- Amazon.co.jp ・マンガ (144ページ)
- / ISBN・EAN: 9784088827827
作品紹介・あらすじ
自分の才能に絶対の自信を持つ藤野と、引きこもりの京本。田舎町に住む2人の少女を引き合わせ、結びつけたのは漫画を描くことへのひたむきな思いだった。月日は流れても、背中を支えてくれたのはいつだって――。唯一無二の筆致で放つ青春長編読切。
感想・レビュー・書評
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「このマンガがすごい2022男性部門」第一位。
たった一巻。セリフ最低必要最小限。
コレを一位に推す若者たちに
ついていけなくなっている自分に
愕然とする。
きわめて真っ当な「友情・努力・勝利」。
石ノ森も50年前に試みた絵巻物語。
でも、若者たちにとっては、初めて見る世界。
それをイジる権利は、
私にはおそらく髪の毛一本ぶんもない。
だいたいのストーリー
自分の才能に絶対の自信を持つ小学四年生の藤野と、引きこもりの京本。(←2人合わせれば藤本になる)田舎町に住む2人の少女を引き合わせ、結びつけたのは漫画を描くことへのひたむきな思いだった。
藤野には斬新なストーリーセンスがあり、京本には圧倒的な画力があった。それぞれが才能を認めて嫉妬し、そして2人で高め合う季節と、別れて道を進む季節。
そんな時、現代世界の「あの事件」に似た悲劇が起きる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
チェンソーマンより好き。
先に短編で作品に込めた想いを読んでいてよかった。
読んでなくてもきっとよかった。
こんな想いができる漫画が生まれてるのね、漫画も読まなければ… -
レンタルで読了。
普段、漫画を読まないからでしょうか。ブグログでの皆さんの評価のようにはなりませんでした。
それでも、時間(季節)の経過(流れ)が【絵】だけで表現されているのを見るのは面白かったです。 -
評判のマンガだそうですね。例えば、絵柄というか、人物の表情の描写とかに、苦手な印象で読み始めました。おおむね、新しいマンガ家についていいけない老人です。
しかし、この作品に繰り返し描かれる後ろ姿、一生懸命漫画を描く二人の少女の、表情ではなくて、後ろ姿に込められたマンガ家の「おもい」には胸を衝かれました。 若い人たちの素直でナイーブな感性に触れた気がしました。
もっとも、読み終ええ、すっきりというわけにはいかなかったわけで、まあ、年のせいかなとか、いろいろ考えこまされました。
ブログにもうだうだ書いてます。覗いてみてください。
https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202112300000/
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中途半端に目覚めてしまった明け方に、Twitterから目に飛び込んできた「ルックバック」。
あっという間に、いろんな人が、いろんな想いを呟いて、それが嬉しかったり、もどかしかったり、とにかく色んな波を社会にもたらした。
コミックスになると聞いて、今度は紙の本で読んでみたいなって、すごく思えた。
冒頭の、小学生の描いた四コマ漫画を中心にした構成が、めちゃくちゃ好きで。
そこから、四年生の藤野ちゃんの、絵にのめり込んだり、冷めたりする過程が、自分のことのように感じて、いつの間にか話にハマっていた。
そして、運命の日。
扉一枚を隔てた世界から、京本が慌てて藤野ちゃんを追いかけるシーンも。
勝てないと思っていた京本から熱い声援を送られて、藤野ちゃんが思わずステップを踏むシーンも。
それが、運命の日で、良いのだと思う。
この後の話は、ネタバレにもなるので、以下略。
想いを表現することは、それまでに、すでに作者自身が闘ったことでもあるんだと思う。
私は、自分のために、最後まで読めて、最後まで描いてくれて、良かったなと思ってる。
忘れられない作品になった。お疲れ様でした。 -
もっと若い頃に読みたかった。そしたらもっと感動したし共感できたんだろうな。学生時代に人生を変える出会いが有るって素晴らしい。夢中になれる物がハッキリしていて真っ直ぐ進んで行けるって眩しい!後半は後悔、絶望、の後の希望みたいな感じで一冊完結にぎゅっと内容が詰まった作品でした。
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漫画が売れていく流れで挫折があるかと思いきや
そのまま上手く行ってしまうのかと…
自分の予想通りにならなくて不満なのかな。 -
経験をしたことがある人はわかると思うが、マンガでも小説でも音楽でも創作作品を生み出すということは、比喩ではなく我が子を産みだす感覚にかなり近い。自分の身と心を削り捧げる、つまり自分という人間をかなり根こそぎ差し出す行為だからだ。その証拠に作り上げた直後、達成感が強すぎてすぐに気づかないが、消耗感がもの凄い。(余談だが、マンガ原作者の気持ちを軽んじたテレビ局や出版社界隈の人間がそのことをあまりにわかっていないことには絶望したし、その作者が生み出すものが自分たちの生きる糧なのにも関わらずその敬意のあまりの無さを心底軽蔑する。そんなことをやっている猟師がいたとしたら間違いなく自然に殺されるだろう、それと同じ行為だ。)もとい、描くことがつなぐ2人の友情は、ともに自分の人生を内面から差し出す行為とともにあったわけで、それは相当に深い絆だったろう。お互いの才能に惹かれ惹かれあった人と出会えた喜びを爆発させる雨の帰り道、マンガ賞を受賞したことを2人で確かめた雪の降る日のコンビニ、そして同じ部屋で黙々と作品を描くことに没頭している間2人はお互いに背中を向けていて、ふと振り返った時にその自分の人生を支えてくれる存在がいることの喜びを奇跡を何度も何度も噛み締めただろう。部屋に掛けられていた半纏の背中の筆跡に、実際は2人で描いたものではない連載マンガの単行本の描線に、確かに2人でやってきた痕跡を見つけ、自分たちの人生はお互いが振り返った時の友の姿で支えられ導かれていた、それはこれからも続いていく、いや、続けていくのだ。卓越した表現力でかけがえのない友情の姿を描いた素晴らしい作品だった。