寵妃ロクセラーナ

著者 :
  • 集英社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087831030

感想・レビュー・書評

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  • オスマン帝国の有名な皇后について、旅行記作家である著者の見聞をまじえた小説。
    世界的にヒットしたドラマ大作「オスマン帝国外伝」がとても面白かったので、読んでみました。

    オスマン帝国とはどういう成り立ちだったか、など基本的なことがわかりやすく書かれていて、参考になりました。
    ドラマの方が(創作も含めて)非常に詳しいため、小説としてはいささか物足りない内容ですが、日本語の資料は今でも多くはなく、この時期にはもっと少なかったはず。

    壮麗王とも称されるシュレイマン大帝は、16世紀にオスマン帝国の最盛期を築いた人物。
    後宮には多くの女性たちが暮らしていて、その女奴隷の一人だったフッレム(ドラマではヒュッレム)が寵愛を得て、のし上がっていく。
    フッレムはウクライナ出身だったため、「ロクセラーナ」とも呼ばれたのは「ロシア女」という意味。
    美貌なだけでなく教養があり、皇帝を心から愛し、子供たちを愛する母親でもあった。
    悪賢い策謀家とも言われてきたが、それだけでは寵愛が続かないだろう?という気はしますよね。
    争いは、フッレムがいない前後の時代にも続いていたのだから。

    後宮はもともと少し離れた別な建物にあったが、フッレムが子を何人も生んで一緒に暮らすようになったため、近い関係になったとか。
    大帝の妻や娘たちが寄進して出来た建物など、往時の栄華をしのばせる資料も興味深かったです。

  • オスマン帝国やトルコに興味があるけど、詳しくは知らない人にオススメ。

    小説としては、ツッコミどころが多々あります。

    題名の主人公?ロクセラーナや、登場人物達それぞれの深いエピソードが少なすぎて、なぜそのような行動をとったのか、なぜ人からそう思われたのか、などに説得力がありません。

    全体としては、シュレイマン一世時代のオスマン帝国と神聖ローマ帝国や周辺諸国との関係が、簡単にわかりやすく書かれていているので、世界史副読本として良いかと思います。

    私は、世界史の地図やトルコの地図を見ながら読んだので、面白く読めました。


  • 篠原千絵『夢の雫、黄金の鳥籠』つながりで。十何年ぶりかの再読。自分を引き立ててくれたイブラヒム・パシャに対しては、スルタンの愛妾として礼節をもって振舞われても、どこか自分のことを奴隷女あがりが、と思っているのではないかと疑い、スルタンに讒訴。ムスタファ王子についても、我が身、我が子可愛さに、悪い噂を吹き込み。娘婿可愛さに、大宰相人事にも口を出す。さらりと書いているけど、良い印象ではない。もっとも、彼女の立場からすればもっともなことであり、受け入れたスレイマンに最終的には責めを帰すべきだろうとは思った。どう悪く言われようと、払いのけ、地歩を固め、ついには皇妃にまで登りつめたのは、それ相当の力量だったのだろう。

  • 篠原千絵さんが漫画にしている、ということで、漫画ではなく、小説を手にとった。
    興味深い人物だが、小説のキャラクター作りとしてはとても普通に思える。しかし、当時の歴史状況が丁寧にわかりやすく書かれていて、とっかかりとしておもしろかった。
    確かに、篠原さんの漫画で読んだらおもしろいに違いない、と思った。

    明日くらいに届きます。ふふ。

  • 真っ白でありながらも真っ黒なロクセラーナが楽しめる一冊。
    でも、この物語の本当のヒロイン(笑)はイブラヒム・パシャなんだからね!
    イブラヒムと自分の旦那の関係に嫉妬するロクセラーナが…なんとも言えないです

    個人的にロクセラーナがイブラヒムに拾われるときのシーンが好きかなー。

  • 975.初、並、カバスレ、帯なし
    2011.12/3.万陽書房

  • ウクライナ出身でスルタン・シュレイマンの寵妃となった女性を中心にした小説。人を売買しちゃうのは考えものだけれど、宗教、出身、身分を問わず人材を登用する寛容さは、イスラム世界の方が西洋よりも優れていたことの1つですよね。

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著者プロフィール

東京生まれ。津田塾大学英文科卒。雑誌編集者を経て、フリー。1981年に初めてイスタンブールを訪れ以来、足繁く訪土を続け、現在はトルコ研究者としてトルコ文化をメインに、旅行記や歴史物語を執筆。主な著者に「なにかを始めたいあなたへ」(じゃこめてい出版)「イスタンブール、時はゆるやかに」(新潮文庫)など。故・澁澤龍彦氏の妹。

「2008年 『女、五十歳 さあ、これから』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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