘲笑われている千春を、同僚の主人公(女性)は生花店の前で見かける。
    千春がエアープランツを嬉しそうに買うのを、主人公はバカじゃないのと思っていた。
    しかし、ただ部署のお荷物だっただけの千春に、だんだん奇行が目立ち始める。盗癖ができてしまったのだ。会社にある他人の私物を何でもかんでも盗んでしまう。
    そのうち無断欠勤するようになった千春の様子を上司に見に行けと命令される主人公。
    行ったものの、部屋は空っぽ。
    部屋の中にあの時千春が買っていたエアープランツを見つけた主人公は、なんとなくそれを持ち帰ってしまう。
    その後、主人公の身にも異変が…

    この話も面白かった。これは夢伝いと同じく、まさしく怪奇譚だと楽しんだ。主人公のことは好きではないが…

    ・沈下橋渡ろ
    上に書いたように一番好きな話。
    主人公・祐司は、今はもう寂れた、かつて過ごした祖母宅があった、高知の山奥にある棚枝集落を訪れていた。
    沈下橋渡ろ
    沈下橋渡ろ
    こっちの岸からあっちの岸へ…
    祐司が小学校の時学校で習った歌(not全文)。
    なんだか惹きつけられる歌だが、祐司の学校の音楽の教師が作った歌、という設定とのこと。ロンドン橋落ちたを想像して、この時点で少しドギマギしてしまった。
    さて、なぜ祐司は今は廃屋と化しているはずのかつての祖父母宅を訪れようと思ったのか。
    彼は重田という男を殺してきたところだった。
    重田は祐司の妻を殺した。当時誰でもいいから殺したかったと証言した重田は、犯行当時未成年だったため被害者遺族である祐司にも素性を明かされなかったのだが、今は魅力的なゲームを作って一儲けしている重田の顔写真を見て、あの時の犯人だとわかってしまったのだ。
    重田が本当に祐司の妻を殺した理由を問い詰めたところ、家電量販店の光るロゴマーク、星形の真ん中がくり抜かれた形のマークが妻の背中に映ったのが的みたいだったからだと答えた。
    そんな風に話す彼の態度はとても反省しているようには見えず…
    話を棚枝集落に戻す。
    他の集落の家屋はどれも崩れていたにも関わらず、もう誰も住んでいないかつての祖父母宅は、まるで当時のままであり、祐司が住んでいた時飼っていた鶏さえいた。
    不思議に思いながら祖父母宅を探索するうちに、だんだん子ども時代を思い出す祐司。
    当時祐司は陰湿ないじめを受けていた。離れて都会で働く母の悪口も言われた。タチの悪いことにいじめの主導者は村の有力者で、逆らうことができなかった。
    苦しんだ祐司は……

    過去の因縁が悲劇を織り成し、果を生み出した。祐司が辿り着いた先の帰結。なぜか当時のままの祖母宅で、もういるはずのない祖母に「もうええぞ、祐司」「気が済んだか?祐司」
    「うん」

    辛かった。残酷な因果だ。けれど、ある種穏やかな、救いさえ感じられるラストに、辛い以外の感情もないまぜになって、もう感情がめちゃくちゃになった。

    ・愛と見分けがつかない
    さまざまな人物の視点からの証言集のような形で進んでいく本編。
    その証言は共通点を次第に生み出し、2つの事件…いや、3つの事件の原点を明らかにしていく。
    かたや教育虐待を受けていた少年と、少年の目の前で喘息の発作を起こし死んだ気位の高かった母親。母親は用意周到で、吸入薬を常備していたはずなのだが…
    かたや憧れの先輩に告白して付き合い始めたものの、彼氏に暴力や異常な束縛、人格否定をされていた高校生の少女。彼女は彼氏をナイフで刺し、彼は重度の寝たきり障害者に。
    絡み合う二つの事件と被害。
    「憎しみと愛とは見分けがつかないのよ」
    伝播する暗い思い。
    どうにかならなかったのだろうか…と思いつつ、彼らの運命に想いを馳せる。

    ・送り遍路
    これは沈下橋渡ろと雰囲気が似てると思った。
    そしてこの話も私は好きだ。
    「あんたのその手で」
    「殺さないかん」
    送り遍路となって、円環のような四国八十八箇所を巡り続ける彼女たちは…

  • 不思議な、そして少し怖い短編小説。
    ちょっと気持ち悪いところもある。
    人間の嫌な部分がちょっと表面化したら、こういうことが起きるんじゃないか?と思わせるような短編ばかりだった

  • 日常に潜む不可思議なこと。
    夢を伝ってやってくる、死んだはずの友人。
    ヴァーチャルの世界で恋をする男女。
    パラレルワールド。
    様々な不可思議が書かれているが、短編集と言う事もあり各作品が短すぎて物足りなかった。

  • <麗>
    今迄あまり読んだことのなかった宇佐美まことの短篇集。これはこれで十全に面白い。そして宇佐美短編に触れた今回ようやく気づいた。宇佐美まことも基本は ”陰と暗と恐” の作家なのだ、と。「も」と書いたのは先日読んだ 町田そのこ がまさに負のエネルギー作家だったから。暗い話や悲惨な話まして怖い話はやはり面白く読める。そういう意味で陰や暗や恐などの「負」を書く作家さんは存外に多いのだろう。遠藤周作の歴史的名作『沈黙』なんてのは超特大の暗酷小説だしな。

    宇佐美と云う姓。もちろん僕が今一番親しんでいるのは本作の宇佐美まことである。でも別の作家に「宇佐見りん」とい若い作家さんもいて過日この人の作品を読んだ際の件の読書感想文に 僕は ”宇佐見りん は 宇佐美まことの子供だという噂がある” みたいな事をつい書いた。こんなのは僕の妄想なので真に受けないで欲しいし、ましてや 美しい宇佐美 と 見る宇佐見 の違いは明白なのだが。(更にこれはまことに蛇足だけれど、ずっと昔僕の直属の部下に 宇佐美誠 という名前の奴がいた。今も同じ会社にはいるが、まあでかい会社なので遠く離れた事業所に奴はいて交流はもう無いのだが。それがどうした。いやどうもしない。すまぬ)


    本作には四国が頻繁に出て来る。もちろん作者が伊予の国の出身ということが遠因なのだろうけど、中でも我が故郷阿波徳島の登場頻度が多い。八十八か所を巡るお遍路さんの話がある。「へんど」という呼び方の説明があるが僕が住んでいた田舎町もまさにこの「へんど」が頻繁に家を訪れてきて祖父母はその対応を丁寧に行っていた。実際には真に巡礼を目的とする「お遍路さん」と この「へんど」の違いは身なりを見るとすぐと分かる。でもまあどちらも訪問される頻度があまりに高いので当時まだ藁ぶき屋根だった旧母屋の玄関さき土間にはそれ用の準備が始終してあった記憶する。1959年生まれの僕が小学校低学年の頃までだったかな。


    沢山のお遍路さんが我が家を訪れてくれた理由は明白で、当時の我が家は庄屋さん並みの大きな家屋に住んでいたから。実際にその昔は庄屋だったのかも知れないけれど当時の僕にはすぐとは関係ない事で全く気にもならなかったが、こうやって宇佐美さん(彼女は僕より一つ年上です)の物語を読むとそういう懐かしい事を思い出す。いやぁーいいですね趣味読書。

  • 11話からなる短編集。
    どの話も不思議でちょっと不気味な味わいの話となっている。
    11話も収録されているので短い話が多く、さらっと読める分、読んですぐ忘れるような話が多かった。
    一番印象に残ったのはタイトルになっている「夢伝い」。

    主人公は編集者の男性。
    彼の担当している作家が小説が書けなくなったという連絡を受けて、彼は作家のいるさびれた田舎町を訪れる。
    主人公には今悩みがある。
    それは以前つきあっていた女性が突然現れて、彼の子供だという子供に引き合わせたという出来事。
    何年か前に別れてから会ってないので、その子供は自分の子ではないと彼は言うが、彼女の方は彼が合鍵を使って部屋に侵入して来たのだと言う。
    一方、小説が書けなくなった作家は今まで書いた小説は実は親友から構想を得ていたのだと話す。

    「水族」
    恋人を車の事故で亡くした女性。
    彼女は恋人の死に水族館に勤めている彼の親友が関わっていると確信する。

    「エアープランツ」
    手癖の悪い女子社員が連続で無断欠勤し、その同僚である主人公が彼女の家に赴く。
    そこにはエアープランツがあり、主人公はそれを持ち帰る。
    それから異常な食欲を覚えるようになりー。

    「沈下橋渡ろ」
    生まれ故郷を訪れた男性。
    そこに彼は暗い過去があった。
    ひどい虐めにあった過去、そしてそれが耐えられなくなった頃、ちょっとしたいたずら心とある偶然が重なってー。

    「愛と見分けがつかない」
    教育虐待を受ける子供と恋人のモラハラに翻弄される女性。
    女性は心霊スポットのトンネルである体験をしてー。

    「卵胎生」
    卵胎生のウミヘビを飼う根暗の男性。
    彼に興味をもって声をかけてきた同僚にはある思惑がー。

    「湖族」
    従姉妹同士の男性二人。
    彼らの住む土地には湖族という湖に住む人がいるという伝説があり、それと一人の女性を巡る男性二人の葛藤がいきつく先はー。

    「巡り遍路」
    幼い頃に会った女遍路の記憶。

    「果てなき世界の果て」
    リモートで彼女とつきあっている男性。
    彼は彼女と結婚したいと思っているが、彼女の答えはー。

    「満月の街」
    自分の元から去った男性の行方を突き止めた女性。
    彼らはまたつきあい始めるがそれは冷えた関係で、その訳はー。

    「母の自画像」
    亡くなった母親の事を話し始める父親。
    母親は以前、一週間ほど姿を消していた事があった。
    母親の行先は以前つきあっていた男性の所。
    そこには母親が描いた、母の肖像画があると言う。
    主人公の男性はその家を訪ねる。
    そして知った不思議な出来事とはー。

    このレビューを書くためにざっと本を読み返して、見事にストーリーを忘れてる話ばかりだった。
    だから、つまらなかったというのでなく、物語の不思議さや不気味な感覚は残っている。
    短編は入るのに時間がある程度かかる上、すぐ終わり物足りないと思うものが多いけど、これは物語に入りやすい本ではあった。

  • 身近なところから、異世界へと誘うお話し。

  • ちょっと現実から逸脱してしまった人々を描いた11篇を収録した短篇集。帯にあるとおりホラー寄りではあるが、そんなに怖くはない。
    宇佐美さんは長篇の作家という認識で、短篇集を読むのはこれが初めて(他にもあるのか?)。この作家らしいバラエティーに富んだ作品ばかりでとても楽しめた。
    男女の、あるいはもっと大きな人の“業”とでも呼ぶべきものが主題と読んだ。悲しく、不気味で、そして愛おしい。

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著者プロフィール

(うさみ・まこと)1957年、愛媛県生まれ。2007年、『るんびにの子供』でデビュー。2017年に『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞〈長編及び連作短編集部門〉を受賞。2020年、『ボニン浄土』で第23回大藪春彦賞候補に、『展望塔のラプンツェル』で第33回山本周五郎賞候補に選ばれる。2021年『黒鳥の湖』がWOWOWでテレビドラマ化。著書には他に『熟れた月』『骨を弔う』『羊は安らかに草を食み』『子供は怖い夢を見る』『月の光の届く距離』『夢伝い』『ドラゴンズ・タン』などがある。

「2023年 『逆転のバラッド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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