- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087747201
作品紹介・あらすじ
戦後の精神世界を痛快に批判した問題作。奇想あふれる、ぶっちぎりの「金毘羅」一代記。時代が笙野頼子に追いついた。臨界を超えた現代文学の到達点。二十一世紀世界文学の誕生。
感想・レビュー・書評
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神となって生まれる話。
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ちょっとよくわかんなかったですね……(真顔)としか言い様のない、本当にまさにカウンター的小説だったような、気が???
どこまでも理解のできない私小説的な形をとったフィクションというか、そして金比羅の小説であるがゆえに理解できないのは正しいような気がしている。何故なら読者は金比羅ではないから。
金比羅というので、四国の金比羅かと思っていたのだけれど、あくまでも概念としての金比羅という種族?であり、金比羅である「私」が、死にかけていた人間にとりついたことで人間の形を持った金比羅として育った金比羅一代記、という話なのですが、正直これ説明がすさまじく難しいというか、やっぱり理解できてないのであった……。
なんかあまりにも語り口も特殊すぎて、ある意味謎の説得力があるというか、でもその勢いと思い込みが金比羅なのではとか色々考えたりして。
つまり、わかりません。() -
私は金毘羅だ!と主張する主人公の話。
読み始めると止まらない魔力のある文章。
見たことのない世界が目の前で開ける感じ。
神道にほとんど全く知識のない私が読むのは辛かった。
でも、日本の神様の懐の大きさに気づけた。
もっと知りたいという欲が湧いた。 -
図書館で偶然タイトルを目にして読み始めた一冊。
著者も内容も全く分からず、想像したような内容とは全く違い、とても不思議な作品で正直内容は未消化。
著者の私小説なのかと思えばフィクションのようでもあり、あえてファンタジーと言うカテゴリーに分類して落ち着いた感じ。
「金比羅」とはいったいどんな神様なのか。結局よくわからないままなのだけれど、日本古来の神々とは、仏教とは、が古事記などで言い伝えられている由来とはまた違う解釈で面白いとは思いました。
ただ、いかんせん理解するのが難しく(ファンタジーすぎる?)読み進めるのに時間がかかりました。 -
のっけから最後まで、饒舌饒舌饒舌なこんぴら!!
「好き好き大好き超愛してる」とテーマが被っているとの事で手にとりましたが、そんなこと忘れるくらいの圧倒的なスケールと饒舌。
読んでいるとドーパミンがだばだば出ます。
とにかく喋って喋って喋り倒すところも、今思えば舞城の作風に共通しますね。
とは言えこの神話に対する独自の解釈と再構成とハッタリのカマしかた。
やんごとない作品ですよ、すごいもの読んだ。
13.10.25 -
2011/6/6購入
2011/11/18読了 -
特異な設定を盾にして世の矛盾をばっさばっさと切り倒し、ヒールの底で踏みつけて人差し指をつきつけながら高笑いをしているような軽妙な語り口にすっかり引き込まれてしまい、三章まではするするっと読めたんだけど、史実的な穴埋め描写の続く四章で大きく躓いた。オチって言う程のオチもないし、古事記もよく知らない私からしてみれば、全ての段階をすっ飛ばして「雷が落ちて己が世界が変容した、そして思い出したのだ、私は御山様の子供っ」で良かったと思う。 ひっきょう世間知らずで無知なこの頭にはまだ早かったっていうただそれだけなんだけど。
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常にたたかえコマンドが「ガンガンいこうぜ」(決していのちだいじにではない)、笙野頼子の野心作。伊勢という地に育つ運命の死にかけた女の赤ん坊に宿った神仏習合神「金比羅」の私。『水晶内制度』では出雲神話限定での再解釈、再構築を行ったが、ここでは日本の神道、神話自体の再解釈、再構築が行われる。極私的な祈りを聞き入れない国家の押しつけた神道体系に対し闘うカウンター神としての「われらの」祈りの対象、土俗の神、虐げられた神、順わぬ民との集合体としての金比羅の「私」が国家神道の聖地、伊勢に乗り込むクライマックスが圧巻。
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国家神へのカウンターとしての金毘羅を、性・両親・世間へのカウンターとしての私小説の声にし、毒をもって毒を制す
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これは面白い!