ディアレスト ガーデン

著者 :
  • 小学館
3.56
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本棚登録 : 81
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093863254

作品紹介・あらすじ

茜、19歳。夭逝した著名な画家・岸杜秋のひとり息子。爽子、27歳。20歳で結婚、3か月後に夫・秋を亡くす。遺された"家族"として、亡き人の思い出を抱きながら互いを拠り所として7年を過ごしてきた。いつしか大人の入口に立った茜は様々な出会いを重ねて子ども時代からの決別を迫られていた-。

感想・レビュー・書評

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  • 人当たりがそっけなく
    ても、

    多少口が悪かろうとも、

    憎めない登場人物たち。

    みんな心に傷を負って
    いて、

    ひと癖ふた癖ある感じ。

    でもまあ心がまったく
    無傷の人なんて、

    この世にいないんじゃ
    ないかしら。

    だれにも見せたくない
    心の傷が疼いて、

    一人でお酒を飲みたい
    夜だってあります。

  • 初めて手にとった著者です。読みはじめからなかなかよかった。 大切にしたい人がいるのはいいもんだな。自分を知り、周りが見えてくると世界が変わるんだって 十代の終わりに気づいた茜君。私はその年には気づけなかったなぁ…。 

  • 父の再婚相手でモデルの爽子さん27歳と諸事情で高校三年生19歳の茜くん親子のお話。7年前に父が再婚した爽子さん。再婚後すぐ父が亡くなり、お互いの傷を舐め合うように、暮らしてきたふたり。痛々しいのにどこか綺麗な話。サオリの存在がいい。茜くんは父の遺作を破壊したことで一皮むけて大人になれたかな。2012/478

  • 白い。皆白い。初々しい。
    でも、透明の時がある。すぅーっとすりぬけていく感覚もある。
    愛おしい、茜くんの周りの人はみんなそばに居たいと思う。
    居心地が良い。
    終盤になると特に言葉ひとつひとつが気になる。
    過去系か、現在進行形か気になる。
    無いんだ、もう無いんだって。
    きっと、この話の中だと他のお話だと
    きっと普通に読んで終わる様な言葉がここの中だときゅうって
    胸が痛くなって涙出る。
    私の親は普通の人だけど絵を描くのが好き。
    読んでてどんなことあっても絵を描いていたい。
    趣味でも、仕事でも何でもいいから描いていたいなあって。
    そういうのは大事にしたいなあって。

  • 有名な父をもつ子どもの苦悩。読んでいて胸が苦しくなる。

  •  もっと短い話でよかったのではないかと思ってしまいました。主人公がグダグダ悩みすぎ。借金を返している同級生の子と歌をうたう女の子はよかったです。主人公はいろいろ才能あるみたいだし恵まれてるよなぁ。

  • 脇役の倉田君に惚れた。
    君は凄い。

    ちょっと特殊な家庭の子の親離れの物語。

  • 現実的ではない人と設定の中で「19歳の少年」の言動や思考、行動が年相応にもだもだしています。少し特殊な成長物語。

    すっきりさわやかなラストという訳ではないけど、このモヤっと感は嫌いじゃないです。残るべくして残ったしこりだと思う。

  • 39歳で夭折した天才画家を父に持つ茜(男性です)は、父のモデルであった後妻の爽子と暮らしている。若くして後妻となった爽子と茜は、9歳しか違わない。母子と言うより姉弟に近い。爽子はモデルとして、最近話題になっているが、爽子も茜も二人の関係は伏せてある。
    二人の静かな関係が、父の存在感の中、かすかに揺らぎ始める。

    大きすぎる父の存在感ゆえ、絵を描くことをやめていた茜は筆をとる決断をし、爽子から旅立っていく。

    ちょっとカッコ良すぎな茜と爽子だけれど、読んだ後の気持ちは二人をそっと応援したくなるようだった。

  • 茜・19歳。著名な画家である岸杜秋の息子であるが、父親が7年前に交通事故急逝。残されたのは、12歳の彼と少し前に父と結婚した爽子・20歳だった…。


    本の雑誌のお気に入りの連載、“吉田伸子の「食えばわかる」”5月号にそそられて。(*^_^*)
    書評家の吉田伸子さんが、小説に出てくる料理を実際に作って(それを発行人の浜本さんが試食、コメントが渋いのも可笑しいんだけど)同時にその小説の持っている「色」というか、うん、まさしく「味」を紹介するコーナーなんだけど、ポイントはそのレシピがとても簡単、ということかな。(*^_^*)
    料理好きで知られる吉田伸子さんだから、もっと複雑なものだってどんどん作れちゃうんだろうけど、そこにはたぶん、吉田さんなりの線引きがあって、お話の中でちょちょいと作った食べ物がいかにその人物の根本を表しているか、を読者に知らせたいんだと思う。

    で、今回は、爽子さんの作った「かぼちゃパイ」。そもそも、爽子さんはとんでもなく独創的な(単に下手、とも言える)料理人で、小説内で語られる彼女の美しさとのギャップが可笑しかったり、またそれゆえに義理の息子・茜が料理上手になってしまうという面白さ+もっと奥深い彼ら2人の関係性までが見えてきたり。

    たった8歳違いの義理の母と息子という不自然さ(しかも、爽子さんは今をときめく美人モデルで、茜くんも落ち着いた佇まいがとてもとても魅力的、かつ、人付き合いが下手と自分では言いながら、学校の傍ら、バーテンのバイトをしていてそこではかなり有能であるらしい。(*^_^*))と、爽子の料理下手は、ホント、いい具合に化学反応していて、そのピンポイントを読者に提示してくれた吉田さんって・・・と、本の感想なんだか、「食えばわかる」の感想なんだか、わからなくなってきちゃうんだけど。^m^


    茜くんも爽子さんも、また、2人を取り巻く人たちも好きでした。
    そして、この不自然な関係がさぁどうなる・・・??となると、それはもちろんネタばれになるから書きたくないのだけど、ただ、後半の茜くんのあれこれ逡巡するところはちょっと冗漫になっちゃってたかな。
    もう少し、ページ数を削ってすっくりさせた方が読者としてはもっと面白く読めたかも、という気がします。2人のことが好きだから敢えて言っちゃうんだけど。

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