- Amazon.co.jp ・マンガ (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784088920832
感想・レビュー・書評
-
「アルコール依存症は本人のせいじゃない」
酒に依存しつつあった匠はその言葉に激しく動揺する。疎遠になった彼の父・道男もまたアルコール依存症だったのだ。偶然にも繋がった親子の縁は治療に何をもたらすのか。
「アルコール依存症は『家族の病』でもあるんです」
「楽しいお酒を飲んでいるアルコール依存症患者なんて1人もいませんよ」
本人も家族も苦しみに飲まれる病。そんな溺れそうな時だからこそ、人の手を借りて引き上げてもらうことが大事なんだよね。
「アルコール依存症を最も悪化させるのは『孤独』です 愛では治せない病気ですが愛は必要なんです」
前巻で語られたアルコール依存者へのスティグマ。孤独を埋めるために飲んでしまうのに、より孤独にさせてしまう社会は悲しい。それを医療に繋げられる保健師の存在は心強い。
イネーブリングについてはアルコール依存症に限らず、いろんなことに通じる話だなと感じた。当事者の代わりにしてあげるのは愛だと錯覚しがちだけど、自立する足を引っ張っているだけだったりするんだなと。こういう風に知識をつけることで、強力な武器にも防具にもなる。最後、親子二人の対面は泣けてくるシーンだった。いろいろあったけど、これからは同志として戦っていってほしいな。
そして、続いての産後うつ編も重い開幕。この話もいかに医療と繋がるか、助けを求められる場所を見つけるか、その知識があるかどうかが大切だと痛感する。母子の命を左右する恐ろしい病気。弱井たちはどんな風に手を差し伸べていくのだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アルコール依存症のエピソード、完結編につづき、産後うつのエピソード。コンパクトにエピソードがまとまっていて、比較的うまく治療が進むのだが、ピットフォール的な問題もバランス良く配置しているようで、おもしろく読める。啓発的な作品。