ロイヤルシアターの幽霊たち

  • 小学館
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784092906297

作品紹介・あらすじ

幽霊×少女のシアターファンタジー小説!

イングランドの海辺の保養地シーショーにあるロイヤルシアターは数年前に閉鎖され、様々な時代の個性的な幽霊たちが棲みついていた。嵐の日に本を守って海にのまれた元図書館司書、脱毛と脱「せりふ」ノイローゼになった元俳優、暴走族の乱闘に巻き込まれて死んだモッズ族の少年…。劇場再生のためにやってきた俳優夫婦の娘グレイシーは、なぜか彼らを見ることができ、生前の話を聞かせてくれとせがむ。最初は訝しんでいた幽霊たちも、やがてグレイシーに心を許すように。そんな中、劇場を壊そうと企む者が…。
現代を代表する英国の児童文学作家が贈る、ユーモラスでスペクタクルな傑作小説。幽霊たちの独白に泣き笑い、劇場の魔法にドキドキ。ひょっとしたらあなたの町の劇場でも起きるかも…?世代を超えて愉しめるシアターファンタジー!

感想・レビュー・書評

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  • 劇場のチカラ | 読書日記 | 南沢奈央の読書日記 | Book Bang -ブックバン-
    https://www.bookbang.jp/minamisawanao/article/1632

    ロイヤルシアターの幽霊たち | 書籍 | 小学館
    https://www.shogakukan.co.jp/books/09290629

  • イギリスの海沿いの町、シーショー。かつては観光客でにぎわったこの町も今は寂しい限り。町の中心部に立つロイヤルシアターも閉鎖され朽ちていく一方である。
    ロイヤルシアターはかつての繁栄を知る幽霊たちの安らぎの場所となっていたが、そこにシアターを復興させようと願うウォルター夫妻と娘のグレイシーが現れる。しかも、グレイシーにはなぜか幽霊たちが見えるらしい。
    静かに暮らしていた幽霊たちは、好奇心旺盛のグレイシーに辟易とするが、次第に自分たちの過去を語り始める。

    本書のストーリーは三つの柱からなる。一つはグレイシーと幽霊たちとの交流、二つはロイヤルシアター復興のための奮闘、三つは幽霊たちが語る町の歴史である。
    幽霊たちが亡くなった年代には百年以上の差があり、彼らの体験はそのままシーショーという町の歴史になっている。大きな津波で飲み込まれた図書館、桟橋の建設、海辺のサーカスショー、遊園地、町の不良たちとの闘争などなど。
    幽霊たちはシーショーでの思い出を凍結した状態でロイヤルシアターから外に出ることなく過ごしている。そこへグレイシーが彼らを現代世界へと連れ出し、かつて味わえなかった楽しみを体験させるのである。外に出た幽霊たちは、ロイヤルシアターを守るために、自分たちにできることはないか考え始める。

    こういうストーリーは特に目新しいものではないので、私も最初の方はあまり物語に入り込めず、頁がなかなか進まなかった。しかし途中で思いがけない展開になってびっくりし、気づいたら夢中になって読み進めていた。
    最後はファンタジックなストーリーらしい終わり方だが、少しだけ切なさを含んでいて、ハッピーエンドでは味わえない余韻が残る。

    本書はシーショーのモデルとなったマーゲートという町の劇場からの依頼で書かれた物語なのだそうだ。だからフィクションとはいえ、幽霊たちの体験はマーゲートの歴史に基づいている(劇場は一度も閉鎖することなく盛況のようだが)。
    どんな町にも素敵な物語がある。そして、私たちの目には見えないけれど、町の移り変わりを静かに見守っている幽霊があちらこちらにいるのかもしれない。そんなことをふと考えてしまった。

  • イギリスのある町、かつての多くの人を楽しませたその劇場は、今は見る影もなく古く朽ち果て、いるのは幽霊ばかりだった。そこへ、劇場を建て直そうとやってきた夫婦と一人娘。幽霊が見えるその少女は、幽霊たちがなぜそこにいるのかと過去の話をせがむ。

    前半、いろいろな幽霊たちの過去が語られ、イギリスのいろいろな時代が垣間見えるけれど、ちょっと文化的な背景などよくわからず、ちゃんと理解できていないところもあったかも。ところが、後半、話が急転直下。えーー!!と驚いた私の頭に浮かんだのは、超有名なあの映画だった。こういう意外性、大好きです。

  • イングランドの海辺の街の廃墟となった劇場を舞台にしたファンタジー。劇場に住み着く辛い死に方をした幽霊たちと人間の女の子との交流、時代と共に変わるNGワードや礼儀作法。本質を突いた描写に深く考えさせられた。

  • 海辺のまちシーショーにある古い崩れ落ちそうなロイアルシアターを復活させようとやってきたウォルター夫妻。町の議員の勧めもあり、再生を目指すが資金の援助がなかなか決まらない。苦境に立つ夫妻。
    夫妻にはグレイシーという娘がいるが、グレイシーには劇場に住む幽霊たちが見える。幽霊たちの話を聞き、やがて一緒に劇場の再開を目指す。

  • 最初と最後は良かったんだけど、
    中盤がちょっときつかったな。
    文化的な側面とか、わかりにくいところが多々あり。

    仕掛けも割とわかりやすくて、あっと驚く!という感じでもない。
    ロイヤルシアターとシーショー、海辺の街と劇場、幽霊たち、と楽しい要素がたくさんだっただけに、すこし残念。

  • 港町シーショーの古びた劇場に
    ここを再開させて街を盛り上げたい
    地元の関係者の紹介で、演劇関係者の夫婦が訪れる。
    ひとり娘のグレイシーは
    劇場のそこかしこに幽霊たちが住み着いていると知り
    彼らから「避難所」の理由を知ろうとするが。

    グレイシーが聞き出す幽霊たちの過去の話から
    シーショーという街の盛衰が見えてくる。
    ちょっと夢と現実が
    入り混じった感じのところもあるけど。

    中でも印象深いメルーシュさんの話…
    悲しみの淵に捉えられている彼女が
    後半まさかの展開で重要になってびっくりです。

  • 装丁が好きな感じだったのと、YouTubeで紹介されてて気になって読んでみた
    海外作品がなんとなく苦手な私でも楽しく読めた
    でもやっぱりわかりづらいところもあって、そこは翻訳ものは仕方ないのかな…?

    舞台を見に行きたくなってきた

  • どんでん返しもの、という前情報があって
    手にとった一冊だったので
    どんなどんでん返しがすぐにわかった。
    伏線もところどころ出てきていたから。

    明るい話かな?と思いきや全然違う。
    幽霊たちのさまざまな過去にページを巡る手が重い。
    でも、あとがきにてこれは本当にあったことを練り込んで
    かかれた本だと書いてあり、重みに意味があることを知った。

    中盤、どんでん返しがあってからは
    どんなふうに物語が進んでいくのかが気になって
    スムーズに読み進められたと思う。
    登場人物がカタカナのものは慣れておらず読みにくく、
    何度も誰だっけ、、と見直すこともあった。
    幽霊たちの悲しさや寂しさによる黒いカビが、
    最後の公演によって綺麗になったことや
    新しいシアターの設計図をみんなで描いたこと、
    それがきちんと命ある人に届いたこと。
    後半は、胸を打たれる場面もあった。

    死んでしまったからって、終わりじゃない。
    雨のチケット。素敵な考え方だなと思った。
    死んでも、楽しく新しい生き方をしていると思いたい。

  • イギリスのある寂れた町の閉鎖された劇場。
    ロイヤルシアターを見学にきた夫婦。
    どうやら娘の希望に応えるために劇場を買って運営する予定のようだ。
    娘はパッチワークのオーバーオールをきた聞きたがりやの女の子。
    ロイヤルシアターに住む幽霊たちが見えていた。

    ・劇場の危機を救うためには“幸せ”な幽霊を見つけなくては!

    〇イギリスのいろんな時代の記憶を見ていく感じ。
    フェイクあり。
    次々と幽霊の語り手が変わっていくので、少し混乱することも。
    幽霊たちはユニーク。
    古き良き時代も、今も。

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著者プロフィール

1951年生まれのイギリスの作家。『不思議を売る男』で88年にカーネギー賞、89年にガーディアン賞を受賞。2004年に『世界はおわらない』でウィットブレッド賞児童書部門受賞。18年には『世界のはての少年』で二度目のカーネギー賞受賞という快挙を成し遂げた。

「2022年 『世界のはての少年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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