TOMOI (1) (小学館文庫 あA 4)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091910448

作品紹介・あらすじ

男だけの愛。青年・友井の自由な愛の讃歌。

女嫌いの青年医師・友井。信じているのは自分だけ。毒舌、高慢、エゴイストと三拍子揃ったひねくれものだ。だが、研修医としてニューヨークにやってきた友井に運命の出会いが待っていた。 エキセントリックな外科部長リチャード・ステインと、自分の中に眠っていたゲイの血と。愛する男たちとの別れと死、そして戦火のアフガニスタンへ。 愛の荒野を彷徨う友井シリーズ・完全版。

感想・レビュー・書評

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  • BL要素がかなり含まれるので、それなりに読み手を選ぶ。
    主人公(男性)は日本人だが、ほとんどが海外(前半がアメリカ、後半がアメリカ、アフガニスタン)が舞台。
    後半は、性的パートナー(男性)が、その配偶者(女性)から刺されて死ぬ話と、男女間の男女としてではない愛を描いた話。

  • 人を愛して失くして…
    女性から愛される素質を十分に持っているのに彼自身がそれを受け入れない。そんな彼の人生はどこか寂しくも思える。愛することの永遠を信じていないというような、どこか諦めているような。マーヴィンと出会って永遠を誓うもすぐに訪れる死。
    あまりにも過酷だ。
    同じように兄を亡くしたアデライナに生きたいと思わせられるもまた失う。
    友井にこれでもかと起こるこの悲しいほどの愛との出会いと別れは何なのだろう。しかし見あげる空は青くて…。死にたくても、死ねない、生きなければいけないのかと…。

    彼の最期が、青い空の下で良かった。もう、彼は精一杯に生を生きたから。

  • 昔の少女漫画は重い!!
    という代表格。

    今読むと、あのラストはキツイ。

    違うラストを妄想する。
    友井先生に日本で少女の親代わりになって欲しかったな。
    そしていつか幸せなおじいちゃんになって欲しかった。

  • 友井先生の抱える悲しみと生きることへの矛盾。ラストが悲しい。

  • 96年に文庫化されたもの。
    初出は86年。


    少女マンガの中にゲイである男性の話を描いた作品。

    友井がアメリカに渡って、好きになる男性・リヒャルトと出逢い、そちらの嗜好を認め、その中で生きていく…。
    しかし別れが訪れて…。

    AIDSが出始めた頃の話でもあり、それを含めて生きるという事を友井は問い続ける。

    既婚者のマーヴィンと付き合うようになって、その彼の奥さんに銃を撃ち込まれて自分を庇って腕の中で死んでいく恋人。
    友井はアフガンへ…。
    死ぬことだけを考えて生きている彼は少女と出会って…。


    衝撃の最後。
    友井は幸せだったのかな?
    少なくとも恋愛していた時は幸せだったよね?

    発砲した奥さん、発砲する程旦那が好きだったのかな?
    私だったら、浮気相手が男でもショックは受けても別に気にならないけど。
    相手が女でも男でも、事実は浮気された、ということだけだし。

    話が逸れた。
    これはBLという概念では語れないお話ですね。
    ゲイとして生きにくい世の中なのは当時だったから?それとも…。


    ところで下世話な話だけど、既婚者の彼とのエチは友井は攻めだったのかな。


    《印象に残ったセリフ》
    アフガンで出会った男のセリフ「人は 神がもう死んでもいいというまで生きなきゃだめなんだ」

  • 1987年出版のようですが、愛蔵版がこの年ということなのだろうか??
    とすると通常コミック版はもっと前…??
     

    主人公は若い男のお医者さんで、ちょっと偏屈なカンジです。
    もともとゲイ疑惑だったんだけれど、N.Y.の病院で働く間に完璧なものになりました。
    尊敬する医者との恋愛が始まるも、別れがきてしまう。
    日本への一時帰国の際には、気になっていた後輩が年若い女の子と恋愛関係にあり、それをつまらなく思った主人公は徹底的に邪魔をしますが、結局彼らはうまいこといってしまいます。
    N.Y.でまた新たに、医者との恋愛がスタート。
    しかし相手には妻がおり、妻は絶対に別れないと言い張ります。
    そんな折、相手が病気であることが分かり…。
     
     
    …というかんじで、半分以上は恋愛を主としたカンジですが、
    その中にも病気の問題や、それに対する人によっての姿勢の違いとか、
    自分への虚無感みたいなものが描かれていました。
    しかし何が凄いって、やはりラストが凄いです!
    樹なつみさんの「OZ」の最終巻を読んだときのような気分になりましたっ。
    なんというか、最終的にはただの恋愛ではないような気がします。
    人類愛というか…そんな感じでしょうか??
    しかし、かといってそれは甘いカンジのものではないのですね。
    最後のシーンの捉え方は難しい…!

    とにかく、久々に漫画でガーンときた作品でしたっ!
    読後、話が書きたくなったのでこれは本物ですっ。(その尺度か!笑)
     
     
    ぜんぜん関係ないですが、個人的には重めのBLが好きです♪
    最近はあまりないですよね??
    元祖JUNE系というか麗人系というか…?
     

  • もともとは、「眠れる森の美男」「TOMOI」と2冊の単行本だったものを1冊にまとめた文庫本です。
    単行本も持っていましたが、文庫を購入したのをきっかけに放出しました。

    「TOMOI」の方は、短編連作3つからできているお話です。
    多分、なのですが、「TOMOI」を構成する短編が、1話、2話、3話とかかれて、友井さんが亡くなった後、「TOMOI」の前日譚である「眠れる森の美男」がかかれたはず。
    そして、どうも今調べたところによると、「眠れる森の美男」のあと「TOMOI」の1話、2話は、かき直しされていて、単行本の「TOMOI」に載っている、わたしが読んだお話は、この単行本版のものだけです。

    多分、わたしの記憶では、「TOMOI」の単行本の方が先に出て、「眠れる森の美男」は後から出たので、その順番で読んでいると思います。
    読むきっかけは、多分、「コミックスボックス」(「ぱふ」だったかも)かなにかの秋里 和国特殊だったと思います。

    まだ、ニューヨークで、同性同士の結婚が許されていなかった時代の物語です。
    これが、かかれた当時は、まさかそんな時代がくるなんて思ってもいなかったです。

    多分、コレ、少年愛以外でわたしが初めてであった、まじめな同性愛ものです。
    そして、エイズをはじめてまじめに取り上げたマンガでもあると思います。
    その頃の日本は、良くて少年愛や耽美、普通なら嫌悪かヘンタイ的なギャグとしてしか同性愛って取り扱ってはいけないものでした。
    ひどいマンガになると、オカマに向かって、

    「エイズにかかって死んでこい!」

    みたいなセリフがあって、それがギャグとして受け止められるようなそんな時代。まあ、竹宮 惠子は読んでいても、わたしだって、そんな空気の中にいたのです。

    だから、最初の友井さんのお話も、どっちかというとギャグ(というかコメディ)として始まっています。
    でも、マーヴィンとの出会いと悲劇、その後の物語と読んでいくにつれて、多分、このマンガで、グラグラと価値観をゆすぶられました。

    今読んでも、このマンガに受けた影響というか、このマンガのおかげて価値観が広がったところがあるなぁと思います。

    歴史に残る名作だと思います。

  • 「BLって男の子同士がきゃっきゃっしてるやつでしょ?」なんて思っている方がいらしたら、ぜひこれを手に取っていただきたいです。エリート医師友井がアメリカに渡り、悲哀の後、戦場へ。そこには苦悩やさまざまな出来事が盛り込まれています。シリアスな内容なのに、秋里先生らしい軽快なギャグが組み込まれているバランスのよい作品だと思います。

  • 読むと、絶対泣く。最初の頃の話も好きだが、やはり友井が成長していく過程が素晴らしい。そして、最後は・・・泣いてしまう。
    「人を愛する・守る」ことの大切さを知る、一冊。

  • こうゆう淡々さ?いやストーリーは全然淡々としてない、むしろトんでるんだけど、
    ねちっこさとか、黒さとかないの。

    淡白だ。

    今市子とか清水玲子につうずる世界観とボキャブラリーを感じたな。
    あたしが好きな画風なだけなんだけどね。

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