千里眼トランス・オブ・ウォー

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 118
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (558ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093861465

感想・レビュー・書評

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  • 松岡さんといえば『岬みゆき』。今回はイランの武力勢力に拉致されたボランティアの日本人4人の引き渡し交渉に、臨床心理士として同行した岬。だけど、思わぬトラブルによって岬だけがイランにおいてきぼりになってしまう・・そして岬はとどまったイランで『トランスオブウォー』について必死に語るのだが・・。

    初めて美由紀と出会った時は、『なんて強い女性なんだ』と思いましたが、シリーズを読みこなすうち、実は彼女も普通の女性なんだと分かってきました。もちろん、もと航空自衛隊で、しかも女性初のパイロットという経歴を経て、臨床心理士になるのところは普通などではないのですが、心の中は実はとってもさびしがり屋なんだなぁ、と思います。

    そんな彼女が1番心を痛める事が、人間同士が争うこと。どうして同じ人間同士なのに、そこまで残酷になれるのか・・その心理状況を必死に訴えるのですが、まさしく『トランスオブウォー』にかかっている人たちに力説しているようなもので、例えていうならば、海の中に水を浮かべるようなもので、まったく理解してもらえません。いや、最初は一部の人たちには理解されそうだったのですが、けっきょく最後は失敗してしまうのです。

    そして最後の岬の行動は驚くものでした。今までのシリーズでも、毎回驚かされてきましたが、今回のは特別驚きました。

    最後の方でブッシュさんと小泉さんが美由紀と握手する場面は笑ってしまいました。松岡さんの小説はいつもハラハラしどうしで、心臓に悪いのですが、最後にはいつも平和が訪れるので嬉しくなります。

  • 旧シリーズのハードカバー版。作風がヒーロー物からリアルな世界感になった感じで、
    岬美由紀の過去(自衛隊時代)と現在を交錯させる展開で
    ある意味「再出発」のような印象の作品でした。

  • 07年11月。
    心理療養士岬美由紀を主人公とした「千里眼」シリーズの1冊。彼女のイラクでの活躍がメインで、自衛隊時代の訓練の日々も興味深かった。いつも思うが、美由紀は超人すぎるけど、物語として読むには面白い。これほどの長編であっても。

  • 岬美由紀がイラクで武装集団に捕らえられた
    イラクで人質となった日本人の救出チームの中に、彼らのPTSDに対処するため臨床心理士・岬美由紀が派遣されていた。救出チームが武装グループから人質を奪還しかけたとき、突然戦闘が始まり、美由紀はひとり武装グループに捕らえられてしまう。美由紀は、戦争を推進する人間の心の動きである「トランス・オブ・ウォー」の理論をイラクの人々を前に説くが、イスラムの教えに抵触する、と最悪の刑務所オムカッスルに送られる。過酷な刑務所生活の中で虫の息となった岬美由紀の前に、全身を包帯で包んだ謎の男があらわれる。果たしてこの窮地を脱することができるのか。岬美由紀が臨床心理士を目指した理由も明らかになるシリーズ最長編。

    好きなんですよねぇ~このシリーズ。このシリーズの映画主演してた水野美紀を当てはめて呼んでいます(笑)時事の話題をタイムリーに取り込んでいる部分がいいですね。

著者プロフィール

1968年、愛知県生まれ。デビュー作『催眠』がミリオンセラーに。大藪春彦賞候補作「千里眼」シリーズは累計628万部超。「万能鑑定士Q」シリーズは2014年に映画化、ブックウォーカー大賞2014文芸賞を受賞。『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』は19年に全米翻訳出版。NYヴァーティカル社編集者ヤニ・メンザスは「世界に誇るべき才能」と評する。その他の作品に『ミッキーマウスの憂鬱』、『ジェームズ・ボンドは来ない』、『黄砂の籠城』、『ヒトラーの試写室』、「グアムの探偵」「高校事変」シリーズなど。

「2023年 『高校事変 16』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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