- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784092906556
作品紹介・あらすじ
水害に立ち向かう少女の冒険と成長の物語 2か月間雨が続くアフェイリア国。この先も天候が回復しないと知った首相スプリーマは、「視察」とウソをつき、職務を投げ出して逃亡してしまった。スプリーマの屋敷で働いていた15歳のメイド・グローリアは、妻は戻ってくると信じているスプリーマの夫ミスター・ティモールから、当面の間、首相の影武者をするように命じられる。最初はいやいやだったグローリアだが、視察に出かけ水害に見舞われた市民の惨状やひどい労働環境を目の当たりにするうちに、本当に国を救うためにはどうすればいいのか考えはじめる…。 2度のカーネギー賞、ガーディアン賞、ウィトブッレッド賞、マイケル・L・プリンツ賞受賞、現代最高の英国人児童文学作家が贈る、災害と冒険、成長と再生の物語。 【編集担当からのおすすめ情報】 日本でも数多くの作品が紹介されている、現代最高の英国人児童文学作家ジェラルディン・マコックラン。その最新作は、1920年代の架空の国「アフェイリア国」を舞台に、災害時の大人たちと、それに立ち向かう少女の成長を描いた冒険ミステリー小説です。 あとがきによると、著者は1928年のアメリカで実際に起きた洪水からヒントを得て本作を書いたそうです。その洪水では、政治家の卑劣な行動によって多くの助けられたはずの人たちを助けられなかったといいます。 さらにあとがきには、このような問いが書かれています。《この本が問いたいのは、「もし同じ状況に置かれたら、あなたはどうするか?」です。さらにこの本がいいたいのは、「なにを信じるかは、慎重に判断しましょう」ということ》 児童向けの小説ですが、大人もドキリとさせられるエピソードが満載の、示唆に富んだ作品です。著者の問いかけを頭の片隅におきながら、主人公グローリアと一緒に冒険していただければ幸いです。
感想・レビュー・書評
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15歳のメイドのグローリアは逃亡した首相(マダム・スプリーマ)の影武者になるよう首相の夫ティモールに命じられ、国の水害に立ち向かう。
国のトップは嘘付きでメディアの情報も嘘だらけで事態は悪化。嘘がどんどん溢れる中、グローリアは最初はスプリーマの振りだけだったのもなんとかしなくてはと思う様になる。
人的被害も多数出て、食べ物は無くなり、都市部の働き手は全員工場に閉じ込められ、子供の体調は悪化、不安と不満がたまる国民たちという険しい状況はどの様に収束するのか予測がつかず読み応えあった。
そんな殺伐としたなかでも登場する犬が癒し。
描かれる人物は凄く人間味が溢れてた。
グローリアとティモールがいいコンビ。
著者があとがきで買いてある様にこれは起こり得ること。嘘に踊らされてる国民は他人事じゃないと思う。有事の際に何を信じるか、果たして自分で判断出来るだろうか? -
現実にあった洪水に着想を得た作品。ところどころ新聞のようなものが挿入。少し読みにくい。ジェラルディン・マコックランは4冊目なのだけどあまり合わないのかも。
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アフェイリア国では大雨が2か月つづき、洪水の危険が迫っているが、指導者たちは偽りの安全安心情報を出すばかりで、ただ手をこまねいている。そんななか、最高指導者の「スプリーマ」がこっそり逃げ出してしまい、彼女の犬と夫が残された。夫は、スプリーマのメイドで15歳のグローリアに代役をさせることを思いつく。グローリアは、街に出ていって人々を力づけ、人気を博すが、だんだんそれだけではやっていけない政治の闇があらわになる……。
むむむ……断章をつみかさね、すばやい切りかえを駆使しながらテンポよく語るというねらいなのかもしれないけど、その分、サイドストーリーも増え、話の流れが複雑になった印象。グローリアが政治的にけっこう詰んだ状況に置かれているのと、途中途中でけっこうな犠牲者や、動物の死がたくさん(でもさらりと)描かれるのも、リアルといえばリアルだけどちょっとつらい。
「最高のウソ The Supreme Lie」とタイトルにあるけど、どれかひとつでバッチリ解決が生まれるわけじゃなく、スプリーマの振りをするといううそを皮切りに、いっぱい小さなウソを組み合わせ、そこに偶然のラッキーなども重なって大団円へ向かうという形かな。 -
あとがきを読んで、この話がアメリカで実際に起きた災害をモデルに書かれていると知り、驚きました。
成り行きで国の代表になったしまった主人公が有能ですね。
忘れちゃいけないのが二匹の犬(チビも入れれば三匹)の存在です。
気持ちのいいお話でした。