宙ごはん

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (369ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093866453

作品紹介・あらすじ

この物語は、あなたの人生を支えてくれる 宙には、育ててくれている『ママ』と産んでくれた『お母さん』がいる。厳しいときもあるけれど愛情いっぱいで接してくれるママ・風海と、イラストレーターとして活躍し、大人らしくなさが魅力的なお母さん・花野だ。二人の母がいるのは「さいこーにしあわせ」だった。宙が小学校に上がるとき、夫の海外赴任に同行する風海のもとを離れ、花野と暮らし始める。待っていたのは、ごはんも作らず子どもの世話もしない、授業参観には来ないのに恋人とデートに行く母親との生活だった。代わりに手を差し伸べてくれたのは、商店街のビストロで働く佐伯だ。花野の中学時代の後輩の佐伯は、毎日のごはんを用意してくれて、話し相手にもなってくれた。ある日、花野への不満を溜め、堪えられなくなって家を飛び出した宙に、佐伯はとっておきのパンケーキを作ってくれ、レシピまで教えてくれた。その日から、宙は教わったレシピをノートに書きとめつづけた。全国の書店員さん大絶賛! どこまでも温かく、やさしいやさしい希望の物語。

感想・レビュー・書評

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  • あなたは、自分の親とどのような関係にあるでしょうか?

    このレビューを読んでくださっている方にはさまざまな方がいらっしゃいます。年齢も性別もマチマチです。すでに自分の親を亡くしたという方もいらっしゃると思います。

    一方でご存命であったとしてもその関係性は人それぞれだと思います。1990年代から顕著になったと言われる”友達親子”といった関係性にある方もいらっしゃるでしょうし、その反対に何らかの理由によって、二度と会わないと決めてバラバラの人生を送られている方もいらっしゃるかもしれません。他人の家庭の事情はその数だけあります。

    そして、そのどの関係性が正解と言い切ることもできないと思います。また、そもそも自分の家族以外、他の家族の関係性というものはなかなかに覗き見することさえ難しいと思います。テレビドラマに描かれる親子の姿、そんな映像がファンタジーに見えてしまうのは、もう当然のことなのかもしれません。

    さて、ここに物語冒頭に幼稚園児だった一人の女の子が母親との複雑な関係性の中に成長していく姿を描いた物語があります。その女の子はこんなことを言います。

    『わたしには、育ててくれているママと産んでくれたお母さん、それぞれがいる』。

    この作品はそんな女の子が『産んでくれたお母さん』と暮らすようになった先の人生を描く物語。そんな女の子が、『超ふわふわパンケーキの極意を教えてやる』と言われた先に、『レシピノート』を書き上げていく物語。そしてそれは、そんな女の子が小学生、中学生、そして高校生と成長していくその先に、

    『悲しいとき、嬉しいとき、やるせないとき。いつだって宙を生かして育ててくれた』。

    そんな思いを『料理』に感じる瞬間を見る物語です。

    『宙ちゃん、どうしたの?』と『保育士の廣木』に訊かれたのは主人公の川瀬宙(かわせ そら)。『もうすぐ”母の日”という』タイミングに『ママの似顔絵を描きましょう』と『画用紙を配 』った廣木は宙の『まだ何も描かれていない真っ白な画用紙を見て「好きに描いていいんだよー?」と笑いかけ』るも『どっち?』と訊かれてしまいます。『ママとお母さん、みんなどっちをかいてるの』ともう一度訊く宙に、『受け持ちの子どもたちの中に特殊な事情の家があったことを、すっかり忘れていた』廣木は『はっとし』、『え、えっと。両方描いたらどうかなあ』と言います。それを近くで聞いていた大崎マリーが『りょうほうってなに。ひとりしかいないにきまってるじゃない』と声を上げます。それに『わたしには、ふたりいるもん』と返す宙は『わたしには、育ててくれているママと産んでくれたお母さん、それぞれがいる』と思います。しかし、マリーもおさまらず、いつも迎えに来ているのが『ニセモノ』だとつっこむと、周りの子たちが『ニセモノのママなんているのお?』と騒ぎ出しました。そして、『ニセモノのママと一緒にいるんだ。かわいそう』と言われたことに『わたしは、可哀相なんだろうか』と思う宙。
    場面は変わり、『卒園パーティ』で『築八十年を超す』川瀬家へとやってきた宙を、『卒園おめでとう』と迎えるのは『産みの母』である花野(かの)。そんな花野のことを『カノさん』と呼ぶ宙は、『花野のみっつ下の妹である風海(ふみ)の手で育てられ』てきました。『ジェラート買ったの』と専門店で買ってきた『開店一時間で売り切れ』になる人気商品を花野が出すと、『姉さん、そういうもので子どもを釣ったらダメ』、『まったく、姉さんは子育てが分かってない』と風海に叱られてしまいます。一方で『カノさん、さいこーだよね!』と喜ぶ宙。そして『卒園パーティ』が終わるというとき、途中から参加したパパの康太が突然話しかけてきました。『なあ、宙… 宙ももう小学校一年生になるんだ。そろそろ母娘で暮らすときがきたんだよ』と語る言葉に『いま言わなくてもいいじゃないの』と咎める風海。『姉さんじゃ子育てなんてとうてい無理。宙が可哀相』と言う風海に『三人で話し合って、決めたことだろ?』と言う康太は『宙。僕たちはお前のしあわせを考えたんだ。あるべき姿に、戻ったほうがいいんだよ』と宙を抱きしめながら語りかけます。突然のことに『何が何だか分か』らない宙。そして、宙が育ての親である風海の元を離れ、『産みの母』である花野と暮らす新しい毎日が始まりました。

    三年連続で本屋大賞にランクインするという快挙を果たされた町田そのこさん。そんな町田さんが本屋大賞2023に送り込まれたのがこの作品「宙ごはん」です。”今日を乗り越えてゆくための食卓を描きました”という町田さんの言葉と、「宙ごはん」といういかにもな書名をもってこの作品が”食”を何らかの形で取り上げた作品であることを予想させます。女性作家さんの作品には”食”を取り上げた作品が多々あります。泣き笑いの人生の中に”食”が如何に大切な役割を果たしているかを感じる井上荒野さん「キャベツ炒めにささぐ」、”食”に焦点を当てた物語が自然と登場人物の性格描写に結びついていく伊吹有喜さん「オムライス日和」、そして”ふぅ、幸せ”という一言が象徴する幸せな食卓を演出していく小川糸さん「あつあつを召し上がれ」など本を読んでいるのに無性にお腹が空いてくる見事な”食”の場面を作品中に登場させる作品はあげだすとキリがないほどです。

    一方で、町田そのこさんと”食を描いた作品”というのは今ひとつピンときません。しかし、”食”を描くということは文字の力で食欲を刺激することが必須であり、作家さんの文章表現力が問われるものでもあります。その点からは、本屋大賞三年連続ランクインの圧倒的な表現力で読者を酔わせてくださる町田さんには大きな期待が沸くところです。この作品は、五つの短編が連作短編を構成していますが、そんな五つの短編それぞれに短編タイトルに記された”食”が登場します。では、そんな中から一編目で取り上げられる『パンケーキ』の描写を見てみたいと思います。

    『よし、やっちゃんが超ふわふわパンケーキの極意を教えてやる』、『まずは、粉を混ぜてふるうところからな。これをしないと、粉がダマになって、出来上がりが不味くなるんだ』と指導を受ける宙。佐伯が『うまいうまい』と褒める中に卵を割り、メレンゲを作っていく宙。そして、『火にかけたフライパンに、十分に泡を保った生地を落と』すと、『バニラの香りが広がり、生地が焼ける香ばしい匂いが続く』という場面。ここで、『おまじないとして、お湯をちょっと足』 すことを指導される宙は、『宙のおまじないのお陰で、絶対美味いもんができるぞ』とも言われ『わあ』と声を出します。そして、『宙の握りこぶしほどの厚みを持ったパンケーキ』が出来上がり『バターを載せると、鋭かったバターの輪郭がすぐにやわらかくまるくな』ります。

    そうです。この作品が描く”食”の特徴は、主人公の宙が、料理人である佐伯の指南を受けてさまざまな料理を学んでいく姿が描かれていくところにあります。物語が進むに連れて幼稚園児から高校生へと大人の階段をかけ上がっていく主人公の宙。そんな宙は、『小学校一年生のときにパンケーキの作り方を教わって以来』、『佐伯に料理を教わってはレシピをノートに書き留めて』います。『ノートにせっせと書いては、数日後に自宅キッチンやサエキのキッチンで復習を』するという宙。

    『小学校一年生から始めたレシピノートはいまでは二十冊を越したが、油がハネたシミや、慌てて書いたせいで乱れた文字を眺めているだけで、そのときの空気まで鮮やかに思い返すことができる』。

    短編を読み進めば読み進めるほどにノートはどんどん増えていきます。そしてそれは宙がさまざまな料理をマスターしていくことも意味します。また、そんなノートにその時々の思い出が刻まれていくように読者の中にも”食”のシーンが物語と共に刻まれてもいきます。では、そんな風にしてできた料理を食べるシーンをみてみましょう。メニューはもちろん、ここで取り上げた『パンケーキ』です。

    『ふわふわしたたまご色の生地を大きく切り分けて口に運ぶと、表面は少し硬めでかりっとした食感。中は雲を口に入れたかのようにすっと溶けて消えた』という『パンケーキ』。『最後に残るのはバターの豊かな香りと、イチゴジャムの爽やかな酸味』という中に『おいしい…』としみじみ呟く宙は、『一口食べては感嘆のため息をつき、二口食べては頰が緩む。美味しい。とても美味しい。こんなに美味しいパンケーキ、どこにも売ってない』と思います。『やっちゃん、わたしこんなおいしいパンケーキ、はじめて』と言う宙に、『そりゃ、自分が一所懸命作ったもんだから美味いのさ』と返す佐伯。

    いかがでしょうか?美味しそうに感じられましたか?私はもう、『パンケーキ』が食べたくて食べたくて食べたくて仕方がなくなってきました(笑)。『パンケーキ』が登場する作品というと寺地はるなさん「今日のハチミツ、あしたの私」などでも食欲を散々に刺激されましたが、いずれもこの絶品の文字表現があってこそです。この町田さんの作品は、『パンケーキ』を描いた作品として、そして”食”を取り上げた作品として、新たに私の中に刻まれました。

    そんなこの作品は上記した通り五つの短編が連作短編を構成しています。それぞれの短編を簡単に見てみましょう。

    ・〈第一話 ふわふわパンケーキのイチゴジャム添え〉: 『わたしには、育ててくれているママと産んでくれたお母さん、それぞれがいる』という宙。小学校入学を機に産みの母である花野の元で暮らし始めます。そして、花野を慕う佐伯を『とてもいい人』と親しくなり、料理を教えてもらいます。そんな中、花野から『あたしの恋人なの』と、柘植という『初老の男』を紹介された宙。

    ・〈第二話 かつおとこんぶが香るほこほこにゅうめん〉: 『今日の献立、最悪』と、『好き嫌いが激しくて、いつも献立に文句をつけている』クラスメイトにうんざりする宙。『叱らない教育』をモットーにする担任の元、『纏まりのない雑然とした』『六年三組』での時間を過ごします。一方で、『あまりに柘植に頼っていることに、呆れ果て』て花野のことを見る宙。

    ・〈第三話 あなたのための、きのこのとろとろポタージュ〉: 『小学校一年生から始めたレシピノートはいまでは二十冊を越した』という宙。一方で、花野は突然、『絵が描けなくなった』という苦しみの中にいました。そんな花野を心配する中に、『クラスのムードメーカーで、いつもひとを笑わせている』という鉄太と付き合い始めた宙は、彼が抱えているものの存在を知ります。

    ・〈第四話 思い出とぱらぱらレタス卵チャーハン〉: 『どこもかしこも老朽化していた』という『築八十年を超える川瀬家』の『大掛かりなリフォームをすることに決めた』花野。それに向け、モノを『景気良く捨てて』いく花野を心配する家政婦の田本。『ママが来るまで処分は待った方がいいんじゃないかな』と宙が進言するも『これはあたしの家のことだもの』と聞かない花野。

    ・〈第五話 ふわふわパンケーキは、永遠に心をめぐる〉: 『遠宮廻が退学したと聞い』ても『誰のことだか分からな』い宙。『ワケアリ父子家庭』と聞き『ワケアリ母子家庭』だと自身を思う宙は、『親のせいで人生狂った感じだよね』と遠宮を噂する友人の言葉に『人生』と呟きます。そんな宙は買い物に出かけたスーパーで『ちょっとこっち来い』、『万引きじゃねえか』と小学生の少年が連れていかれる場面に出くわします。

    五つの短編の視点の主は宙から動くことはありません。しかし、それぞれの短編で光が当てられていく人物は変化していきます。それは、一編目の花野から始まり、宙の身近な人物に順に光が当てられていく中で、次第に宙自身が置かれている境遇が明らかになってもいきます。そこに宙が幼稚園児から高校生へと成長していく縦の軸が重なります。物語を読む読者はそんな物語の中で次第に宙の中にある変化が訪れていくのに気づくはずです。上記した通り、この作品では、”食”が描かれていきます。食べるだけでなく、作り方の指導を受けて短編タイトルにあるような”食”を作る側にも回っていく宙。しかし、物語が進むに連れて、「52ヘルツのクジラたち」や「星を掬う」と同じテーマが顔を出します。それこそが、『うちのママって、すごくすごーく、面倒なひとなんだ』という言葉の先にある『自分が子どものことを振り回してるなんてこれっぽっちも思ってない』、『構ってあげている自分ってのに満足すらしてる』という自身の親を見る感情が募っていく物語です。

    ・『親のせいで人生狂った感じだよね』。

    ・『毒親って、実はどこにでもいるものなのかな』。

    昨今、”毒と比喩されるような悪影響を子供に及ぼす親、子どもが厄介と感じるような親を指す俗的概念”でもある『毒親』という言葉がよく使われるようになりました。小説でそんな『毒親』を取り上げた作品も多々あります。そして、その代表格とも言えるのが町田さんだと思います。過去に本屋大賞にランクインした「52ヘルツのクジラたち」や「星を掬う」でも取り上げられたこのテーマを再び取り上げる町田さん。この作品では、作品中に『愛が重いっていうか、束縛が強いんだよ。あと、恩着せがましい』という説明とともに、『そういうの、日本では「毒親」って呼ぶんでしょ?』とこの言葉自体を作品中に登場させる町田さんは、”食”の描写に重ねて『毒親』をとりあげたこの作品をこんな風にも語られます。

    “食べることは前に進むことで、人は何があっても命を明日に繋ぐために食べなきゃいけない。その食事を最も一緒に摂るだろう母娘が食を通じて成長する、家族小説”

    そんな町田さんの意図通り、極めて町田さんらしい物語となったこの作品。本屋大賞三年連続ランクインは必然だと思える読み味の物語はそんな町田さんの家族を見る深い思いあってこそ誕生した物語なのだと思いました。

    『わたしには、育ててくれているママと産んでくれたお母さん、それぞれがいる』。

    そんな境遇の先に大人の階段をかけ上がっていく主人公・宙の成長を描くこの作品。そこには、”食”の描写と『毒親』に象徴される親と子の関係性を描く物語が描かれていました。人が生きていく中に”食”は欠かせません。それは、どんな関係性の家族にあっても変わらないものです。この作品では、町田さんの作品に定番となっている親と子の関係性が描かれていく物語の中に、”食”を作り、食す場面が織り込まれることで、作品が重くなりすぎるのを中和する絶妙な効果を生んでいました。町田さんならではの美しく綴られていく文章に心地よい読書の時間を味わえるこの作品。美味しそうな”食”の描写の数々に、食欲が刺激されもするこの作品。

    本屋大賞常連となった町田さん。そんな町田さんが生み出す物語の数々に、今の世の人々が思う家族の悩み苦しみ、そして喜びを見た、そんな作品でした。

  • 宙の成長と、家族の形の物語。
    読んでいて苦しい展開も多いが、まわりの人や時間が解決してくれることを教えてくれた。
    いま苦しいと感じている多くの方にとどけ。

  • 人生の中で、思い出に残るごはんとそうでないものがある。生きるために食べるだけでなく、前に進むために食べるごはん。体と心は分けることはできず、それぞれが互いに影響を与える。誰かのために作るごはん、それはまた次の人につながっていくのだろう。そう考えると、ごはんのつながりは奥深い。大切にしたい、その人を思って作る行為とものを。

  • 主人公の宙は家庭環境がかなり複雑です。
    父親はなく、母親の花野さんを慕う二つ年下のビストロサエキの「やっちゃん」こと佐伯泰弘に料理をずっと教わっています。
    花野さんの方はやっちゃんのことを全く相手にせず、他に恋人もいたのですが、なんであんなにいい人ほっておくんだろうと思うほどやっちゃんはとにかくいい人です。

    そしてこのお話は一話ごとに宙が、小学生、中学生、高校生と成長していきます。
    宙のレシピノートは中三の時になんと20冊。
    そしてこのお話は花野さんが母親になれていない人だったり、ママと慕う花野の妹の風海の心がだんだん壊れていったり上手く生きられない大人ばかり出てきて、少し嫌になってきましたが、一体、何の話なんだろうと思いながら読みつづけました。



    以下ネタバレですので、勘のいい方にはわかると思うのでお気をつけください。



    第五話で、この物語最大の事件が起きます。
    最初、あまりにもさらりと描かれているので「えっ!嘘でしょう」と思いました。
    「何で、そういうストーリーになるの?!やめてほしい!嘘だと言ってほしい!」と思いました。
    でも、その事件こそがこの物語そのものだったんだとあとで気づきました。

    宙の高校の隣のクラスの生徒で高三で退学した遠宮廻が言った言葉がこの物語を如実に表していると思いました。
    「ぼくが本を読むのは、本の中の家族愛がファンタジーみたいに感じられるからなんだ。どんな状況でも、最後には救いが用意されている。一家滅亡、全員憎しみあったまま死に絶えます、なんていう物語はめったにない。たいてい、神様の見えざる手がちゃんと掬い上げてくれてる。そんな感じがさ、いいよ。それにさ、結局みんな、大事にすべきものを見つけるじゃない?夢や希望、愛に、大切な存在なんかを」。

    宙は自分の状況を説明して反論しますが、最後は全然頼りにならなかった花野さんが立ち回って、宙は前を向きます。

    私も宙と同じで悲しみが大きすぎてなくなりはしないけど、この作品はいい物語だったといわなければいけないんだろうなと思いました。

    • まことさん
      ほん3さん♪

      ほん3さんのレビューにも、注目です(*^^*)
      ほん3さん♪

      ほん3さんのレビューにも、注目です(*^^*)
      2022/06/14
    • くるたんさん
      まことさん♪
      こちらでもこんにちは♪

      すごく読み込まれたレビューに改めて拍手です♡

      私もやっちゃん、大好き!忘れられないです。

      特別掌...
      まことさん♪
      こちらでもこんにちは♪

      すごく読み込まれたレビューに改めて拍手です♡

      私もやっちゃん、大好き!忘れられないです。

      特別掌編も良かったですね〜¨̮♡

      たくさんの人に読んでいただきたい、そんな物語だと思います。
      2022/07/07
    • まことさん
      くるたんさん♪

      やっちゃんは、いいですよね~♥️
      特別掌編は、私の近隣の図書館には、ついてなく、読めていないんです(*^^*)
      上半期のベ...
      くるたんさん♪

      やっちゃんは、いいですよね~♥️
      特別掌編は、私の近隣の図書館には、ついてなく、読めていないんです(*^^*)
      上半期のベスト3に入れるかどうか、迷ったけど、やっぱり入れればよかったかな~とか、まだ、悩んでいます。
      2022/07/07
  • 保育園女児の宙(そら)には、育ててくれる『ママ』と、産んでくれた『お母さん』がいた。
    『ママ』は夫の海外赴任に伴い、シンガポールへ。
    宙はイラストレーターで活躍するお母さんの花野(かの)と共に新生活を始める。
    ご飯も作らず、宙の世話もせず、授業参観も来ないのに恋人とデートに出かける花野に不満を募らせていく。
    そんな宙の心を温めてくれるのが、花野に報われぬ想いを寄せている後輩の佐伯(やっちゃん)。
    毎日のご飯を作ってくれて、宙の話し相手にもなってくれる(父親になってほしいように思っている……)存在。
    もう、やっちゃんが宙にとって本当に救いの存在だったことは間違いない!!
    やっちゃんは素晴らしい!!
    やっちゃんがいなかったら宙は、どうなっていただろうと考えるだけで恐ろしい…。

    登場人物のほとんどが、しんどい辛い環境で育ち、心に傷を持つ人たちばかりが出てくる。
    そんな酷い環境下であっても宙ちゃんは、親よりも大人な感じで、しっかり自分の心を保っているし、気持ちを言葉にも冷静に表せているところなどにも、凄いな、偉いな、などと感心するばかり。不登校にもならずに……。
    次々と起こる不幸の連続に、宙はもともと、しっかりしているのタイプなのかもしれないが、早くから大人っぽくならざるを得なかったのだと思う。
    そんななか、良かったのは各章毎にパンケーキや、トロトロボタージュなどの料理が出てくる構成。
    ほっこりさせるられる優しいスパイスになって効いていた。重い雰囲気の話を和らげてくれたと思う。


    これからは少しネタバレしてしまっているかもしれません。まだ、読まれていない方はご注意下さい↓↓


    第五話、最終章での展開は、私には衝撃的だった。
    直前にあった不幸な出来事に花野や、宙は大きな哀しみに苦しんでる状態だったのに……。
    ここまでできるのだろうか?と理解できなかった…。
    知り合ったばかりの人たちの前で、宙の父親の事を
    宙自身にもまだ伝えられていないことを、いきなり、しかも、赤裸々な言葉で話してしまう花野に、私はショックを受けた……
    この時の宙は高校生だが、宙がそれほどショックを受けずに受け止めてくれたことに私はとても安堵した。
    もし、私が花野の立場だったら宙のことを傷つけるかもしれないと考えて、到底話せないのだが……。

    母親であっても一人の人間。辛い環境などで
    母親として、どうしてもちゃんとできないこともある。
    そんなとき、一人で抱え込まずに前に進むこと、何とか生きていくことを考える事が大切なのだというラスト。
    このラストの場面は花野が人として、母親として成長したと感じさせられて感動的な様子を描いていた……

    いろいろと考えさせられてしまった!








    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      ペペロンチーノ、いいですね〰️!美味しいですよね〜♡最強です
      ψ(๑ꔷ؎ꔷ๑♪
      ペペロンチーノ、いいですね〰️!美味しいですよね〜♡最強です
      ψ(๑ꔷ؎ꔷ๑♪
      2023/11/15
    • mihiroさん
      Manideさーん、チーニャさーん♡♡
      こんばんは(^o^)/
      おぉ〜Manideさんも読まれたんですね〜!!
      やっちゃん最高でしたよね( ...
      Manideさーん、チーニャさーん♡♡
      こんばんは(^o^)/
      おぉ〜Manideさんも読まれたんですね〜!!
      やっちゃん最高でしたよね( ; ; )
      もう、なんで〜、うそやん、やめて〜〜でした(TT)
      つぶやいちゃうのも分かります。
      突然でしたもんね〜。。
      料理の出来る男の人はやっぱり素敵ですね✩︎⡱
      ペペロンチーノ出来るのもスゴいです♪
      Manideさんの感想も読みに行きますね〜✌︎(๑˃̶͈̀◡︎˂̶͈́๑)✌︎
      2023/11/15
    • Manideさん
      お2人にペペロンチーノを褒められて、ちょっと嬉しい私です(笑)
      我が子が唯一リクエストしてくるのがペペロンチーノなんですよね。

      なんか、パ...
      お2人にペペロンチーノを褒められて、ちょっと嬉しい私です(笑)
      我が子が唯一リクエストしてくるのがペペロンチーノなんですよね。

      なんか、パンケーキも作れる人間になろうと、、来年の目標ができました(^^)
      この作品にあるように、変わりながら、一歩ずつ前へ進んでいくことが大切ですね。
      2023/11/15
  • ブクログで評価がすごく高かったので購読。
    家族で食卓を囲む幸せを感じる、人情味あふれる作品でした。

    人と人を家族にする"ごはん"をテーマとして、母と娘の成長を描くストーリー。
    家庭環境が複雑で少し重い内容だったけど、最後に光が差して前向きな気持ちになれた。
    ビストロで働く"やっちゃん"の人柄に惹かれて、心が温かくなった。

    コンビニ兄弟シリーズに続いて町田そのこさんの作品を読んだが、著者は登場人物の細やかな感情を表現するのが上手く、感情移入して作品に惹きつけられ、読後は心温まった。

    著者の他の作品をこれからも読んでいきたい。


  • ◇◆━━━━━━━━━━━━
    1.感想 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    家族と、ご飯がキーワードかな。
    登場人物に対して、「いい人」、「わるい人」、という感情が湧いてきますが、それが、「あれっ」という感じで変わっていきます。めまぐるしくその人に対する感情が変わっていくのは現実の世界でもあるのかな…

    「カレーの時間」を読んだ時にも思いましたが、背後に隠れたいるものや、前提が見えてくると、人に対する印象は大きく違ってきます。そんなところまで見て人と接するのも疲れるので、みんな、オープンでいこうよ、、、と常に思います。

    この物語は、かなりキツイ感じでした。
    ネグレクトや虐待といった家庭環境で育った人たちがたくさんでてきて、もう、最悪のオールスターといった感じでした。そのため、読んでいることがキツかったです。

    そんな中でも美味しいご飯を食べることで、人の優しさに触れて、皆、前を向いていきます。登場人物のやっちゃんは、そんな優しいご飯を作ってくれる素敵な人でした。こういう人みたいに、優しさを持って、人と接することができれば、それは素晴らしいことだな〜と思います。

    ほんと、キツイ部分が多いですが、登場人物たちが、変化して、前に進んでいくところが、よい読後感となりました。


    ◇◆━━━━━━━━━━━━
    2.あらすじ 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    母の妹に育てられた宙。
    母花野の破天荒な生き方に振り回されながらも、周りの人に支えられながら懸命に生きていきます。

    謎に包まれた母との生活をとおして、しっかりと一歩を踏み出し、自分の掲げる目標に向かっていく宙。

    家族とは何かを考えさせられる作品です。


    ◇◆━━━━━━━━━━━━
    3.主な登場人物 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    ■川瀬家
    宙 そら
    花野 母、カノさん、真っ白な肌、艶やかな黒髪、華やかな顔、アーティスト

    佐伯恭弘 やすひろ、やっちゃん、花野後輩、恋人、すごいいい人、シェフ、料理上手
    柘植 つげ、花野恋人
    智美 恭弘妻
    直子 恭弘母

    ■日坂家
    風海 ふみ、花野妹、育ての母、几帳面
    萌 めぐむ、従姉、姉的存在
    日坂康太

    ■幼少時代
    大崎マリー
    二郎 乱暴者
    隆介
    廣木 保育士

    ■小学生時代
    大崎マリー 厳しい母を持つ、柘植孫
    瑚幸 こゆき、1番の仲良し
    元町勇気
    葛西哲郎

    ■中学生時代
    神丘鉄太 てった、宙彼氏、離婚して病気がちの母を持つ
    槇原樹里
    香里
    小松真治
    大沢眞子

    ■高校生時代
    遠藤奈津子
    遠宮廻 暴力を振るう父を持つ
    三城奈々
    和田ヒロム 犯罪者の父を持つ
    和田雅美 ヒロム母

    • かなさん
      Manideさん、こんばんは!
      落ち着いて読書もできるようになりましたか?
      お疲れ様でした(*'▽')

      この作品、いいですよねぇ~...
      Manideさん、こんばんは!
      落ち着いて読書もできるようになりましたか?
      お疲れ様でした(*'▽')

      この作品、いいですよねぇ~♪
      特に、やっちゃん(*´▽`*)♡
      いい人すぎます!!

      でも、私の中で推しがたくさんできてしまって
      大変なことになってます(汗)
      これも、幸せなことなんですけどね♪
      2023/11/15
    • Manideさん
      mihiroさん、こんばんは〜

      やっぱり、やっちゃんですよね〜

      悲しすぎですよ、ほんと、そりゃ〜ないだろ〜になりますよね〜

      なんか、い...
      mihiroさん、こんばんは〜

      やっぱり、やっちゃんですよね〜

      悲しすぎですよ、ほんと、そりゃ〜ないだろ〜になりますよね〜

      なんか、いろいろキツかったですが、ほんと、ラストに光が見えたのがよかったです(^^)
      2023/11/15
    • Manideさん
      かなさん、コメントありがとうございます〜。
      落ち着いて読書できるようになりました。
      いろんなことが上昇傾向にあって、いい感じです。

      が、、...
      かなさん、コメントありがとうございます〜。
      落ち着いて読書できるようになりました。
      いろんなことが上昇傾向にあって、いい感じです。

      が、、、いきなり、この物語はキツかったです。
      ここまで心を折られ続けたら、なかなか前を向いて歩き出せないですよね。

      それでも、読み終わって、私も頑張ろう、という気分になりました(^^)
      2023/11/15
  • 読んでて、なぜか「そしてバトンは渡された」を思い起こした。
    トーンが全然違う作品だけど、辛い境遇を生き抜く主人公の明るさや強さが共通しているのかも。

    話は入りやすいし読みやすい文章。しかし内容は結構ヘヴィ。
    育児困難、毒親、ヤングケアラーなど家族の課題が、これでもか、と詰め込まれているので、後半はキャパオーバー気味になってしまった。

    かけがえのない人を生かしていくための料理。

    ごはんはいのちをつなぐもと。
    たとえ、時間に追われた手抜きであっても、食べる人を思う気持ちが少しでもあれば、それは確実にその人を育む栄養になる。

    僕も最近はよく料理をするのですが、そんなことを考えてました。


    さて、本屋大賞ノミネート作品10冊をを読み終えました。
    個人的順位は以下のとおりです。

    1位 爆弾
    2位 ラブカは静かに弓を持つ
    3位 川のほとりに立つ者は
    4位 宙ごはん(←本作)
    5位 光のとこにいてね
    6位 君のクイズ
    7位 月の立つ林で
    8位 方舟
    9位 #真相をお話しします
    10位 汝、星のごとく

    でも「爆弾」は本屋大賞っぽくないんだよな…なんとなくの印象だけど。
    だから、今年の大賞は「ラブカは静かに弓を持つ」と予想しておきます。

    発表は明後日。さて。
    皆さんの予想はいかがですか?

  • 佐伯のやってる事は見方によってはお節介。でもそのお節介に救われる人もいる。同じように誰かの助けになりたいと思うほどに。

    ここまで人情深い人っているかな。
    私にはできないなー。寄り添いたい気持ちはあっても、拒絶されたら嫌だなと考えてしまう。

    だけど佐伯の気持ちはしっかりと宙に伝わった。
    宙が救われたパンケーキ、最終章で出て来た時にはやられた。
    なるほどここでこう来るか!!と。
    いやはや、、、涙涙でした。

  • ずっと気になっていた本。
    複雑な家庭環境の中で成長していく主人公宙が描かれている作品。
    個人的な話、最近この手の本をよく読んでいるため(たまたま)、比較してしまうところがあるが、本作品は宙に手を差し伸べる周りの人達が良い方向へ宙を導いてくれる類いである。
    自分を構成する上で自分の周りにいる人達の質というのはとても重要であるため、いわゆる良い人を置いておきたいわけだが、ただその自分が良いと思っている人達にも知られない裏側があるんだよな〜、、という月並みの感想はさておき、この本、都合の良すぎる展開の連続で途中で感情が冷めてしまいました。
    とはいえ、描かれている内容から伝わってくるものはありますし、重ための題材ですが読みやすくなっているので、多くの人にオススメはできる本です。


    面白いから面白くないかであれば、間違いなく面白い本なのですが、読み終えてなんだかパッとしない気持ちになったので辛口レビューです。
    読了後に視界が広がる感じがしないというか、物思いに耽ることがないというか。。。
    読書って難しい。

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著者プロフィール

町田そのこ
一九八〇年生まれ。福岡県在住。
「カメルーンの青い魚」で、第15回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。二〇一七年に同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュー。他の著作に「コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―」シリーズ(新潮社)、『うつくしが丘の不幸の家』(東京創元社)などがある。本作で二〇二一年本屋大賞を受賞。
近著に『星を掬う』(中央公論新社)、『宙ごはん』 (小学館)、『あなたはここにいなくとも』(新潮社)。

「2023年 『52ヘルツのクジラたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

町田そのこの作品

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