君の地球が平らになりますように

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087900972

作品紹介・あらすじ

令和最注目の小説家・斜線堂有紀が描く、4つの地獄の恋路。『愛じゃないならこれは何』に続く、恋愛小説集、ウェブ掲載の4編に加え、書き下ろしを加え書籍化!!

・君の地球が平らになりますように
地味で冴えない女子大生・小町は、同じサークルの東が好きだった。けれど人気者の東は、小町には到底手が届かない存在。
そして数年が経ち、再会した東は変わり果てていた。いわゆる『陰謀論』にどっぷり浸かった彼は、周囲から孤立していたのだ。小町は思う。……今なら東と付き合えるかも?

・転ばぬ先の獣道
トラと月子は、学生時代からのカップル。トラはいつも誰かに頼られて、周囲には人が絶えない。彼と付き合っている月子はそれが自慢だった。
でも、一緒に棲んで何年たっても、二人に結婚の話はない。このまま結婚出来ないことを危惧した月子は、マッチングアプリを使って『保険の男』を探すことに……。

・彼女と握手するなら無料
地下アイドルグループ『東京グレーテル』の黒藤えいらと握手するなら三千円。時間は大体十秒。三倍出してくれるなら三十秒。ファンはえいらと触れ合うために、
お金を払って並んでくれる。来てくれるファンたちのことを、その瞬間だけえいらは好きになる……。
そんなえいらが彼氏を作ったのは、25歳の時、アイドルとしてピークを迎えた頃だった。

・大団円の前に死ぬ
仁愛は、担当ホストと結婚するのが夢だ。そのために、風俗で必死で稼いだお金を、何百万円もシャンパンに代えてきた。
しかしある日、自分の担当にいきなり200万の酒をいれる女が現れた。仁愛の生き別れの姉だ。
その日を境に、姉妹同士による歌舞伎町での血で血を洗う戦いがはじまった。

その他書き下ろしを収録!!

【著者プロフィール】
斜線堂有紀(しゃせんどう・ゆうき)
第23回電撃小説大賞《メディアワークス文庫賞》を『キネマ探偵カレイドミステリー』にて受賞、同作でデビュー。『コール・ミー・バイ・ノーネーム』『恋に至る病』『楽園とは探偵の不在なり』『廃遊園地の殺人』など、ミステリ作品を中心に著作多数。恋愛小説集『愛じゃないならこれは何』絶賛発売中。

感想・レビュー・書評

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  • 恋愛に真っ直ぐ向き合う彼女に魂が洗われる。心情描写が見事な短編集 #君の地球が平らになりますように

    ■きっと読みたくなるレビュー
    斜線堂先生がお得意の男女の色恋沙汰。
    いつもの通り、愛しさと切なさ心強さを感じる書きっぷりが素敵な短編集でした。

    「愛じゃないならこれは何」と同様に、登場人物の心情描写がウマイ。欲望、不安、すれ違い、悲しみなど、何とも言えない感情が伝わってきて、魂が震える震える。

    そしてなんといっても、みんな純粋で綺麗!
    私の汚い恋愛観をゴシゴシと洗ってくれました。

    ■短編ごとの感想文
    ・君の地球が平らになりますように
    地味目な彼女が、人気者の彼氏のために尽くし過ぎる物語。
    盲目的に人を愛する描写が胸を抉られる。必死になれることは幸せなのか、不幸なのか。ただただ恋愛至上主義の哀愁を感じる。

    ・『彼女と握手する』なら無料
    アイドルとファンと彼氏の色恋模様。
    アイドルは自分自身が商品になるという因果な商売。でも所詮はひとりの人間なんだよね。主人公の純粋すぎる性格は嫌いじゃない。

    ・転ばぬ先の獣道
    すごーく良くありそうな、長く恋愛してきたカップルの物語。
    こういうモテる男いるよね~ 愛なんて自己犠牲なんだから、持ち合わせてない奴なんて背中が煤けて見えるでしょうに… どこがいいのか、おっさんの私にはさっぱり分からない。

    だからお前はモテないんだ!という反省はさておき、ひとつ成長した彼女を応援したくなりました。

    ・大団円の前に死ぬ
    超面白い★5+
    これこれ! 愛憎まるだし、リアルで醜い描写満載のホスト遊び絵巻。大好き!今のところ今年読んだ短編の中で第1位。

    ほんとお金と時間と熱意の無駄なのに、ホストを奪い合って金のかかる男を平伏しているという優越感だけで生きている。鬼クソくだらないと自身でもわかってる、でも超真剣で誠実なのよね。歪んた愛情が最高に下品で力強い!

    話の展開もめっちゃ上手でどんどん読ませる。ライバルが出てきてからの盛り上がりは完璧でした。

    ・平らな地球でキスはできない
    なるほど、だからこういうタイトルですか。読み終わって納得です。
    みんな根はいい奴なのに、男女の仲って難しいですよね。

    ■推しポイント
    年齢を重ねると、仕事、家庭、お金、老いた両親など、日々生きるだけで必死になり、本作のような恋愛話とは縁遠くなっていきます。でも本作に出てくる彼女たちの悩みは肌で感じるし、感情は痛いほど胸に刺さる。

    結婚できない人が増え、経済も先細り、少子化が進んでいると言われてますが、世の中には必死に恋愛社会を生きている人もいっぱいいますよね。

    恋愛万歳でいいじゃないか、それが正義だ。
    斜線堂先生の純真な想いと、若い人たちの恋愛を応援したくなる作品でした。

  • 失恋の話は いつでも辛いものですが
    愛されたいという気持ちが
    分かるだけに苦しい
    バックグラウンドが 現代風になろうと
    その血まみれの叫びは
    変わらんのですよ

    一番好きなのは
    ホスト狂いの 「大団円の前に死ぬ」
    バカくさいシャンパンコールに
    何十万 何百万とつぎ込んで
    つぎ込んだホストもクズ なのに
    姉妹の関係が美しくて
    泣けてきちゃう
    思う存分 ホストの横っ面を
    札束で張り倒してやれ

  • 2023/10/22読了
    #斜線堂有紀作品

    「愛じゃないならこれは何」の続編。
    拗らせた恋愛短編集。
    前作もそうだったけど恋は盲目。
    これに尽きるストーリー展開。
    自分でもヤバいと気づきながらも
    抜け出せない、抜け出したくない沼。
    最高に不幸で最高に幸せな恋愛劇。

  • 【noteで無料公開!!】斜線堂有紀の新作短編「君の地球が平らになりますように」公開&12月に新作恋愛小説集刊行決定!!|株式会社集英社のプレスリリース
    https ://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000356.000011454.html

    【試し読み】斜線堂有紀の恋愛小説『君の地球が平らになりますように』|JUMP j BOOKS|note
    https://note.com/jump_j_books/n/nf6383723df84

    君の地球が平らになりますように/斜線堂 有紀 | 集英社 ― SHUEISHA ―
    https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents_amp.html?isbn=978-4-08-790097-2

  • 『愛じゃないならこれは何』の続編です。
    前作とリンクしている話があり、面白かったです。
    相変わらず、突き進むと大変なことになるのが分かっていてもやめられない恋の話です。
    前作で主人公たちに意味深な言葉をかけてきた登場人物が、どんな地獄の恋をしてきたのか、繋がった快感がありました。
    今回印象的だったのは表題作です。陰謀論にハマった憧れの人に、今なら近づける!と頑張る女性の話です。
    地獄に耐えられなくなるのが先か、とことん突き進めるかは、短編によって違うので、結局は人によるようです。
    でも、どちらの展開にしてもしんどいですね。やっぱり現実でこんな恋はしたくないです。

  • 恋愛×地獄小説 その2。

    憧れの彼が陰謀論にハマり孤立した今なら私でも手が届くかも⋯⋯と信じてもいない陰謀論を肯定し続ける表題作の他、地獄(かもしれない場所)に向かってひた走る女の子達。
    やはりハッピーではないけれど、なぜか悲壮感もなくて、こちらもすごく好きです。

    『愛じゃないならこれは何』と関連するお話もあるので、あわせて読むのがおすすめ。

  • #読了 #君の地球が平らになりますように #斜線堂有紀
    5編の恋愛小説集。
    『大団円の前に死ぬ』が今までの斜線堂先生にないような感じで新鮮で面白かったです。ホストと結婚したい歌舞伎町の姫。生き別れた姉も同じホストに一目惚れしてしまう…

    疑似恋愛と割り切り、深入りしなければ楽しそうかも。

  • 特殊設定本格ミステリで最近よく聞く斜線堂さんの恋愛小説短編集。やられました。これは面白すぎる。
    かつてのサークルの人気者が、陰謀論に傾倒していって孤立していく話。それに寄り添う日陰の女。
    初っ端の短編から強烈などんでん返しと悪意。前日譚もあり。
    推しの裏切りが耐えられないメンヘラ地下アイドルの話。これも展開がいい。リアルなのかアンリアルなのかよくわからない登場人物の心理。
    映画サークルの結婚してくれない人気者と寄り添う女。最初の短編と構図は似ていますが、非道なのになんかさっぱりした話。爽やか。
    ホスト狂いの女が、家を出て弁護士になった姉とホストクラブで再会して、札束で叩き合いながら推しホストのラストソングを争う話。ドラマ化してもよいような独創的なプロット。

  • 【収録作品】君の地球が平らになりますように/『彼女と握手する』なら無料/転ばぬ先の獣道/大団円の前に死ぬ/平らな地球でキスはできない

  • 斜線堂有紀の恋愛小説はやはり斜線堂有紀だなと思うほどに斜線堂有紀だった(何を言ってるのかわからない

    どれもこれも全然まったくカケラも共感できない恋愛なのに、どうしようもなく心をわしづかみされる。
    こんな恋はしたくない、こんな人を好きにはなりたくない、それなのにどうしてこんなに惹かれるのだろう。
    誰も彼もが好きになる人気者たち、その人と一緒にいることで自分の価値もあがるような。そんな人との恋愛の、ゆるぎない間違い。外から見たら「おかしいよ」と言いたくなるその関係のなかで、それでも好きでいる自分とのあるいみ戦いのような恋愛たち。
    たとえようのない居心地の悪さと、自分はこうならない、という妙な安心感。なのに、どこかうらやましくもある盲目性。
    それぞれの章のタイトルもいいね。好きだ、このタイトルたち。
    一番好きなお話は「大団円の前に死ぬ」。思わず泣いてしまった。これはずるい。ホストクラブには行ったことがないし、わからない専門用語だらけだけど、この姉妹の関係には泣くでしょう。斜線堂有紀、ずるいねまったく。

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著者プロフィール

2016年、『キネマ探偵カレイドミステリー』で第23回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞してデビュー。楽園とは探偵の不在なり』『恋に至る病』『コールミー・バイ・ノーネーム』ほか著書多数。

「2023年 『百合小説コレクション wiz』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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