- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087815238
作品紹介・あらすじ
君に私の息子の最後の言葉を贈りたいのです。
親友を失った青年と、ある秘密を抱えた先生の間で交わされたメールを軸に織り成す、喪失と再生の物語。あの『悩む力』の著者が、苦難の時代を生きる若者たちに真剣に向き合った、注目の長編小説。
感想・レビュー・書評
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姜先生と大学生の男の子とのメールのやりとりでストーリーが進んでいく。
始めは頼りなげな青年が、姜先生に励まされつつ、また様々な経験を通じて成長していく。
死とは何か。改めて考えさせられる。
死者、とくに事故や苦しんで亡くなった方ほど、直視できずに目をそむけてしまう。
そして、できるだけ遠ざけてほしいと思ってしまう。
しかし、残された者として、死者に対してそのような向き合い方でよいのか。
そう問われているように思った。
残された者としてできることは何か。
それを考えることがすなわち弔いではないかと思った。 -
久しぶりに時間をじっくりとり、ゆっくり読みたい本に出会った。小説-ではないと思う。
言葉ひとつひとつが今の自分の現状や思考に化学反応をおこし、自分自身に色々な事を問いかけ、自分の心と対話する。哲学書のような小説。親和力、過去・現在・未来、生と死、震災、愛すること、友情、人と人との出会い等...読む人それぞれが違う風景を心に描き、考えさせられると思う。そこに正しいとか、正しくないとかはないと思う。好きな作品です。 -
姜先生が息子さんを亡くしていることが最後に綴られる。姜先生の青年に対する真摯な文章に人柄を感じる。「メメント モリ」=「死を忘れるな」。死の中に生が含まれている。ゲーテの「親和力」や「隣り同士の不可思議な子供たち」を読んでみたくなった。”「心」と記されたフォルダの中にファイルをそっとしまった。””砂時計の上半分にはこれからやってくる未来があり、下半分にはすでに終わった過去の砂がたまっている。未来の砂は上半分と下半分をつなぐ細いくびれの部分を通って下に落ち、過去となる…”
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フィクションか?ノンフィクションか?
いずれにしても、大学生くらいの年代の人に読んで欲しい -
最初は姜さんノンフィクションだと思って読み始めたから、姜さんのナルシストな感じが引っかかったけど、
「先生」と「僕」のフィクション小説だと気づくと
世界に入り込めた。夏目漱石「こころ」に似てるけど、もっともっと噛み砕いて離乳食みたいにしてくれた、甘く優しい哲学