毒警官

著者 :
  • 小学館
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093866163

作品紹介・あらすじ

すぐには、死ねないぜ。

窃盗の罪で横浜刑務所横須賀刑務支所に収監されていた利根太作は、身柄引受人の保護司が見つかったことで仮釈放された。社会復帰後は、保護司の娘・小海友紀が営む辻堂のレストランを住み込みで手伝うことになる。
友紀の同居人である阿久津晴也は、窓際警官“ごんぞう”として鳩裏交番に勤務する傍ら、立件しづらい家庭内暴力や性虐待の加害者を、“毒”をもって殺さず粛清していた。利根が見込まれたのも、窃盗のスキルを期待してのことだったのだ。

「盛り盛りの毒が全開!」
--相場英雄氏(作家)
「現代の黙示録」
『震える牛』の著者が震えに震えた
危険極まりない悪童警察小説!

【編集担当からのおすすめ情報】
●本書に登場する毒
ドクゼリ、トリカブト、ベラドンナ、チオペンタール、ローレルジンチョウゲ、ギンピーギンピー、マンチニール、アセビ、アヤメ、オシロイバナ、イラクサ、ボツリヌスキシン……

感想・レビュー・書評

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  • 交番勤務をしながら裏で、家庭内暴力や性虐待や虐めといった立件しづらい加害者を「毒」を用いて、命までは奪わずに粛清する。

    すべては、被害に遭っても声をあげられず、苦しんでいるこどもたちのために…なんだが
    薬に関して熟知していないとできないこと。

    危険度スレスレのところで、バレないようにしているのは流石だと思える。

    警官が隠れ蓑のような気がするからスッキリしないのか…盛り上がりがもうひとつだった。


  • こんな警官は見たことも聞いたこともない。

    毒に魅せられた阿久津が、仮釈放の利根を
    仲間に引き入れて苦境にある子供たちを救う
    痛快警察小説。

    方法は破茶滅茶だけど、阿久津の箍の外れた
    行動の奥深くには、かつての救われなかった
    自分を癒すかのような澄んだ愛が滲んでた。

    一見いい加減で不良な警官の阿久津が、
    一筋縄ではいかない環境を変えるため
    利根を巻き込んで強硬手段に突き進む様子を
    ハラハラしながら想像して読んでると、
    エールを送らずにはいられません。

    ゴンゾウ=使えない厄介者の警察官
    初めて知ったことばです。






  • 鳩裏交番の「ごんぞう」は、毒に耐性を持ち、毒で「お仕置き」をする「異様」な警官だった。
    やる気のない警官たちの「活躍」を描いた、
    前作の「GAP」が結構、気に入ったので、
    この作品の紹介記事で、前作に登場した「鳩裏交番」の名前を目にしたため、
    おっ、続編が出たか、と、即買いした。

    う~ん、続編とは、意味が少々異なるかな。

    鳩裏交番のお巡りさんが主人公で、やはり、「ごんぞう」であることは
    間違いないのだけど。

    前作では、鳩裏交番に回されてきた新米巡査が、
    ごんぞう警官と付き合っていくうちに、彼らの真の姿に触れていくという、
    なかなか、心に響く物語だった。

    と、そんな彼らにまた会えるのかと思ったのだが…。

    今回のごんぞう警官は阿久津。
    壮絶な過去を持ち、さらに、毒に耐性があり、毒で快楽を得られるという
    特異体質の持ち主で、その設定からして、少々異質である。

    そんな彼が、窃盗犯で仮釈中の利根を巻き込んで、
    警察に見逃される児童虐待や性的虐待、事故で処理された案件を、
    探り、真相を見出し、毒をもって悪い奴にお仕置きする。

    阿久津のアンテナに引っかかった虐待、
    特に児童虐待は、ハードでヘビーなもので、
    阿久津の体質や過去と相まって、ドロドロ、グニャリグニャリしてくる。

    「必殺」のように、斬って捨てるという始末の付け方でないところが、
    いいのだろう。
    何しろ、ごんぞうとはいえ、警官なんだから。

    こうなると、次の鳩裏交番シリーズは、どんな警官が出てくるのだろうか。

    楽しみでもあり、怖ろしくもある。

  • 交番警官が立件し辛い事件の加害者に毒で制裁を加えるというリアルに毒をもって毒を制す話。事件の加害者達がほんまに最低で、警察が駄目なら頼む毒警官、と違法捜査を行うダークヒーローを応援したくなる。

  • 毒物の取り扱いに秀でた阿久津春也とピッキング行為で捕まり保釈された利根太作が、盗聴盗撮を駆使して様々な案件を処理する物語だが、警官である阿久津、利根の職場となるレストラン ヴェレーノの小海友紀など、魅力的な人物が繰り広げる展開が楽しめた.手順は利根が対象家屋に忍び込み盗撮盗聴装置を設置し様子を確認し、状況を把握した阿久津が適切な毒物を選択する.最初の事例では父母が飲む焼酎に投入する.DVに苦しんでいた卓は父親の細木四郎の逮捕で解決.いじめの首謀者上川も毒物入り飲み物で形無しになる.難題だったのは引きこもりの上尾克俊の事例.阿久津の陽動作戦、利根の探索活動が功を奏し、克俊は閉鎖病棟に隔離されたが脱走し、阿久津と友紀の最高のイベントを混乱させる.テンポの早い決断を阿久津が出し、それを利根が上手くこなす.痛快な物語だった.

  • んー。
    なんか中途半端にハッピー。
    続編狙いかな?

  • 身柄引受人として保護司が名乗り出てくれたおかげで、仮釈放された窃盗犯の利根。しかしそれは、警官の阿久津が自ら行う「制裁」の手札として利用する目的だった。刑事事件として立件しづらい虐待やいじめ等の加害者に、自らの趣味でもある毒を使って制裁を下していく阿久津。と言ってしまえば恐ろしく思えますが、実はとても痛快でユーモラスでもある作品です。
    毒を熟知した阿久津による制裁は、絶妙かもしれません。もちろん違法ではあるけれど、決して殺してしまうことなく事態を解決するという面ではこれ以上の妙案はないでしょう。たしかにエグいといえばエグいけど。実行されなかった「根治療法」はむしろ愉快ですね、本当に。ああいう犯罪者にはことごとくやってやればいいのに。
    そして恐るべき敵との対決にもどきどきさせられ、ラストのあの展開にはもうどうなることかと思ったのだけれど。たしかに事情を知った利根の目線からすると……あれは笑うところだったのか。心配して損した!(笑)

  • 帰って来た“ごんぞう”が毒を武器に苦境にある子どもたちを救い出す。着想は面白いが、毒の説明や虐待場面は“これでもか”と目を背けたくなるほど詳しい一方で、会話や犯行手口などは大雑把で“バレる”でしょう!八角は甘いのか、知らなかった…。

  • 面白かった。最後ハラハラした。

  • 阿久津の容姿がイメージできなかった。

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著者プロフィール

東京生まれ。会社勤務を経て、映画ライター。『そして父になる』『三度目の殺人』などのノベライズ作品を手がける。2019年『ゴーストアンドポリス GAP』で警察小説大賞を受賞し、小説家デビュー。近刊『極道保育 わんわん保育園は今日もにぎやか』。

「2021年 『劇場版シグナル 長期未解決事件捜査班【映画ノベライズ】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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