タイマ

著者 :
  • 小学館
3.28
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本棚登録 : 508
感想 : 76
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093862158

感想・レビュー・書評

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  • 本棚の整理をして処分する本として本棚から出したが、途中までしか読んでいなかったので今回読了。

    タイトル通り、嶽本野ばら氏が大麻で捕まった件をモチーフにした小説(なのか)。その事件自体を私は知らなかったが、さもありなんとは思った。
    私はタバコは吸うがそれは合法的な麻薬だからで、違法な麻薬には何の興味もない。そこには明確な線引きがある。
    そういう線引きを易々と超えてしまうメンタリティはよく理解できないが、嶽本野ばらや伊勢谷友介などになぜだか惹かれるのだ。
    ある種の危うさに惹かれるんだろうか?

    小説自体は大麻の所持及び使用で逮捕された顛末がラブストーリーと絡めて綴られている。

  • 事実を元にしたフィクションとはいえ、これを出せるのは気合いが凄いなと感じました。

    「僕」と「君」の恋愛小説でありながら、「僕」視点で逮捕され留置所のなかで過ごしていく描写が結構あり生々しい。嶽本野ばらの作品の中でかなり上位に「生活感」みたいなものを感じます。個人の釈明?とも取れるところはあまり聞きたくなかったな〜という本音もあり。

    「君」も「僕」に憧れて大麻に手をつけてしまうところは、ショックも感じつつ「やっぱりな」とも感じました。それくらい強く共鳴する相手。ヒヤヒヤするくらいな2人ですが、ハッピーエンドで穏やかにひっついてて欲しいなあ。

  • 「肝心なのは、間違っていようが、己の遣り方を最後まで貫き通すことだ。もし、無意味な生があるのだとすれば、それは自分自身の闘志を放棄してしまった生だ」(本文より)

    『世界の終わりという名の雑貨店』を初めて読んだ時から、この言葉を探していました。今、他の著作の感想を見てみると、私はその信念のことを「我を貫く」と表現していました。周りから奇異の視線を投げられても、己を貫く──。『エミリー』『ハネ』といった作品を読んで受けた、魂を揺さぶるような衝撃と感動を、これで何度目でしょう、鮮明に思い出すことができます。
    本作の中であいちゃんがこう言います。「私は全然本を読まないけれど、先生の本なら読める」と。まさしく私もそうでした。野ばらさん以外の作家の作品にはに目もくれない、というわけではないのです。野ばらさんの他にも大好きだと思える作家さんはいますし、愛読書もあります。けれども、野ばらさんの作品を読んでいる時だけは、どこか違う。上手く表現出来ませんが、どんな読書体験よりも充実して、強くなろうと思えます。
    自分の遣り方が間違っていても、絶望したりなんかしない。絶望して、滅んで、自ら死んでしまうことは、誰でもできる。「僕は死に対する憧憬を封印する」のです。そして、足掻く。みっともないと言われようが、我を貫くのです。「死んでしまえば…」と思ったことが幾度あったか知れません。死ねば認められる、死んでこそ私ができあがる、まさしく「辻褄が合う」ような気がしていたのです。でも、そうではありませんでした。私は生きなければいけない。執拗に、執拗に生き続けてやろう。
    ある人が「俺は27歳で自殺してやる」と言いながら、まだ死んでいません。最初は、結局怖くなったのか、ダサいなぁと思っていました。でも、今はその人が、限りなく愛おしく感じます。

    あれ、作品の感想のはずが、私情を打ち明けるようになってしまいましたが、とにかく、私が『タイマ』を読んでこのように感じたのは、偽りのないこと。自分に正直に。我を貫いて。己の遣り方を最後まで、貫き通します。大麻はやらない方向で(笑)

  • 相変わらずパンク!
    野ばらちゃんが逮捕されたときにもパンク過ぎて大爆笑しちゃったけど(いい意味で)、それをネタに丸々一本長編を書くなんていい度胸してる!
    しかも題名がそのまま過ぎるし、中身も肩書きとかそのまま過ぎる!
    出だしはあぁ、本当にこんなだったんだろうなぁーとクスクスせずにはいられません(いい意味で)!

    最初は留置所の話ばかりでエッセイのような、とにかく説明が続くのですが、恋人が登場するといつもの(?)野ばら路線になります。
    相変わらずぶっとんでるけど、どこか愛しい、切ない。
    乙女のカリスマですねぇー

    最後は何だかよくわからんうちに泣いてしまいました。
    泣く内容だったかな…

    前半があまりにも留置所の描写解説なので、従来の作品に比べると若干野ばら度が下がります(、野ばら度って何かよく分からんけど…)。
    なのでその辺りを鑑みて星4つで。

  • 氏の小説はあの有名な「下妻物語」しか読んでいなかったのですけれども、今回の作品も下妻~と同じように「ですます調」で綴られていますね…って、まあ、それはいいんですけれども、今作は氏の実体験が詰まっているからか? やたらめったらリアリティがあったように感じて興味深く読めました! 警察の取調べは本当に酷いですね…昔よりは「可視化」だとかなんだとか言われている昨今、取調べの質も向上したように勝手に思っていたんですけれども、今作を読んだ限りじゃ、まだまだ強引な、脅迫紛いの! 方法が採択されているのやもしれませんね…

    ヽ(・ω・)/ズコー

    まあ、大麻は許されませんけれどもね、ええ…著者も大いに反省していることでせう! この事件の渦中の著者の心情とかが結構ふんだんに盛り込まれているくさい本作、読み応えありましたね…あと、氏の書く文章が個人的に好みなこともあって☆四つ…さよなラーメン。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • 歌舞伎町で大麻を所持していたとして捕まってしまった僕。留置所での出来事とあいちゃんとの思い出が交差する形で物語りは進んでいく。留置所から出た僕はあいちゃんと再会するが、彼女は大麻に手を出して捕まってしまう。互いの想いが切ない話

  • CUTiE読んでた頃、milkとか好きだったな。
    捕まったの聞いたとき、驚きつつも、なんか納得した野ばらさん。

    実際に報道された際の新聞記事をカバーデザインに活かしてて、ヤラれた!って気がしました。つい手に取っちゃうじゃないか。

    どこまでフィクションかわからないけど、警察も手を焼いたやろなー。

    現実世界じゃ代替のきかない愛なんて希少やから、この人の描く世界は乙女を惹き付けるのね。

  • ちょっともの足りなさが…。たぶん恋愛の、狂っちゃうくらい一途な描写が少ないからかな。でもあいちゃんとは性行為がなくて、抱きしめあうだけ、っていうのはなんとなくよかったです。
    ただ、やっぱり野ばらさんの「僕」は好みです。もやもや感もまっすぐな感じも。

  • 大麻の不法所持で逮捕された嶽本野ばらが綴ったものですが、あくまでフィクションでしょう。
    それでもノンフィクションでしょと思いたくなるのが心情ですが、全部事実だとするとここまで書いちゃうのはどうなのかと思うっちゃうし、でも、違うというとそれもそれで逮捕された事実からこれを作っちゃうのもどうなのかと思っちゃったり。
    作品としては相変わらずのトーンで、恋愛小説として読めますが、イマイチ切れがないのは、ベースに自分の体験があるからでしょうか。全体的に言い訳感が漂ってしまうのも、残念なところ。

  • 嶽本野ばらさんの文章がとにかく好き

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著者プロフィール

文 嶽本 野ばら
京都府宇治市出身。作家。
1998 年エッセイ集『それいぬ̶ 正しい乙女になるために』(国書刊行会)を上梓。
2000 年『ミシン』(小学館)で小説家デビュー。
2003 年発表の『下妻物語』が翌年、中島哲也監督で映画化され世界的にヒット。
『エミリー』(集英社)『ロリヰタ。』(新潮社)は三島由紀夫賞候補作。
他の作品に『鱗姫』、『ハピネス』(共に小学館)、『十四歳の遠距離恋愛』(集英社)
『純潔』(新潮社)など。『吉屋信子乙女小説コレクション』(国書刊行会)の監修、
高橋真琴と共書絵本『うろこひめ』(主婦と生活社)を出版するなど少女小説、お姫様をテーマとした作品も多数。

「2021年 『お姫様と名建築』 で使われていた紹介文から引用しています。」

嶽本野ばらの作品

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