マナーはいらない 小説の書きかた講座

著者 :
  • 集英社
3.73
  • (60)
  • (121)
  • (95)
  • (19)
  • (2)
本棚登録 : 1561
感想 : 147
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087900156

作品紹介・あらすじ

三浦しをんが的確かつ楽しく伝える、小説の書きかた講座。
伝説のWeb連載「小説を書くためのプチアドバイス」が、書きおろしやコラムを加え、『マナーはいらない 小説の書きかた講座』として、ついに単行本化!
長編・短編を問わず、小説を「書く人」「書きたい人」へ。人称、構成、推敲など基本のキから、タイトルのつけ方や取材方法まで、本書タイトルにあやかって「コース仕立て」でお届けする大充実の全二十四皿。あの作品の誕生秘話や、手書き構想メモを初公開。もちろん(某きらめく一族への)爆笑激愛こぼれ話も満載で、全・三浦しをんファン必読の書!

*本書より、一部抜粋
ようこそいらっしゃいました ―まえがき
一皿目 推敲について ―お庭の手入れは万全に
二皿目 枚数感覚について ―迷子にならぬために
三皿目 短編の構成について(前編) ―シチュエーションか感情か、ご自由にお選びください
四皿目 短編の構成について(後編) ―具体例でご説明、自作を挙げたら首が絞まった風
五皿目 人称について(一人称編) ―視野狭窄に陥らぬようご注意を
六皿目 人称について(三人称編) ―考えすぎると地獄を見るのでご注意を
七皿目 一行アキについて(前編) ―息つぎはほどほどに
八皿目 一行アキについて(後編)―気づかいはほどほどに
九皿目 比喩(ひゆ)表現について ―様子がおかしいのは情熱ゆえ
十皿目 時制について ―「時間の魔法」をかけて
十一皿目 セリフについて(前編) ―耳をすました近所のおばちゃん風
十二皿目 セリフについて(後編) ―さまざまな戦法の盛りあわせ
十三皿目 情報の取捨選択について ―建物や街の描写、文章仕立て
十四皿目 取材方法について ―お邪魔にならぬ程度に
十五皿目 タイトルについて ―三つの発想法を駆使して
十六皿目 情報提示のタイミングについて ―情景や登場人物を思い浮かべて
十七皿目 高揚感について ―中二の魂が叫びたがってるんだ風
十八皿目 描写と説明について ―納豆を何回かきまぜるかはお好みで
十九皿目 書く際の姿勢について ―当店に寄せられたお声、その一
二十皿目 文章、書き進めるコツについて ―当店に寄せられたお声、その二
二十一皿目 構想と構成、登場人物について ―当店に寄せられたお声、その三
二十二皿目 お題について ―真面目さと胡椒は同量ぐらいで
二十三皿目 短編と長編について ―「キレと余韻(よいん)」「構成力」を隠し味に
二十四皿目 プロデビュー後について ―旅立ちを見送る書き下ろし風味
またのお越しをお待ちしております ―あとがき

作家・三浦しをんが「小説」を真正面から考えた――。
「小説を書くのは自由な行い」だがしかし、「ここを踏まえると、もっと自由に文章で表現できるようになるかもだぜ!」

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 私は、小説を書きたいとは思わないし、俳句や短歌も詠まない。
    本書は「小説の書き方講座」という本だが、「小説の読み方講座」というエッセイとして読んだ。

    テレビは観るし、音楽もよく聴く方だと思う。
    新聞や本も読む習慣があるが、これらは全てinputだ。
    outputが重要だとよく聞くので、facebookとinstagram をしているが写真が主で文章はほぼ無い。

    何年か前に"ブクログ"に出会った時、文章を書く(頭の中を整理する)のにちょうど良いと思った。

    最初はいろいろと悩んで書いていたレビューが、最近はダラダラと単に長いだけになっていると感じる。
    600字くらいの文字数に納めるのが、考えをまとめるのには良いのだろう。

    しをんさん曰く、「小説家になるには、普段から言語のインプットとアウトプットを意識的に実践する」ことが必要らしい。
    しをんさんは、目に映ったものや感じた気持ちを脳内で言語化する習慣が身についていて、毎日脳内でしゃべり続けているそうだ。

    途中からレクチャーする話題に困り、
    小説を書く際に要求されるのは、たったひとつ「センス」です。
    大切なのは「慣れ」です。
    小説の書き方について的確にアドバイスできる人はそうそういない。
    と、開き直っている。

    小説をたくさん読んで、どこが面白かった(つまらなかった)かを考え言語化することが「センス」になるのだそうだ。

    こんなレビューだと、役に立たない本のように思われそうですが、技術的なことも沢山書かれているのでご心配なく。
    例えば、
    登場人物の魅力を前面に押し出す作品の場合、「登場人物の年齢や外見をなるべく早く情報提示したほうがいい」という法則がある。
    このくだりを読んでピンと来たのは本屋大賞の「成瀬」だ。
    読む前に表紙に「成瀬」の姿が描かれているのだから最初からイメージはバッチリだった。
    本屋大賞の要因の一つは表紙の絵だと思った。

    しをんさんの特技である「アホなことならいくらでも書ける」モードは全開だったのでエッセイとしても最後まで楽しめました。

  • 2021-2-1 あゆ美さんへ

  • 突然HiGH&LOWの二次創作みたいなの始まって爆笑した。HiGH&LOW最高なんだよなぁ〜〜〜〜〜〜〜!!!!
    オタクっぽい言い回しやツッコミが良い意味でクセが強くて、気軽に楽しみながら読めた。真面目な部分はきちんと丁寧に自作を用いて説明してくださるので勉強にもなった。HiGH&LOW大好きだけどHiGH&LOWの良さを上手く言語化できなかったので、先生が語るHiGH&LOWの魅力を読み、ああー!なるほど!こういうことだったのか!HiGH&LOWの謎の熱さは!!と勝手に納得。HiGH&LOWのファンブックの評価みたいになってしまった。

  • 「ハウツー本」風エッセイ。オタ全開で自虐と暴言のしをん節で楽しかった。小説への構成やこだわりなど「書きたい人」へ送るしをんさからのプレゼントかな。小説を書く上でのさまざまな「戦法」のネーミングが面白かった。

  • 小説の書き方で紹介されていたのを何度か目にしたので入手してみた。

    著作を引用したり例文を出したりしている=実例とともに説明されるので、わかりやすい。「この作品は、この要素をきっかけに書くことを決めて、こういう順で思考していって〜」と、作品ができるまでの流れも紹介されており、「小説を書きたいけど、どこから手をつけたらいいのかわからない」レベルの人にも役に立つ。すでに書ける人は「こういう発想で構築しているのか」「自分の作り方と同じだ」などの発見になる。
    参考として著作の解説=ネタバレをしなくてはならないことにしょんぼり(オチを知ったら読まなくていいと考える人がいる)しているが、むしろ「こういう発想や過程を経て完成した作品は、どんなものだろう」と興味を持たせることもできると思う。ただの読み専は手に取らないことがあっても、作る側にいる人ならそんなことはないはず。

    『ハイロー』については「あばたもえくぼ」というか、「好きな作品ならちょっとくらい(で済んでるのか?)の矛盾も、急に生えてきた設定も、ぜーんぜん気にしない!」という勢いがすごい。これが情熱か。
    説明も交えて面白おかしく書いているので、『ハイロー』を見たことがなくても楽しく読める。つまり読ませる力がある。

  • 「物語ってどう作られるのかな」と気にしながら図書館の棚をブラウジングしていたところ、ぱっと目についた本。
    三浦さん、こんな本を出していたんだと驚き、手に取ってぱらぱらとめくってみた。
    そしたら目に飛び込んでくるおもしろワードの数々。
    読まねばと決心し、借りてみた。

    作家って、全部頭のなかで完結しているのだと思っていた。
    人によるだろうけど、設定メモなどがあるとは。
    自分の能力を考えたら、もちろん必要だとは思うけど。

    三浦さん自身、とても物語を楽しんでいる。
    読むほうでも。
    より良い読み手になるために、いったん書き手を経験してみるのもいいかな、と思った。

    「創作物」の捉え方と「客観性」の説明は、自分の考え方とよく似ていると思った。
    書いている人と書かれた作品がある以上、それは現実のものだし、客観性は人を想うからこそだ。

    読みたい熱と書きたい熱が盛り上がってきたので、まずはWordで20字×20行に設定したテンプレートを用意しておこう。

  • ハイローの話がたくさん出てきて、めちゃくちゃハマってるじゃんと笑ってしまった。
    三浦しをん先生の小説の書き方エッセイ。1から小説はこう書きますよと教えてくれるものじゃなく、ある程度小説を書いている人向けかな。プロを目指す人へのアドバイスというか。
    先生がどうやって小説を書いているかを知れたのと、オタクが好きなものにキャッキャしてる様子を見るのが好きなので、面白かった。

  • 三浦しをんさんの小説の書き方エッセイ。しをんさんの小説が好きなので、裏話が読めて楽しかったです。あと、ところどころ話が脱線し、『推し』の話になるところがツボです。気がつくと『推し』の話ばっかりしてる人が好きなので。
    最後に、小説を書いてると一人で仕事をしてる気持ちになるけども、実際はそうではなく、相手(読者や編集者)がいるので、コミュニケーションは大事にしないといけない、とありました。何をするにも、コミュニケーションは大事!身に染みました。

  • 書きたいものを自由に作る三浦しをんさん(勝手にそう思っている)、よくこの連載執筆を引き受けたなあ。24皿も!

    1皿目に「念入りに推敲するのも、非常に大事です。」真面目な語り口は、しをんさんが真面目に書く本なのかと。

    2皿目文頭に「小説なんて書いてられっか!」とすでに皮が剥がれている。

    7皿目『一行アキについて』と、もちろん真面目にアドバイスされつつ。

    9.10皿目『HIGH &LOW』を熱く語り脱線はさみ。

    17皿目副題-中ニの魂が叫びたがってるんだ風。

    あとがき「やはり二十四皿は過剰接待(?)だったかすみません」って。

    楽しいなあ。

全147件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

三浦しをんの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×