- Amazon.co.jp ・マンガ (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784088645933
感想・レビュー・書評
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「別マ」(別冊マーガレット)を夢中で読んでいた中高生の頃、一番好きだったくらもちふさこ先生。四十年以上たったのに今も変わらず「少女マンガのセンターコート」(よしながふみさんの言葉)を走り続けている。絵柄が以前とはあまりにも変化していて、どうにも手が出なかったこの作品を、思いきって読んでみた。うーん、やっぱりすごいわ。
人は思春期の文化を乗り越えられないと誰かが言っていたが、まったくそうだなあと思う。私にとって初期のくらもち作品は絶対の別格で、もうそれは作品としてどうかとかを越えたものだ。とにかく、マンガの中の世界が自分と地続きのものだと初めて感じたのが、くらもち先生の描くものだった。いやもちろん、そこに描かれているのは、片田舎のさえない子どもからみれば充分オシャレな都会の男の子女の子ではあったけれど、街に行けば、確かにこういう人たちがいるのだろうと思わせる実感があった。
高校の頃は「りぼん」が主流派で、陸奥A子先生の描く、本にブックバンドをかけて持つスタイルが人気だったけど、あれは私にはほとんどファンタジーだった。かわいくてきれいで、自分には縁のないもの(だからこそ憧れたけど)。くらもち作品の主人公たちは、必ず自分にも覚えのある影を抱えていて、その心の動きが丁寧に繊細に描かれていた。しかも、それはセリフなどの言葉で「説明」されるものではなく、絵から伝わってくるものだった。だから忘れられない。
本作の主人公は二世俳優で、映画やテレビなどの華やかな世界が舞台だ。それでも、やはりかつてと同じような「実感」がある。同時に、「劇中劇」のように、俳優たちの現実と交互に描かれる映画やテレビドラマも、独立した作品としておもしろく、現実と混ざり合って深みのある内容になっている。さすがだ。 -
妃子・理一ともにはじめは自分と似たようなキャラクターを演じていたけれど下巻では、そうではなくなっていて成長を感じる。
演劇、女性・女優としての成長・・・というと「ガラスの仮面」を思い出すけど、アレとは全く別物でくらもち作品らしいスタイリッシュさがイカしてます。
恋をしていてもそれだけが全てではないっていうか、どの作品も惚れたはれたでうじうじ、ぐだぐだしていないところが長年好きでいられる理由かも、と今回はじめて思いました。
やはり下巻巻頭の最終兵器が「体当たり」・・・のおかしさと同時に哀しさにやられちゃった。 (初読 2011年9月10日)
さいどく 2012年9月16日 -
キリに恋した
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キリも格好いいけれど、理一も捨てがたい。
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へたな映画を観るよりも、この作品を読んでもらいたい。くらもちさんの頭の中はいったいどうなってるんでしょう。素晴らしい。ほんとに。
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「上」で感じたひとつひとつの面白さに加えて、4人の関係性とか主人公の成長過程も楽しめます。
普通の恋愛マンガに終わらない、人生の妙とか続いている感じを示唆している感じの終わり方も大好き! -
なんと実験的な!読んでもらえればわかります。その構成力に舌を巻きます。
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くらもちふさこだからこんな構成を考えられたんだと思う。
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α、下巻。感想は上巻に同じ。
「天然コケコッコ-」は読んでないんですよねえ。どうしよ...
「天然コケコッコ-」は読んでないんですよねえ。どうしようかなと思いつつ今まで来ました。
この「α」は凝った構成になってて、コミックスとかは「α」と「α+」と分けて出ているみたいですが、この本のように、映画やドラマと現実が交互に描かれる方がずっといいように思いました。
「アンコールが3回」のような芸能界ものってくらもちふさこお得意のパターンで(と勝手に思ってる)、デビューまもなくにも一連の芸能界もの(というよりアイドルもの)がありました。好きだったなあ。あまりにも思い入れが強くて読み返せません。