昴 1 (ビッグコミックス)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091860019

感想・レビュー・書評

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  • 曽田正人のバレエマンガ。『シャカリキ!』や『capeta』みたいに熱い作品を描く曽田正人が「なぜバレエ」「どうやって表現するのか」と不思議に思いながら読んだ。


    バレエは女性がやるものみたいなイメージを抱かせる頃のマンガは、いじめ系少女マンガだったが、そういうのは読みたいと思わなかった。最近は、そういうイメージはなくなったのだろうか。この作品は、バレエそのものが人生である女の話。

    俺は不思議だった。あの曽田正人がどうやって女性を描くのか。『め組の大吾』『シャカリキ!』『capeta』どれも男性が主人公だ。彼の熱い作品は男性でしか描けないと思っていた。自分と異なる性を持つ人格を表現するのは難しいと思う。萌え系、エロ系、少女マンガ系のクソマンガには多いが、所詮作者都合の異性に描かれており、ありえない異性像が描かれる。どうやって表現するのか興味深々だった。

    彼らしく、主人公はバレエだけを人生とする女性だった。そんなものに普通の人がなれる訳がない。案の定特殊な子供時代で描かれていた。そんな主人公がバレエによって壊れた人生を、バレエで再構築していく。彼女の中にはバレエしかなく、そのバレエが彼女を作り上げていく。


    なぜこんな作品を描けるのか、考えてた。彼の作品はどれも自分に一心不乱に向き合って生きる作品ばかりだ。きっと彼もそうなのではないかと思う。彼は、マンガを描くことだけに一心不乱に向き合って生きているのだろう。マンガに限らず作者が存在する作品は、必ず作者の人生観が現れる。作品自体に人生観を感じる作品というのは少ないが、『昴』『MOON ~昴 ソリチュードスタンディング~』は間違いなくそういう作品だ。


    作品の最後に書いてあったのだが、作者は実際に自分でバレエをやりながらこの作品を描いたらしい。まぁ、じゃないとこれは描けないよな。

  • 熱苦しくて好き。

    自分には「バレエしかない」と、本当にそれだけで生きていく昴。まっすぐすぎて痛々しいけれど、こんなに荒れ果てた我が道でも、天才が突き進めばローマに通じるのだな~。

    クライマックスはボレロ。
    かつて刑務所の慰問公演で囚人たちを嗚咽させた昴が、今度は、いよいよ一般の観客をかき乱す。やわな感動を通り越して、苦しめる。ここがこの作品の神髄だと思う。

    囚人は自由を渇望する。でも、普通の人間は、檻の外でだって昴のようには突き抜けられない。自由を持て余す。その点、昴には「バレエしかない」。その不自由さが眩しい。

    「あんたは、これで生きるの死ぬのという踊りをしたことがあるかい」
    「こいつだけ追いつめられ方が違うんだ」

    そんな昴を唯一惑わし、引き上げたダンサーが、ギエムを彷彿とさせるバレエ界の女王、いわば正規の道を通ってきた天才(プリシラ・ロバーツ)というのが、またすごい。昴でも、まだ甘い。

    早く続編を読みたい!

  • 11巻まで読了。
    作者が男性なので今まで読んできた少女漫画バレエもの(テレプシとか)と違って内面的な描写が少なく、ゾーンとかいかにも漫画的な描写が出てくるし主人公補正は全開だしでやや荒唐無稽に感じる箇所もあるが、そこが新鮮で面白い。
    少女漫画バレエものの主人公は傷付き恋をし成長するというような、あくまでも関係性の中での一人の女の子として描かれるが、この作品の主人公昴は一人の天才、しかも大天才として他を蹴散らしていく孤独な一人格という感じ。観客が羨望で泣き出す中「アハッ気持ちいい~」と笑顔で踊り続けるような強烈な自己陶酔を肯定したキャラクターなど、背筋が寒くなるような恐ろしい女として昴は描かれているが、「ワタシ普通の女の子なの」な主人公がコンクールで勝ち上がっていく少女漫画バレエものよりも、世界の頂点に立つ物はかくありなんと、逆に説得力があるかもしれない。

  • 凄まじい、の一言。

    漫画、しかもテーマがバレエだからとあなどっていたものの、序盤からの壮絶なストーリーと主人公の圧倒的な才能に思わず鳥肌が立ちました。まさかバレエ漫画でここまで圧倒されるとは…。

    主人公、昴は小学生時代の弟の死を通して、次第に踊ることが好きな少女から、弟の死をバレエに重ねて踊るダンサーとなっていく。
    そして彼女が持っていたダンサーとしての才能はあまりに途方もない可能性を秘めており、果ては新人バレエダンサーの登竜門、ローザンヌでグランプリを獲得するまでに至る。
    しかしその反面、周りを取り残したまま更なる進化を続けて、行き急ぐ昴と他の登場人物との間に溝ができてしまい、孤立していく苦悩は天才にしか起こりえない苦悩なのだろうなぁ、と思ってしまいました。
    没頭して読んでいると、独りで行き急いで壮絶に燃え尽きようとしている主人公に感情移入してしまい、切なくなります。

    登場するキャラクターも個性的で、その中でもバレエ界の女王として君臨するプリシラ=ロバーツはどことなくMadonnaを髣髴とさせる存在感があります。
    終盤の有名なバレエの「ボレロ」での昴とプリシラとの対決シーンは展開自体のインパクトだけで本当にゾクゾクします。

    作者の都合で11巻で話は止まってしまっていますが、また連載が再開してもらいたいものです。

    …とか言ってたら、祝連載再開です。

  • 何を
    どう生きているのか
    生き方
    どうやって生きるのか
    観客が演者を鍛える
    踊りだけで
    伝えられるようになるには
    何ができるか

  • 私がこれまでに読んだバレエ漫画(主に少女誌連載)のヒロインは、わりと自己評価が低いところからコツコツと上り詰めるパターンがほとんどでした。宮本すばるは、その点でまったく新しいヒロインだと衝撃を受け、虜になりました。熱くて、危なっかしくて、とびきり可愛い!そして、同級生でライバルの呉羽真奈。すばるをバレエに誘い、激しいライバル意識を燃やしながらも決して突き放したり傷つけたりできない、努力型。彼女もまた可愛いですね。

  • 何度も読み返したくなる熱い漫画

  • 表現・熱量に圧倒される。
    こんな幼少期過ごしたら、普通の人生送れないよなあ〜
    と思う。

  • 男性向け雑誌の作品だけど女性にも読んでもらいたい。
    魂がこもったバレエの凄まじい世界が見られる、凄い作品。

  • 2015.9 3巻まで

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著者プロフィール

 1968年6月18日生、東京都出身。『ドカベン』『サーキットの狼』に影響を受けて、小学校2年よりまんがを描き始める。
 大学中退後、漫画アシスタントを経験後、1990年週刊少年マガジン増刊「マガジンSPECIAL」にて『GET ROCK!』でデビュー。以後、秋田書店、小学館、講談社で人気漫画を連載し続ける。
 代表作は、熱い自転車ロードレースストーリー『シャカキ!』、若き消防士たちの奮闘を描いた『め組の大吾』、バレエに魂をささげた少女の物語『昴』とその続編『MOONー昴 solitude standing』、F1を目指す少年と仲間たちの成長を描く『capeta』。1997年に『め組の大吾』で第42回小学館漫画賞を受賞。2005年に『capeta』で第29回講談社漫画賞を受賞。2012年1月現在、「月刊少年マガジン」で『capeta』連載中!

「2012年 『capeta(28)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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