人さらい

著者 :
  • 小学館
3.25
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感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093865203

作品紹介・あらすじ

少女惨死、一億円消失。超絶誘拐ミステリー

またもや一敗地に塗れた静岡県警。
静岡県浜松中央署管内で小学四年生の村木千夏ちゃんが誘拐された。犯人は、千夏の母・清美に身代金一億円を持って、浜松駅からタクシーに乗車するよう命じる。静岡県警は総力戦でのぞむが、身代金は奪われ、千夏は無残な遺体となって発見された。県警の日下悟警部補は、千夏への仕打ちから、村木家に強い恨みを持つ者の犯行ではないかと推理していた。
江戸川乱歩賞受賞作『誘拐児』、
WOWOWで連続ドラマ化の
『真犯人』を超える最高傑作登場!


【編集担当からのおすすめ情報】
大藪春彦賞候補作にして、
WOWOW連続ドラマ化の『真犯人』続編!

感想・レビュー・書評

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  • 『冤罪犯』『真犯人』と翔田寛の小説を読んできて、今回の『人さらい』を読んだわけだが、どういうわけか、誘拐に関する事件ばかりを取り扱っている。
    実際、現代では、そんなに誘拐事件はあまり聞かない犯罪に思うのだが、なぜそこまで誘拐にこだわるのか。でも、何はともあれ、前作までに比べ、『人さらい』というタイトルは、エンタテインメント性が強く、またおどろおどろしい印象がある。そして、翔田寛は面白いというイメージを獲得したのではないだろうか。

    さて、ある資産家の銀行員の娘が誘拐された。身代金は1億円。金を用意し、銀行員の妻が金を抱えて指定された場所に立っていると、タクシーが現れそれに乗せられた。後を追うも見失う警察官たち。やがて金に仕込んだGPSの反応も途絶えた。
    娘を生きて取り戻すことができるのか。事件の背景を追っていくうちに、銀行員の強引な融資打ち切りによって一家心中をした家族がいたことが明らかに。怨恨によるものか、それとも金銭目的の犯行か。やがて、真実を知った時には愕然とし、強いやるせなさが残る。

    子を持つ親にとって一番辛いことは何か。イジメ、自殺色々あるが、それでは大人による第三者からの犯行にはなり得ない。では、誘拐ならどうだろう。間違いなく身を切るような思いがあることは想像に難くない。
    この事件の背景には人の思いがたくさん詰まっている。たくさんの人の思いに馳せると、涙せずにはいられない。きちんと生きよう。きちんと生きたい。

  • 11月-4。2.5点。
    銀行支店長の小学生の娘が誘拐される。
    意表を突いた身代金の運搬方法、謎の爆発等々。
    犯人は、そして人質の無事は。

    登場人物の描写が薄すぎて、特に刑事の見分けがつかない。
    真犯人の、真の動機も、取って付けたよう。

    ページ数も少なく、必要な描写がなされていない。
    まあまあ好きな作家だが、残念。

  • (図書館本)お勧め度:☆6個(満点10個)。浜松市を舞台にした小学生誘拐殺人事件の捜査の手口と一部始終を警察側の観点から書かれた小説だが、犯人が〇〇だったとは意外な展開。複雑に絡んだ人間模様と心理描写が絡んで、犯人に同情したくもなる。ただ、大筋は復讐劇なので、いかにして、誘拐が行われ身代金をうけとったかの面白さだと思う。昔から誘拐は罪が重い、ましては誘拐殺人となるとなおさらだ。タクシーを数台使い警察を攪乱させ、運転手を爆死させる筋立ては面白かった。蛇足ながら私も以前浜松市に住んでいたので懐かしかった。

  • 新刊コーナーで目に付いた2冊が
    たまたまどちらも誘拐物で立て続けに読んだ。
    奇をてらったもう1つの作品に比べれば
    こちらは正統派。
    とはいえしょっぱなに大筋は読めてしまったし
    謎解きや心理描写で心動かされることもなく。
    この作者の本は初めて読んだと思うが
    どうやらシリーズ物なのか
    人物描写も省略されてキャラが弱く感じた。

    [図書館・初読・11月30日読了]

  • 小学4年の千夏が誘拐され、静岡県警は総力戦で臨む。しかし身代金は奪われ千夏は遺体となって発見され静岡県警は大敗北を喫す。地取りや鑑取りなど多方面からの捜査が真相へ近づいていく。真相はやるせないもので、ただただ切ない。「娘の事故の実情を誰にも見せたくなかった」という親の子持ちが痛いくらいに分かり、泣けた。

  • 怪しげな館での密室殺人や、絶海の孤島で連続殺人、因習の村の名家で陰謀渦巻く見立て殺人などミステリらしい派手な事件が起きるわけではなく、現実に起きてもおかしくないような身代金目的の誘拐事件が1件起きるだけである。その後も名探偵がドラマチックにトリックを暴くわけではなく、警察が地道な捜査を続けて核心に迫る様子を淡々と描くのみである。にもかかわらず一気読みしてしまう魅力と読みやすさのある作品であった。
    ……とはいえ、何とも悲しくやり切れない読後感であった。被害者夫妻は人として好きになれないタイプではあるが、誘拐された少女には何の罪もない。誰も幸せにならない話だった。

  • 翔田 寛さん、初読みです。

    2015年に発売された『真犯人』の続編ですが
    そちらを読んでいなくても問題ありませんでした。

    タイトルで一目瞭然ですが誘拐物です。
    静岡県浜松中央署管内で、小学4年生の村木千夏ちゃんが誘拐され
    犯人は千夏の母、清美に身代金1億円を持って、浜松駅からタクシーに乗車するよう命じます。

    プロローグが鍵である事を想像して読み進めて行くと
    途中から幾重にも絡み合った人物相関図が明らかになって来る。

    復讐の為だけに利用される子供が可哀想で堪らない。

    因果応報で片づけるにはあまりにも辛くやりきれない物語。

  • 久々に読んだ重めの推理小説。事件の詳細と気になることを時系列に書いてみたけど結末はまったく予想できず、しっかり騙されました。
    作り込みがすごかった。完敗でした。

  • 2022.11.28-570

  • 悲惨な事件発生から、次々と刑事さんの小さなヒントなどを積み重ねて、犯人の炙り出しがワクワクした。見事に付箋回収してて、読みやすかった

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著者プロフィール

1958年東京都生まれ。2000年「影踏み鬼」で第22回小説推理新人賞を受賞し、デビュー。01年「奈落闇恋乃道行」で第54回日本推理作家協会賞(短編部門)候補となる。08年『誘拐児』で第54回江戸川乱歩賞受賞。14年「墓石の呼ぶ声」で第67回日本推理作家協会賞(短編部門)候補に。17年『真犯人』で第19回大藪春彦賞候補になり、18年にWOWOWで連続ドラマ化。他の著書に『人さらい』『左遷捜査 法の壁』『左遷捜査2 迷宮入り事件』『冤罪犯』など多数。

「2022年 『時効犯』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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