少年籠城

著者 :
  • 集英社
3.93
  • (34)
  • (77)
  • (33)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 563
感想 : 55
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087718270

作品紹介・あらすじ

猟奇殺人×子ども食堂立てこもり
究極のサスペンスミステリ。

地方の温泉街の河原で、子どもの惨殺遺体が発見された。
警察は、小児わいせつ事件を繰り返していた15歳の少年・当真への疑いを強める。
逃亡中の当真は警官の拳銃を強奪し、子分とともに子ども食堂に立てこもった。
自分は無実で、人質を殺されたくなければ、警察は真犯人を捕まえろという。
子ども食堂の店主・司は、人質の少年少女を守るために戦うことを誓うが――

当真は本当に無実なのか。他に殺人犯はいるのか。
さらに新たな遺体が発見され、暴走する当真は引き金に指をかける――
誰もが予想できない結末が待つサスペンスミステリ。


著者略歴
櫛木理宇(くしき・りう)
1972年新潟県生まれ。2012年『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を、『赤と白』で第25回小説すばる新人賞を受賞してデビュー。著書に〈ホーンテッド・キャンパス〉シリーズ、『死刑にいたる病』、『鵜頭川村事件』、『虜囚の犬』、『氷の致死量』などがある。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  櫛木理宇さんの作品、今回も重~い、考えさせる作品でした。結構、厚みのある本なのですが、ほぼ一気読みです。

     地方の温泉街の河原で、子どもの惨殺遺体が発見され、警察は15歳の少年に嫌疑をかける…。15歳の少年は友達とともに、この地で子ども食堂を経営する司の家に立てこもる…。その少年は無実を主張し、嫌疑が晴れるまではここから出ないと訴える…。この地では様々な事情を抱えた子どもたちがいて、常に親からの愛情と食べるものにも満足にありつけない子どももいる…。警察は、少年の嫌疑を晴らすことができるのか…そして真犯人は…?

     借金、DV、虐待、ネグレクト、小児性愛…様々な要素を盛り込み、また警察の不祥事まで白日の下にさらされます。でも、子どもたちは、そんな大人の被害者…死ななきゃかわいそうだと思われない、勉強したくともできない…そんな子どもたちの思いが痛みを持って伝わってきます。どんな子でもどんな家庭環境の子でも、夢を持てる社会であってほしいと強く思いました。

    • かなさん
      1Q84O1さん、こんばんは!
      アイコンを、ドン・ウッサにしたりニンジンジンにしたり~
      ギュスターヴくんにしたり…??
      なんか考えると...
      1Q84O1さん、こんばんは!
      アイコンを、ドン・ウッサにしたりニンジンジンにしたり~
      ギュスターヴくんにしたり…??
      なんか考えると楽しくなってきちゃいました(≧▽≦)

      確かに、アイコン変わるとあれ?と思いますよねぇ~
      1Q84O1さんのリアル一休さんも
      え゛っ??って思いましたもん(^-^;
      でも、もう慣れちゃうんだから、不思議なもんですねぇ(*'▽')
      2023/09/21
    • 1Q84O1さん
      かなさん、リアル一休さん慣れてくれました〜w
      でしたら、しばらくリアル一休さんのままいってみます(*^▽^*)
      かなさん、リアル一休さん慣れてくれました〜w
      でしたら、しばらくリアル一休さんのままいってみます(*^▽^*)
      2023/09/21
    • かなさん
      リアル一休さん、おはようございます!
      はい、慣れましたねぇ(*^^)v
      でも、この一休さん、なんだか困り顔で…
      気になりますね!
      リアル一休さん、おはようございます!
      はい、慣れましたねぇ(*^^)v
      でも、この一休さん、なんだか困り顔で…
      気になりますね!
      2023/09/22
  • 地方の温泉街で子どもの惨殺遺体が発見される。
    身元もわからず、探している親もなくもちろん行方不明の届けもない。
    小児わいせつ事件を繰り返していた十五歳の少年の犯行か?と疑いを持ち捜索していた矢先、その少年と仲間が、職質の警官を切りつけ拳銃を奪い子ども食堂に立て篭もる。
    彼らが立て籠もった理由とは…



    猟奇的な殺人に嫌悪を感じるが、本筋は警察の腐敗ぶりを暴くことと行方不明の子どもたちを増やさないために終止符を打つこと。
    子どもが亡くなってから動くのではなく、気づいてほしいという訴えである。
    だがそれだけではない声も感じた。

    子どもたちは、大人をよく見ている。
    悪いことの方が子どもは敏感に察するということ。
    子どもたちのお手本になる真っ当な大人たちは、どのくらいいるのだろうか。
    これは子どもだけの問題ではないと思った。
    正義ということばの意味をしっかりとわかっているのは、子どもかもしれないとすら思ってしまった。



  • 重い、痛い一冊。

    ずっと石が詰まったリュックを背負っている気分だった。
    子供を狙った猟奇殺人事件を機に起きた少年達による食堂立てこもり事件。
    そこで炙り出された地域社会はまるであきらめという社会だ。

    生きる、学ぶ権利を当たり前に得られない子供たちの叫びが痛い。

    本を一冊読めるようになりたいという、容易が容易でないやるせなさがたまらなく心に痛い。

    役立たず、非力、後悔、自分達を卑下する司たちの姿も印象的。

    小さき声に耳を傾ける、当たり前が当たり前でない社会が今ある現実。
    弱者に差し伸べるべきなのが社会、大人、親の手なのに。

  • すごい本に出会った印象です
    徐々に引き込まれていきました
    3時間ほどでかかりましたが
    一気に最後まで読んでしまいました
    読みながら胸が苦しくなりましたが
    考えさせられました
    確かに、自分の地域にも子供食堂が増えております
    小説の中の、子供がお腹いっぱいご飯を
    食べたいと言った言葉が印象的でした
    色々考えさせられました


    • かなさん
      トリグロさん、こんばんは!
      こちらへのフォローをありがとうございます。
      トリグロさんの本棚を先ほどまで眺めてました。
      私と同じ作品多数...
      トリグロさん、こんばんは!
      こちらへのフォローをありがとうございます。
      トリグロさんの本棚を先ほどまで眺めてました。
      私と同じ作品多数読まれてますね!
      そしてこれから私が読みたい作品もあるので、
      とっても嬉しく思います(*^^*)
      こちらからもフォローさせていただきますね。

      こちらの「少年籠城」も面白かったですね!
      ホント一気読みしましたもん、私も…。
      テーマは重いけど櫛木理宇さんの作品って
      読みだすと止まりませんね。
      2023/11/29

  • プロローグ
    第1章 端緒
    第2章 占拠
    第3章 薄氷
    第4章 疑心
    第5章 禍根
    第6章 少年
    エピローグ
    全409ページ

    居所不明児童、貧困、虐待、ネグレクト、
    暴力、DV、性暴力、夜逃げ、失踪、殺害など、
    複数の要因が積み重なり、膿に濁って淀んだ
    環境で生きる子どもの鬱屈した感情の叫び、
    光を求めて手を伸ばした物語。

    一人ひとり個々の子どもの辛い環境に焦点を
    当ててるのはもちろん、同時に繰り返えされる
    歪んだ生活が常態化し、それらに慣れきって
    麻痺してしまった大人たちを含んだ地域全体が
    事件の舞台でした。

    子どもが安心して生活し、学べる社会を
    作っていくための問題提起を投げかけた
    奥深く考えさせられるお話でした。

  • 少年の貧困問題を余すところなく描く必読の大傑作小説、と言い切ってしまおう。被疑者少年が困窮する子供を支援する食堂に籠城してから事件解決までの、籠城と事件捜査、生安課の腐敗、そして育児放棄された子供たちの精神性と思考回路を確り描きながらも、エンターテインメント性を忘れず、とても読み易いながら重厚感たっぷりのミステリー小説に昇華している。後味の良さも好感触。「死刑にいたる病」よりもこちらの方が映画化に向いている気がする。遡って櫛木作品を読んでみたくなった。

  • やはりハズレのない櫛木さん。櫛木作品との出会いは「世界が赫に染まる日に」。装丁は印象的だったが、正直内容はまぁそこまで印象に残ってなかった。その後「FEED」の改題「少女葬」でそのグロ描写と息苦しくなるような閉塞感に激ハマり。それから「寄居虫女」や「赤と白」「チェインドッグ」の改題「死刑にいたる病」「殺人監禁依存症」ですっかりその世界観のファンに。最近では「氷の致死量」や「老い蜂」「209号室には知らない子供がいる」「鵜頭川村事件」を読んだ。やはりハズレなし。すこし作風が違うように感じてあえて読んでいなかった「ホーンテッドキャンパス」のシリーズも読んでみた。

    と、過去作のお話はこの辺にして、今作は「少年籠城」とのタイトル。今までのタイトルに比べて面白そうとは思えない。だがそれは読むと覆される。舞台は地方の温泉街。脛に傷のある者たちが引き寄せられるように集まる泥首。子供がいなくなっても誰も気に留めない。学校にも通えず戸籍も不明瞭。識字率も低い。そしてそんな土地柄には特殊な性的嗜好者もいる。そんな街で育った司と幾也。2人は成長し、司はこども食堂を継いだ。幾也は警察官になるも自己肯定できない。そんなある日、河原で男児の惨殺遺体が見つかった。疑われたのは15歳の少年、当真。当真札付きのワル。職質した警官を傷つけ、銃を奪い子ども食堂に立て籠る。ここでタイトルを思い出す。この籠城の結末は?犯人は当真なのか?

    率直な感想、現代日本にもこんな地域や現実があるのだろうか?私が知らないだけなのか?バックパッカーをしていた頃にアジア諸国を周った。その時に見た光景に似ている。ここまで露骨ではないにしろ、未だにこども食堂とかあるのはその問題が残っているからか。昨今キックバックで叩かれつくしている行政に期待できるのか?子供からしたら大人の不甲斐なさを感じずにはいられないだろう。櫛木さんの社会派作品でもっと問題提起して欲しい。

  • 猟奇殺人✕子供食堂立てこもり。究極のサスペンスミステリ。

    15歳の少年が大人の警察と堂々と渡り合うさまは、子供のように危ういのに頭脳派。緊迫感が凄く伝わりました。

  • 小学生男児の遺体が見つかり、容疑者に浮かんだ15歳の少年が自分の無実を主張し、地元の子供食堂で立てこもり事件をおこす。

    舞台になった温泉街の土地がありえないくらい治安が悪く、家庭環境の悪い子供が多い。

    分厚くて暗めなテーマだけど、おもしろくて1日で読み終わりました。
    主人公で子供食堂の店長の司が銃を持った少年相手に籠城され、子供たちを守るために考えを張り巡らせる描写がリアルで感情移入がすごかった

  • 相変わらず胸糞悪い作品ばかり書くなぁ(褒めてます)読むのがしんどくなる作品が多いけど、こちらはまど人情が残ってる感じなので一気に読めた。
    最後の、死んだ人だけが可哀想と思ってもらえる社会みたいな言葉が響くね。生きて、きちんと学びたいと思っている死ぬことも出来ない助けてもらいたい子どもたちがまだまだたくさんいる中で生きている子どもたちが救われる社会であってほしい。

全55件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1972年新潟県生まれ。2012年『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞。同年、「赤と白」で第25回小説すばる新人賞を受賞し、二冠を達成。著作には「ホーンテッド・キャンパス」シリーズ、『侵蝕 壊される家族の記録』、『瑕死物件 209号室のアオイ』(角川ホラー文庫)、『虎を追う』(光文社文庫)、『死刑にいたる病』(ハヤカワ文庫JA)、『鵜頭川村事件』(文春文庫)、『虜囚の犬』(KADOKAWA)、『灰いろの鴉 捜査一課強行犯係・鳥越恭一郎』(ハルキ文庫)など多数。

「2023年 『ホーンテッド・キャンパス 黒い影が揺れる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

櫛木理宇の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×