ベイビーシャワー

著者 :
  • 小学館
3.19
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本棚登録 : 59
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093861434

作品紹介・あらすじ

未婚39歳、子供が産みたい。さあ、父親探しのはじまりはじまり。第4回小学館文庫小説賞受賞作品。

感想・レビュー・書評

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  •  先日読んだ『すべては海になる』がすごくよかったので、同じ作者の長編第一作を読んでみた。

     テレビ界で働く39歳の未婚女性2人が主人公。そのうちの1人・美園が、「未婚のまま子どもを作る」と決心し、もう1人の今日子とともに「子どもの父親探し」を始める……という話。

     作者自身がテレビ界で長く働いてきた人だけに、業界舞台裏の描写はすこぶるいきいきとしている。2人の「アラフォー」女性の心理描写もていねいだし、ストーリーもそこそこ面白い。

     しかし、『すべては海になる』に比べると、ずいぶんぎこちない。
     『すべては海になる』はストーリーを進めていくテンポが素晴らしく軽快だったが、この『ベイビーシャワー』はあちこちでストーリーが停滞する。まだ小説の文章になりきっていないような箇所が散見されるのだ。

     たとえば、ストーリーのスパイスとして気の利いた雑学知識みたいなものを挿入する場合、ベテラン作家なら完全に地の文に溶け込ませるところを、この作品はそこだけ資料から抜き書きしたみたいな説明調の文章にしてしまう(盗用という意味ではない)。

     例を挙げよう。次のような一節がある。

    《インターネットを駆使して調べると、子宮頸癌の原因がヒトパローマウィルス(以下、HPVと略)であることは確かで、「ギリシア時代からビーナス病と呼ばれ、歓楽街の病気であった」とか「早い時期から数多くの男性と性体験をすると発病する確率が高くなる」などの記述があり、大学病院の医師の物言いが、子宮頸癌を説明するときの一般的なものであることがわかった。》

     ここだけを予備知識なしに読んで、小説の一節であると感じる人は少ないのではないか。

     とはいえ、この『ベイビーシャワー』にも、山田あかねの非凡な才能、原石の輝きは十分に感じられる。
     逆に言えば、この長編第一作から第二作『すべては海になる』までのわずかな間に、この作家は目覚ましい成長を遂げたということでもある。

  • 興味をひかれる内容ですが、後半若干まとめに入って急いでしまった感じです。
    好感のもてる人物は多いけれど感情の描写も少し浅いような。

  • 40歳前後の女性が、妊娠について向き合って考える、
    とてもいい内容の小説でした。

    エピソードの描かれ方がとても丁寧で、
    ひとつひとつが印象的なので、
    ずいぶんわかりやすくて親切だなと感じました。
    前職がTVディレクターだったと知って納得しました。
    薄っぺらい単純さではなくて、深い難しいテーマを
    噛み砕いて、わかりやすくわかりやすく。

  • <内容>未婚39歳、子供が産みたい。さあ、父親探しのはじまりはじまり。第4回小学館文庫小説賞受賞作品。

  • 1つの物語として、よかったと思う。
    新しい女の生き方、それが許される環境。
    現実には難しいんだろうけど。
    それを、子供に語らせているところがいいと思う◎

    どんな環境でも、愛されていれば子供はちゃんと育つんだな、と思った。

    めずらしく、電車以外で本を読んでしまった!ということを考えると面白かったんだね、きっと。

    ただ、言葉遣いとか文章の流れとかが…。
    ちょっとつっこみたくなる部分がありました。
    (2006.01)

  • 40歳を前にした女性二人、料理アシスタントの美園とカメラマンの今日子の恋愛と生活を描いた作品。二人とも不倫関係の恋愛を継続中で、それでいて結婚を望まない。
    子供が欲しいと思って父親になってくれる人を探すが……。<br><br>
    恋愛や家族や出産は形じゃない……と思う。<br>
    と言っても、実際にはこの二人が一番形にこだわっているんじゃないかなぁとも感じました。<br>
    生まれてきた子供の目線で最初と最後に描かれていますが、これが実に良い感じ。今日子さんが撮った映像を見ているこの子が、自分自身を卑下することもなく背伸びすることもなく素敵な少年に描かれています。<br>
    この家族の「形」が未来の家族の形……なんて言葉は言いすぎ。やっぱり「形じゃない」ことを描いた良作だと思います。

  • 複雑な家族が出来るまでの物語。

  • 始まり方も、ストーリーも先を急がせる感じ。
    結論にたどりつくまでが長いような気もするけど。でも読み終わったときはなんかすっきりした気持ちになった。

  • 複雑な家族模様がなんだかきれいで素敵だと思いました。ふつうにはなれなかったから、せめて幸せになりたかったんだよ。

  • はじめ登場人物たちと主人公の関係に『???』でした。でも読み進んでいくうちにあぁ!と思って最後には自分なりに理解できたと思います。でもわたしにはちょっと早かったかな…衝撃的でした。

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著者プロフィール

東京都生まれ。テレビディレクター、作家、映画監督。フジテレビジョンの番組『ザ・ノンフィクション』のディレクターとして「生きがい 千匹の猫と寝る女」「会社と家族にサヨナラ~ニートの先の幸せ」「犬と猫の向こう側」などを手がける。2015年、監督、製作、脚本を手がけた映画『犬に名前をつける日』が公開。また、同名のノンフィクション『犬に名前をつける日』(キノブックス刊)を刊行。保護犬のハルとナツと暮らす。

「2018年 『犬と猫の向こう側』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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