- Amazon.co.jp ・マンガ (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784091808042
感想・レビュー・書評
-
深夜の映画枠を手がける山手テレビの社員・崋山を目障りに思う上層部。崋山の部下・マキノから彼の悪評を聞き出し、異動させようとするが──。その一方で、崋山の父と因縁がある山根常務にも転機が訪れ──。
「映画は現実逃避の材料なんじゃないか」その自問に崋山が出した答えがアツかった。
「映画はな、現実に潜むドラマを見逃すな!感動を見逃すな!そのための仮想現実として、感受性を磨く道具なんだって今は思ってる。」
さらにここから発展して、
「きっと映画は、実際の人生でなかなか泣けない人のために存在しているんだよ。」
というセリフにも胸を打たれた。これはマンガや小説、すべてのフィクションにも通じることだと思う。現実逃避ではなく現実を見つめ直す、時には涙を流して感情を潤すために必要なものなのだと。
「情熱は常識に勝る!」
「信頼もまた常識に勝る。」
こう言い切ってくれる気持ちよさよ。好きなものに情熱を傾けること、その情熱が生んだ他者からの信頼で常識を溶かす、そんなことが読書や感想でできたらいいなと考えてる。もちろん、物語では熱血論だけではなく、会社員としてのシビアさや葛藤をも丁寧に描いていてそこもいい。映画と現実、理想と現実という二本軸でドラマが紡がれるのが上手いよね。
「絆とは弱さを見せ合うこと」
この言葉も深い。崋山と山根は隠し持った弱さを見せ合い、和解することができるのだろうか。檜山と山根の盟友だった過去を見ていると切なくなるね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
古今東西の映画をモチーフにしてテレビ局のプロデューサー・華山とドラマ部に行きたい新人・マキノの活躍を描く作品。<br>
『金魚屋古書店』が古今東西の漫画をモチーフにしてストーリーを描いているように、こちらは映画をモチーフにしているだけでスタート当初ははっきりといって「違いないやん」と思っていたのですが、3巻目に至ってこちら側の色が出て来たような気がします。<br>
個人的には最後の話で映画が「現実逃避の材料にすぎないんじゃないか?」という思いに対して、「現実に潜むドラマを見逃すな! 感動を見逃すな! そのための仮想現実として、感受性を磨く道具なんだ」という考え方が素敵だなと思いました。<br><br>
取り上げている映画が実は個人的にはあまりなじみのないものなのですが、この映画見てみようかなと思わせる作りは本当に楽しいです。TVドラマ向けとも言えるかもしれませんが、ゴールデンタイムというよりはやっぱり、『金曜深夜』ですかねぇ。 -
☆☆☆★
-
自分を奮い立たせたいと思い、そのための映画を探すために再読。
これを読んだのは大学院生時代。
あの頃は働くことがわかってなかった。
これを読むと優しくなれる。
そして元気づけられる。
紹介された映画を見て、明日へ踏み込む力を取り戻したい。 -
映画が観たくなるよい漫画。ドラマ部分がもう少し面白ければなおよいのだけど。
-
三十四丁目の奇蹟
裏表紙
山手テレビの社員・マキノの上司の東崋山は、問題社員と評判だが、彼女にとっては信頼の置ける上司でもあった。
崋山を目障りに思う上層部は、部下のマキノから彼の悪評を聞き出し、異動させようとする。
そんなある日、マキノは試写会会場で出会った老人に、一本の映画を薦められる・・・ -
・砂漠の戦場エル・アラメン
・三十四丁目の奇蹟
・告白
・シェーン
・アラバマ物語
・ふるえて眠れ
・パットン大戦車軍団
・シェナンドー河 -
古きよき時代のオールドムービーは、今の映画にはない独特の間合いや趣がありますね。
古い映画ばかりなので、読む人によって好き嫌いはあると思いますが、映画好きの方にはお勧めです。
映画の紹介と平行して、TV局内での人間ドラマも展開されていきます。なかなかリアルな人物描写で、こちらの方もおもしろく読み進められます。最終巻では、感動して涙が出ました。
良質の漫画は、良質の映画や演劇を観た時のように、印象に残りますね。
『テレキネシス』は、心の栄養になりました。(4へ) -
これも知らない映画ばかりだった。。。本当に不勉強なんだなぁと思い知るというか何というか。レビュー漫画で、映画のネタバレもしちゃってるんだけど、全然それが気にならない。テレビの映画CMとか見ると、それだけで本編を見た気になっちゃうんだけど、この漫画は逆に「見たい」と思わせるんだよなぁ。。。押しつけがましくないのがいいんだろうか。