ここは今から倫理です。 7 (ヤングジャンプコミックス)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784088923482

作品紹介・あらすじ

何故、人を殺してはいけないのか…。語り合う生徒たち──。長い議論の末、見出した答えとは──? そして、また、別れの時期を迎える──。
出会いと別れの意味を考える教師物語第7巻!!

感想・レビュー・書評

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  • 「何故、人を殺してはいけないか」
    最後の授業で対話する生徒たち。生きた「倫理」がここにある。高柳が言う通り、出会いと別れを何年繰り返しても不思議な事ばかりで、それが人間ってものなんだろうね。

    生徒たちのキャラがわかってからの締めの対話は、読者も一緒になって議論に深く潜っていく感覚を味わえるよね。
    「“良心”ってそもそも いつどこで教わったんだろ…」
    空白を染め上げるようなこの一言に痺れた。当たり前だと思っていることほど底が見えない。

    高柳の表情も見ていて飽きない。過去のゼミ旅行回も楽しかった。先生と高柳のうるさすぎる良心問答に笑いつつもグッときた。なんだかんだで甘やかしてくれてるよね。こういう面倒見の良さは先生譲りなのかな?でも、この頃からいろいろ抱えてそうだなって顔してる。なんというかこの後に何かあったのか不安になる。

    ぼくなりの「何故、人を殺してはいけないか」の答えはいくつかあって、
    「殺さない方が社会にとってもそこで生きていく上でも有益だから」
    「人の命に代わりはないから。後悔しても償えない」
    「殺すことが幸福になるために必要だと誤解していることがあるから」
    あたりかな。こういうことも対話していけたらもっと広がるのかなって思う。

    最後に好きな文章を引用して終わります。幸福も不幸も一人だけでは生まれないって痛烈な皮肉だなあって思ってしまった。

    p.39
    「マザー・テレサは言います 『この世で最大の不幸は戦争や貧困ではない 人から見放され“自分は誰からも必要とされていない”と感じる事だ』と 『幸福』も『不幸』も実は自分一人だけでは生まれないのだと…」

    p.71
    「ウィトゲンシュタインは言いました 『私の言語の限界が私の世界の限界である』と…一人で考えて思いつくものには限界がある 人から思いもよらぬ言葉を投げかけられた時…我々の考え方はきっともっと豊かになるでしょう」

    p.90
    「いつか未来『何故あの選択を』と後悔する事もあるでしょうが…しかしその時その瞬間の貴方にとってはその選択が“最善”だったと思って欲しい

  • 【あらすじ】
    何故、人を殺してはいけないのか…。語り合う生徒たち──。長い議論の末、見出した答えとは──? そして、また、別れの時期を迎える──。出会いと別れの意味を考える教師物語第7巻!!

    ・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

    感想は最終巻にまとめて記載予定です。

  • ついに、高柳先生の過去が出てきます。やはりイケメンです。しかし、ニヤリと笑う顔は少し苦手。怖いです。
    またまた、年度末恒例のディカッションも読み応えあります!このマンガは毎度毎度、話が重たいですが言葉の一言ひとことに重みがあり、目を背けてはならない大切なことを教えられている気がします。特にこの7巻良かったですね〜。

  • この一学年の集大成。
    最後に生徒だけのディスカッションが行われるが、
    自分だけでなく、自分以外の色々な価値観や考え方を想像して考え出して一意見として出していき、そこにまた更に疑問や意見を重ねていく…
    結果は時間内では出ないが、むしろ出ないことが正解で、人生とはそうして出ない答えに精一杯誠意を持って向き合って行くというのがこの倫理の時間が授業としてあるべき意味だと思うし、高柳先生の生徒たちの意見を聞きながら感動している意味も分かるから私も心がじんわりきた。

    最後の大学時代の話も好きだな。
    先生から、「それ、人に甘える手口だ。俺は引っかからんぞ」に笑ってしまった。
    過度な謙虚って、手口だよね。
    私も嫌い(笑)
    でも、高柳先生にそういう甘えられる存在があるというのは良かったなぁ、と思う。
    血が繋がってなくてもそういう存在があるからこそ飛び立っていけるんだとも思う。

  • 話し合いの回がめちゃよかった 時間足りないよな~~

  • 重い!おもいよ!
    でも、心に刺さる!
    感情に勝るものはないが持論です

  • 一番最初の話が好き。現在の自分が全力で考えて決めたことなら、もし未来に後悔するとしても素晴らしいことというの、しっかり覚えておきたい。音楽の良さが理解できなくても、人の好きなものを否定しない高柳先生が好きだ。
    それとは対照的(?)に、南条さんが対話により"最善"を決めたのも印象的だった。結構ぼかされて居るが、妊娠なのかな…。

  • 相変わらず面白かったな〜。
    最後の授業のなぜ人を殺してはいけないのか?を話し合う回がすごくないですか?それぞれのキャラクターにあった、なぜ殺してはいけないのかを展開していくの天才かな…?
    高柳先生の過去編もちょっとあって、それはわりとなんか結果ほっこりしました

  • 悩める生徒に倫理・哲学の言葉でもってアドバイスしたり一緒に悩んだりする漫画の第7巻。

    今巻は授業で「なぜ人を殺してはいけないのか」を生徒たちに話し合わせるのがみどころ。
    「法律で決まっているから」という点を皮切りに、なぜ法律で決まっているのか、昔の時代はどうだったのか、戦争で人を殺すほど称賛されるのはなぜか、自分が殺したいと思うときはあるか、あるならなぜしないのか、殺し合いが続いたら国が成り立たないといったさまざまなトピックが展開されていく。

    最終的に「良心の呵責」というキーワードから、殺人にかぎらず悪いことをした心の痛み、罪悪感を感じるように人間はできている。殺したくない、だから殺さない。そういう世界がいいという方向に話が進んでいく。そしてまとまったきれいな答えに整える前に授業は終了する。

    哲学の原点たる「対話」を、高校生なりの言葉を使って、それもバカっぽい生徒から賢しらな生徒までを織り交ぜた、いかにも現実にいそうなキャラクターでもって描いているのが出色。
    たとえ倫理で学んだ用語や人名を忘れてしまっても、ここで語ったことは生徒たちの心に残り続けるのだろう。自分もこういう授業を受けてみたかった。


    作中では「良心」の存在を重要ワードとしてあげているけれど、個人的にはなぜ人間は良心という機能をもつに至ったのかについても突っ込んでみてほしかった。まあしかしそれは生物学の範疇になるだろうか。

    自分について照らし合わせてみると、自分は父親に早く死んでほしいと願っているが、死ぬ「べき」であるとは思わないし、殺したいとまでは思わない。
    それは、父親はとっちゃん坊やではあるが彼なりに家族のことを思っているのは疑っていないし、温和な家族に育てられた自分が争い事を好まない性格であるから。もちろん法律だってある。平和な世の中で暴力を使うことの後ろめたさだってあるだろう。
    そういったもろもろの、いわば愛とか規則とか環境だとかの総体が、良心として自分の衝動的な行動に歯止めをかけているのではないだろうか。

  • #31
    そういうイベントに行きたくないと思ったことがなかったり、その日にしか味わえないものについて知らない人だと、中々肯定するのは難しいのかもしれない。
    彼の感覚が私には分かるけれど、他の誰かの気持ちだったり選択だったりは理解できないということはもちろんある。
    断定せず、ずばっと否定せず、そういう風に生きていけると良いな。

    #32
    読み始めるのに勇気が必要だった。
    最悪な結果を迎えた人が、振り返る形式の小説と同じ感覚で苦手だ。

    #33
    これは妊娠における選択の話か。
    産みたいけれど、産まないでと言われていて
    子を育てる/堕胎する という選択に迷っている。というより、殺してしまうくらいなら自分ごとと考えている。
    お父さんには言わないで、はいうべき言葉ではないよな。
    見た感じ優等生に見えるし、これまでは聞き分けて生きてきたのかな。

    #34,35
    総括。六本さん、柔軟で間違ったと思ったらすぐに訂正して謝れて一貫して素敵な人だな。
    同じレベルの高校に入っていることである程度均されている部分はあるにせよ、背景の異なる人間が、1年の授業を受けて、ここまでの話ができることってすごいことだよな。
    たまたま人の生き死にについて関わっている人が多いとはいえ。自分が高校生の時に、こんなテーマで話し合ったとして、この本の中のようなところに行き着けたかな?重めな東野圭吾さん作品を読んでいたから、テーマとしては近しいことも考えたりしていたとは思うけれど、倫理も哲学も選択できる授業すらなかったしな。

    あの一瞬の挨拶のどのあたりにサイコパスさを感じたのだろうか?表情?

    #36
    読み取れている気がしないのだけれど、こういう風にやりとりできる相手がいてよかったな、高柳先生。

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著者プロフィール

1990年生まれ。東京都出身。
初連載作となる『ALL OUT!!』では、独創的なビジュアルとキャラクターの描写、ラグビーシーンの迫力や熱い展開などが多くの読者から支持を集めている。

「2017年 『ALL OUT!!(11)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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