- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093863360
作品紹介・あらすじ
「医者をなめてるんじゃない?自己満足で患者のそばにいるなんて、信じられない偽善者よ」。美しい信州の情景。命を預かる仕事の重み。切磋琢磨する仲間。温かい夫婦の絆。青年医師・栗原一止に訪れた、最大の転機。
感想・レビュー・書評
-
3巻も良かった一冊。
2巻の哀しみからやっと抜け出し3巻へ。
あぁ、この巻もやっぱり良かったな。
患者さんの抱える病の裏側のドラマにもホロリときたけれど、医者同士の矜持のぶつかり合い、自分の信じる道なるものに一番泣かされた。
最良の医者とは…生き方違えど命のために最善を尽くす想いは一緒。
今までただ馬車馬のような日々だった一止先生の大切な気づきと転機はぐっと涙と共に深く沁みてきた。
老人患者とのシーン、大狸先生の三つの杯の意味。そこで得たかけがえのない時間と言葉。
そしてこれから何を見つけ出すのか、ドキドキしてきた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
過去2作に負けず劣らず大好きな作品でした。
描かれてるエピソードや言葉がどれも心に刺さり、ずっと涙浮かべて読んでしまう、、
作品で描かれてる偉人の名言、夏目漱石もジャン・クリストフも読んだことがないけれど、古くから愛されてる名著には生きる上で学ぶべきことが多々あるのだなと思う。いつか読んでみたい。
〝やりたいことが見つからないから、何もしないというのでは、ただの猿問答だ〟
この言葉は心に響いた。これは偉人ではなく男爵の言葉だけれども。 -
H30.1.11 読了。
・やはりこの小説の独特の世界観は最高ですね。まだ行ったことのない長野にも思いを馳せてしまいます。続編、出ないかなあ。 -
休日すら犠牲にし、病棟に詰め、患者に寄り添うこと。目の前の患者に向き合うのが最重要事項である・・・。世間の人々が思い描く良い医師といえば、現場主義のこんな医師ではないだろうか。引きの栗原一止は健在。最愛の妻とのコーヒータイムもそこそこに病院に駆けつける彼は患者想いの仕事熱心な男である。
対して、普段の仕事ぶりは完璧なのに特定の患者についてはろくに診察もせず放置する小幡先生。患者よりも研究会を優先するかのような彼女の言動に、栗原先生激おこ。
しかし「医者っていう仕事はね、無知であることがすなわち悪なの。」「医者をなめてるんじゃない?自己満足で患者のそばにいるなんて、信じられない偽善者よ」医療は日進月歩、目の前の患者に時間を割くことももちろん必要だが、研究会や学会に積極的に参加し、常に最新の知識に触れることもまた、医師としての本分なのだと気づく・・・。必死で生きようとする患者にはこちらも全力で向き合うが、甘えて過ちを繰り返す患者に割く時間はない、という小幡先生。
ハルさんといい、小幡先生といい・・・いい女すぎる。大狸先生やタツ、砂川先生も相変わらず・・・
もうね・・・これは、シリーズで買い揃えても良いのではないかしら。一気読みしたいです。 -
シリーズ第3作目。
ハルさんと居酒屋「久兵衛」の大ファンです。
今回も様々な出会いと別れがある。別れはいつも切なく出会いは毎回曲者揃いだ(笑)
また今回は一止が最大のピンチに直面して悩みまくる。その結果、新しい旅立ちに繋がるのだが、このシリーズは残念ながらここまで。
一止たちの大学時代を描いた「カルテ0」、新しい舞台での一止を書いた「新章」があるので期待して読みたいと思う。 -
4.5
面白かった。
一止は相変わらず変人っぷり爆走中ですが、不思議と愛せるキャラです。楽しく読ませてもらってます。
内容としては、命に関わる重い話もありますが、小幡先生の登場もあって一止が少しずつ成長していく様が見られていい感じです。
あと、神様のカルテはドラマにもなったんですね、
テレ東でちょうどドラマスタートしたのですが、仙台ではテレ東は見れず、見逃しのアプリを入れて見ました。
-
" 正解はない。それが医療というものの難しさであろう。"
" 医者っていう仕事はね、無知であることがすなわち悪なの。"
『神様のカルテ3』はエンターテイメントではなかった。
映画化されたタイミングも考慮にあったのかわからないが、読者に対して、背筋を伸ばしたくなる問いかけをこれでもかと突きつけてきた。
” 正解はない ”
だからこそ、対峙している相手に対して、対峙している時に対して、今立っている場所を考え、” 自分と向き合い ” 納得のゆく解を出さなくてはいけない。
命を預かる医者はまさに厳しい解を求められる。
医者でなくとも、そうであるはず。
冒頭にたびたび出てくる以心伝心の風景に安らぎを感じた。
以心伝心という高コンテキストを共有しない前提に立たねばならないビジネスの場におく身において、小説の中で展開される風景に懐かしさを感じた。
しかし”正解はない”世界では、以心伝心に逃げちゃいけない、知らない中で出した決断によって致命的な影響を相手に与えてはいけない。
そんなことを小説後半に考えさせてくれた。
「第五話 宴」胸が熱くなった。
想いを強く持ちなおした。
目指す姿を追い求める原点を振り返ることができた小説でした。
そして改めて以心伝心で伝わる人間関係を築くことの大切さも感じさせる小説でした。
やるべきこと、やりたいこと、できること。
続けよう。 -
「医者をなめてるんじゃない?自己満足で患者のそばにいるなんて、信じられない偽善者よ」。美しい信州の情景。命を預かる仕事の重み。切磋琢磨する仲間。温かい夫婦の絆。青年医師・栗原一止に訪れた、最大の転機。
「BOOKデータベース内容紹介」より
清涼な風を感じる.
医師の良心、患者の気持ち、日進月歩の技術.医師としてどうあるべきか、問い続けながら医療に従事する先生たちに、感動し、同僚たちとの軽妙な会話に心なごむ一冊. -
栗原先生は、間違いなく理想の医師のひとつの在り方だと思う。
けれど、理想と現実の乖離というところをついてきています。
患者にとって理想の医療とは何か、医師の使命は何か、医師としての矜持は何か、そういうものをずっと問うて来ていますが、栗原先生も一つ上のステージに上がっていくのですね。
無我夢中で目の前の患者さんと向き合ってきた今までとは違う責任の重さから、目を逸らさないで挑もうとしていく姿には、心がぐっと掴まれます。
林檎と最先端医療を常に手にする小幡先生、わたしはもしかしたらこういう先生の方が、うーんとなんていうか、尊敬?信頼?共感?できるかもしれない。
小幡先生、もちろんそれだけのものを背負っているのですが、そうでなくても医師の中の医師という感じ。
まわりの人たちの存在感も増してきて、いいコンビネーションが随所で見られるのもいいですね。
今回は、看護師の東西さんと屋久杉君が特によかったな。
屋久杉君の、その向こうにもっと大きな世界が広がってるって、最高にエキサイティングじゃないっすか?ってとこがすごく気に入りました。
井の中の蛙大海を知らず、ってやつだね。
エキサイティング、いい言葉だ。
牛のように図々しく進んでいきましょう。 -
古狐先生こと内藤鴨一先生を亡くした消化器内科病棟に心強い新メンバー、小幡奈美先生
大狸部長先生のお墨付き、聡明・スタイル抜群、美人で快活、人当たりも良くこれで内科は安泰かと思えたが・・・
時折見せる小幡先生の怜悧な視線
病棟の看護師間で囁かれ始めた小幡先生の悪評
小幡先生の正体は?
本庄病院に赴任してきて何か企んでいるの?
と不穏な想像が広がり、一気にミステリーめいてくる
しかし、小幡先生の口から語られた話は、一止が理想とし追い求めてきた医師の姿を根底から覆すものだった
小幡先生をここまで駆り立てた壮絶な過去を知るにつけ自分は一体どこへ向かおうとしているのか疑問を感じ始める
いつでも決然と理想に向けて走り続けてきた一止
間違いなく良心に恥じぬ医者と進藤辰也も太鼓判を押すが本庄病院を去り大学病院へ
これまで、過酷な環境の中で、躍起になって駆け回ってきた。懸命でありさえすれば、万事がうまくいくと手前勝手に思い込んでいた
しかし、医療とはそんな安易なものではなく、常に最新の知識と技術を更新し続けなければならないことに気づいたのだ
最後、大狸先生と酒を酌み交わすシーンに盃が一つ置いてある
あとからハルさんが来るのかなと思っていたが、その席は・・・・
それが分かった途端、胸がいっぱいになり涙が出てきた
大学病院でしっかり学んで戻ってきた一止先生が見てみたい