- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087813715
作品紹介・あらすじ
異界はいつでも日常の中にある。目を凝らし耳を澄ますと入口が見えてくる。そこを覗くと物語がはじまる。創作をめぐるエッセイ集。
感想・レビュー・書評
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2011年1月発行のエッセイ集。初出一覧で見ると1991年のものから書き下ろしまでいろんな媒体で発表されている。学生時代の思い出や小説家としての日常、タイガースファンという事や妄想満載の話まで、何もかもが小川さんらしいなあと感心。
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土曜日の放課後に本を借りて帰るのが何よりの喜びだった、こと。地方から東京の大学へ出た大学生の頃のお話。小説、という以外の場では平穏で普通の暮らしを大切にされていることがわかりました。また、世代が同じなので分かることが多く興味深く読みました。
友だちのことを書いてあるところが印象に残った。今まで書かれたことのないテーマが関連しているとは。切ない気持ちにもなりましたが、ご自身はぶれないところが凄い。
「本はいつでも先回りして待ってくれている」という表現がとても素敵です。「現実の人生で翳りや光に出会う前に、私たちは本でそれらに触れることができる。本で読んで触れてさえいれば、本物の翳りにたじろいだ時、遠い日にかいだ紙の匂いがきっと心を鎮めてくれる。光のまぶしさに心浮きたった時は、その恵みを感謝をもって受け取れる。」
小さい頃、若い頃、本を読みましょう、とはよく聞いた。
言葉にするとこういう事なんだと合点がいった。
人生で出会う前に様々な人生を垣間見ておく。
若い頃もっと本を読んでおくべきだったと思った。
もし西洋人に生まれ変わったら、ローズ・マリーという名前にしてほしい。とおっしゃっている通り、ローズ・マリーという雰囲気がぴったりの方だ。 -
小川さんの妄想、心配事についてのエッセイがたくさん。
ミシンつきの車を心配しているなんて、小川さんの想像力はすごい。
「阪神電車高架下の秘密結社」の妄想がとっても素敵。
彼らのような人は阪神タイガースにしかいないのか、他の球団にもいるのか私にはわからないけれど、今度また野球観戦の機会があったら勝敗は二の次にして探してしまうだろう。
いつか小川さんが秘密結社の会員になったら、エッセイに書いてくださいと頼みたいが、秘密結社なんだから公表出来ないんだろうな‥と残念になる。
それでもせめて小説(フィクション)として書いてほしい。
「自著へのつぶやき」の章ももちろん楽しく読んだけれど、まだ読んでいない本がこんなにあるんだ‥なんて驚きもした。
これ読みたい、あぁ‥これもいいなぁと、読みたい本が増えていく。そんなに読めるのだろうか…。
本の内容についてではなく、その本を執筆していた時の印象的な一場面の記憶が書かれている。
作品の生まれたきっかけだったり、その作品によってつながった縁だったり、つぶやき自体がとても優しい短い物語になっていた。-
花鳥風月さん、こんにちは。
立ち読みされましたか(笑)
やはり阪神ファンの間では有名なのですね。
野球の応援は本当にすごいですね。...花鳥風月さん、こんにちは。
立ち読みされましたか(笑)
やはり阪神ファンの間では有名なのですね。
野球の応援は本当にすごいですね。
野球場に観戦に行った時は、応援団に見惚れてしまいます。
あれは誰かリーダーがいるのでしょうか?
全員知り合いとか、球場の外で練習しているとかではないだろうと思うのですが、素晴らしく息が合っているので不思議で仕方ないです。
なので小川さんの妄想には大納得でした。
秘密結社、ドキドキします。2012/08/03 -
takanatsuさん
球場に行くと、フィールドの方は見ずに完全に観客の方を向いて笛吹いて指揮している人とかいますね(試合見なくていいんで...takanatsuさん
球場に行くと、フィールドの方は見ずに完全に観客の方を向いて笛吹いて指揮している人とかいますね(試合見なくていいんですか?(笑)とか思ってしまいます)。試合開始前とか試合終了後とかも勝った試合とかは、なんかずっと応援歌を歌ったり演奏したりしているので、案外そこで練習しているのかもしれません。あ、いやそれでもラッパ吹いてる人とかはそれだけでは無理か… 都度新しい応援歌とか出てきたりするし、やはり外で集まって練習しているのかも?
そこも妄想することにします。2012/08/05 -
「試合見なくていいんですか?」に笑ってしまいました。
きっとその方にとっては使命のようなものなのですね。
いいなぁ‥。素敵だ。「試合見なくていいんですか?」に笑ってしまいました。
きっとその方にとっては使命のようなものなのですね。
いいなぁ‥。素敵だ。2012/08/05
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小説の書き方とか学生の頃のこととか面白いこともあったりためになることもありました。
私もこんなふうに生きたいなと思いました!
また読もうと思います。 -
作者の本は、数冊ですが読んでいます。読んでいて異次元の世界を感じることがあるのですが、エッセイを読むと、とても存在が近しく感じました。タイガースファン、心配性。失礼ながら、自分との共通点を感じました。いろんな作品を読んでみたくなりました。
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小川洋子先生のエッセイ。
小説家のエッセイを読むと、
「へー!あんな変わった雰囲気の小説を書く人だけど、意外と普通の人だなぁ!」
とか、
「えっ!こういう感じの人なの!?意外だ~~~」
と思うことが多いが、小川洋子先生のエッセイは、意外な点が何もなかった。というのも、エッセイが彼女が書く小説の延長のような雰囲気で、彼女は小説の主人公のようだったからだ。 -
小川洋子さんは、年齢が近いし、私も主婦なので、読みながら、「そうそう」「あー私もそうだった。」と心の中でうなづくことが多かったです。
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「思い出の地から」
「創作の小部屋」
「出会いの人、出会いの先に」
「日々のなかで」
「自著へのつぶやき 書かれたもの、書かれなかったもの」
上記5章から構成されたエッセイ。
一番興味深かったのは、自著へのつぶやき。
直接的に作品について語っているものばかりではないが、物語の裏側に潜むエピソードに触れることができるのがただただ嬉しかった。
筆者のエッセイはほかにも読んだことがあるが、この本は筆者の「人間としての生活」をより強く感じる一冊だった。 -
内へ内へと向かう人、反対に外へ外へと向かう人。物凄く乱暴に二分すると人間にはその2つのタイプがあるような気がするけれどこの人は前者。しかも筋金入りの。でもけして根暗とか陰湿とかそいういうネガティブな雰囲気は一切感じない。孤独を孤独と感じない、そういう人なのだろうと勝手に考える。親しい他人とそうするように、自分自身と一見無駄にしか思えないあれこれを呟きあう。この本を読んでいるとそれはとても楽しい事のような気がしてくるのです。