- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093866507
作品紹介・あらすじ
さんずが死にきれない者の背中に忍び寄る 彼らは三途の川の渡し守ーーー自殺幇助業者<さんず>が死にきれない者たちの背中にそっと忍び寄る。第13回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家・降田天が描く限界突破ミステリー。生きづらさを抱える人々の背景にある壮絶なドラマを抉り出す。(ストーリー)<さんず>の専用ホームページに出てくる二つのコース、「よりそいプラン」と「もろともプラン」。申し込みの際、いずれかのプランを選ぶと<さんず>に導かれ、思いがけない結末へと誘われる。●店長のパワハラ・セクハラに心を壊されたコンビニ店員の末路は●刑務所に収監されている男を思い続ける女の選んだ道は●ある富豪から蝶のコレクションの譲渡先を見つけて欲しいと依頼が入り・・・●さびれた居酒屋店主が借金を苦に・・・・●赴任先の学校で、上司の玩具にされた女性教師が追い詰められて・・・・連作短編全5篇。死を望む者の最後の砦<さんず>を通して、生きることの意味を問う。 【編集担当からのおすすめ情報】 「このミス」大賞受賞、推理作家協会賞受賞など数々の受賞歴で大注目の作家・降田天氏が満を持して世に送り出す限界突破ミステリー。数々のミステリー作品を発表してきた降田氏が、今回テーマに掲げたのは「自ら死を望む人」。冒頭からちりばめられた伏線と最終話で明かされる<さんず>の真実。読み出したら止まらないこと必至!是非ご覧ください。
感想・レビュー・書評
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フィクションだから面白く読めたが、随分とタブーに踏み込んだ作品だ。
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結局人間って行き詰った時の視界は前の壁しか見えないけど、何かの要因で上を見上げたら空が広がってるかも知れないし、救助ヘリが居るかも知れない、様々なまだ見えてない要素があると示唆してくれてる。
後日談も少し気になる感じの余韻の残し方は流石だな。 -
久しぶりに小説を読んだ。
自殺幇助会社の話。
この話を読んで希望が持てる訳ではなく
特別不思議で面白い訳でもなく
読み終わってどう感じたらいいのか分からない本
でも少しの希望を感じる事は出来るのか
人が生死を選択するのはほんの少しのキッカケ
次第で、未来を選ぶのは自分だ‥的な? -
自殺幇助業者、その名は「さんず」。
死にきれない者達の元に届くQRコードのみが印刷された名刺大の白いカード。
そこにアクセスし、必要事項を入力すれば彼らはやって来る。
スガとカトウと名乗る謎の男性二人組。
自殺志願者の願いを叶える彼らは神か、それとも悪魔なのか。
5話の物語には、それぞれ事情は異なるが、死にたくても死にきれない人達が登場する。
人生に心残りがある人。
生き辛さに苦しむ人。
死と真っ向から対峙する事で、浮き彫りにされるのは、それまで自身ですら気付く事が出来なかった本当の気持ちだ。
心の中の闇を炙り出す死小説。 -
設定も内容も、漫画か深夜帯のドラマみたいだな〜と思いながら読み進めた。
そうしたら、最後の方でカトウが「〈さんず〉が漫画だろ」と言って、なんだ自覚あるのかと、可笑しかった。
面白くなったのは4話の終わりから5話だった。
一話完結もののようで、最後にスガの物語を通じていろいろ明かされてまとめられている。
私だったら自殺する前の心残りは何を依頼するだろう。
私の自殺を妨げている事は何だろう。
カトウならそれを見抜いてくれるのだろうか。
〈さんず〉が目を付けてくれるほどには「死にたい」と思っていないのかもしれないな。 -
自殺幇助の会社、さんず。話の展開が読めず、読み進めたら1日で読み終えてしまった。死ぬ自由もあっていいのかもしれないけど、やっぱりどこか歪んでる。死ぬこと考えずに済むのが1番いいよね。
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社長それは…って思ってたらやっぱりそうか。
漫画だね。 -
面白かったです。
いやーな空気感で
人の汚くて冷たくて恐ろしくて怖い一面を
これでもかと見せられる。
心の奥底にある死にたいという
深層心理をわざわざ呼び起こさせ
死に追いやる。
いい気分で読める物語ではないけれど
人怖な小説で面白かった。 -
死にたい、だけれど自殺する踏ん切りがつかなくて悩む人のもとへ届けられる謎めいたカード。そこからアクセスできるのは、自殺幇助業者である「さんず」のホームページ。自死の妨げとなるものを取り払い、後押しをして見届けてくれる「よりそいプラン」と、自死を物理的に手助けする「もろともプラン」から成り立つサービスで、死にたい人たちは無事(?)自殺することができるのか、それとも……?
自殺幇助業者の物語だけれど、もちろん自殺を賛美したり推奨するものではありません。しかしだからといって頑なに「自殺は絶対にダメ!」という物語でもなく、奇妙な優しさのようなものを感じました。そりゃあどうしても自力では解決できない問題があって、思い詰めた人は無理でしょうが。そうでない人ならこのように未練を取り除いてもらうだけで、前向きになれることもあるかもしれない。弱った人に寄り添ってくれるという意味では、案外とこのような仕事は悪くないのでは、と思ってしまいました。ただ、「さんず」が作られた理由がちょっとアレではあるのですが。それでもそんなに嫌な気分はしないなあ。
お気に入りは第三話。死を前にして自分の大切なコレクションを譲り渡したい相手の条件を厳しく指定する富豪の謎が魅力的でした。前代未聞の自殺方法もインパクト大です。