- Amazon.co.jp ・マンガ (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784088928081
感想・レビュー・書評
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転任して新しい学校に赴任した高柳。今までとは違う生徒たちの距離感に戸惑いながらも、様子を伺いながら高柳らしく倫理を教えていく。今回は宗教二世の回が一番好きだった。
というか、今までの生徒たちのようにある程度スッキリ解決の光が見えるという話が少ない。進学校でおとなしい生徒が多い反面、他者からの目線や評価が気になったり、素直さの仮面の下でもがいている生徒が多いような印象を受けた。一筋縄ではいかない生徒たちに、高柳先生が振り回されているのが新鮮。本人の考え通りまだ様子見で、この後からいろいろ変化してきそうではある。
授業一回目はいつも新鮮な空気を吸うように感じられる。
「『物理』が“物”のことわりであるように 『論理』が“きちんとしたことば”のことわりであるように…『倫理』とは“きちんとした人間関係”のことわりです シュバイツァーは言います 『倫理とは全ての生きとし生けるものに限りなく拡大された責任である』と…」
基本的には同じことを導入で言っているんだけど、読むたびに味が濃くなっていく。
宗教二世で信仰心に悩む長野。人を絶対に傷つけてはいけない。人を救えば自分も救われる。我慢を重ねて頑張っても結果的に嫌われて、自分自身も疲れてしまう。ぼくは信仰ではないけれど、相手に嫌われないように振る舞う中で同じ結末に至ることがよくある。これもまたある種の信仰なのかもしれないが。そこに高柳がかけた言葉──
「“信じたもの”が真実ではない “信じる”とはもっとそれ以上のものなのだ “信じること”そのものを真実にするのだ──と…フランクルは言いました 疲れたなら休みましょう…“信じている”のならその位してもばちは当たりませんよ 宗教は本来…人を苦しめるものではないのだから」
信仰は固くするものという概念を柔らかくしてくれた言葉だなと。宗教も常識とかもそうだけど、本来は人を助けるものだったのに、人を苦しめるものになってしまっているのはなんでだろうね。
市井先生がお節介なのにユーモアがあっていいなあ。そのやさしさも語れない苦しみの前では無力なのも悲しい。あと、マズローの欲求5段階説の話は、ぼくは「集団への所属、愛情に満ちた関係の欲求」が満たされていない段階だなあ。久井はあのまま社会人になると、ぶっ壊れそうな気がしてならない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
高校の頃読みたかったなーいろんな拗らせを解放してくれる手助けになったかもしれん
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悩める生徒たちは、先生の倫理でスッキリ!
と、いうわけにはいかない模様。
時間はかかるけど、皆少しずつ前向きになれてる気がする。 -
マルチ視点で、同時並行的に色んな生徒の物語が進行していく形に。これはこれで面白そう。
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わかりやすい結末がない話が増えてきたのが面白い。
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一言でいうと「難しい」。
7巻まではそれぞれの話に対して方向性みたいなものが見えていた気がするんだけど、8巻ではほぼ見えないので「難しい」。
特に「#41 滅びるように生きる」での国近さんのその後が気になったけど、続きが無くて別の生徒の話に移ってモヤっとしました。(9巻でその後が描かれるのでしょうか?)
唯一救いが感じられたのは「#39 信じること」の長野(ちょうの)君の話かなー。
8巻でも哲学者の言葉がちりばめられていますが、個人的には高柳の台詞の方が印象に残ります。
例えば「#42 魂の平穏」で「(自分が)”持っていないもの”を数えるより”持っているもの”を数える方が難しい」と言う台詞は、短所より長所を見つけるのが難しいと解釈しましたが、それに対する結衣の反応が私には斜め上過ぎて、「そう解釈する?!」とこれまたモヤってしまった。。
なので、私には難しかったです。 -
冷静に考えると思春期の青少年に倫理を教えるって無茶苦茶に難易度高いミッションだな。
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すっと解決していく事柄ばかりではないけども、これもまた良い。高柳先生が良くも悪くも生徒たちに影響を与えてて絶妙に良い。学校にいて欲しい先生だよ。