- Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
- / ISBN・EAN: 9784092893016
作品紹介・あらすじ
ちょっとだけ背中をおしてくれる物語
学校で友だちとケンカしたのをきっかけに登校できなくなった美桜里。
祖母に連れられていった町内会の「手作り市」でカレーのキッチンカーを出していたおじさんと少年に出会う。ユニークな二人と、すっかり意気投合してカレー作りを手伝うことに。この二人も訳ありのようだ。
対人関係では、人との距離感がとても重要だが、いつでも“イーブン”でありたい、そのためにはどうしたらよいのかを問う、少女たちの成長物語。
【編集担当からのおすすめ情報】
子どもたちの抱える問題にストレートに切り込んだ問題作を次々と発表している村上しいこさんの最新作です。
女性の性について考えるきっかけになる一冊です。思春期の少女たちにぜひ読んでほしいです。
感想・レビュー・書評
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対等な関係とは?性とは、DVとは。ティーン向けにしてはなかなか難しい問題を扱っている。大人でも色々考えさせられる。ぶっちゃけ美桜里のママめんどくせーなとは思うが、パパが暴力を振っていい理由にはならない。暴力シーンもなかなか迫力があって、でもDVで逃げた女の人の2割は元のところに戻るという。人の心は一つじゃない。読んでいても複雑な感情が湧いてきてモヤモヤする。
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不登校になった中1美桜里。取り巻く複雑な環境。さらには周りの人たちを取り巻く複雑な環境。
それぞれに抱えた過去があり、うごめく感情、どうにもできない行動言動。いろんなことが絡み合っているが、少しずつ解け始めて一歩前へ進める希望が見えて来る。多すぎず少なすぎない人物関係、物語の進みに、また村上しいこさんの話に触れたいなと思った。 -
女性や子どもの権利が侵害される現実があるということを、分かりやすく伝えようとする作者の努力を感じました。児童書という制約のなか、少しテーマを詰め込みすぎかな、という印象はありますが、親子で話し合うきっかけとして良い一冊ではないかと思います。
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イーブンとか、フラットとか、人と人のつながりの在り方について、現実には上手く行かないことも多いけれど、こうありたいと思えました。
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人との距離の取り方は難しいし、イーブン(対等)な関係でいるためにはどうすればよいのか。児童文学の位置づけだけれど、YA以上にも。
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創作児童読物と副題がついているが、大人でも十分、染み入るストーリーだった。
学校へ行けなくなった中学生が、祖母の知り合いのおじさんと年上の男の子と知り合い、交流を通して成長していくお話。主人公の中学生の親は、父のDVで離婚していて、そうした事情もからんだ父と母の前進の物語でもある。
児童向けだからか、文章は平易で読みやすいのだけれども、成長に伴う、父母に対する感情の変化が丁寧に描かれていて、新しい気づきや共感があった。
初めての作家さんで絵本や児童文学を中心に書かれているようだが、他の作品もぜひ、読んでみたい。 -
子供への虐待やDV、ジェンダーの問題、不登校の問題など考えさせられる事が盛りだくさん。
日本女性の人権は、世界ランキングで、下位。この本には121位と書かれている。
男性が無意識に女性を傷つけている現状がたくさんある。
単純な言葉ほど人を傷つける。性格がブスとか。
パパのママに対する暴力の描写は本当に怖い。余裕が無い人の行動。
パパは子供の頃に親からの虐待を受けトラウマを抱えている。
自分の気持ちを言葉で表現することがとても苦手で、いつも言い返す言葉が見つからずストレスを溜め込みそれが暴言や暴力に。
怒りは困り。
今、自分はなんで困っているのだろう?と考えると不思議と気持ちが落ち着く。
誰かが怒っている時も、迷惑なヤツだと思うのではなくて、なに困ってるんだろ?手伝えることはないかな?と考えられるように変わったパパ。
トムも母親から「あんたなんかいらない」って言われた。
最後は壮絶な戦い。勇気ある行動だったと思った。
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フェミニズムやDV 、不登校や上手く子どもを育てられない大人等々、今日的な問題満載と言うところ。
しかし暗い話ではなく、明日に希望が持てる展開。
イーブンと言う言葉は様々な人間関係において大切な言葉なのかも。