Q

著者 :
  • 小学館
3.42
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本棚登録 : 1201
感想 : 98
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  • Amazon.co.jp ・本 (672ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093866996

作品紹介・あらすじ

圧倒的な「いま」を描く、著者史上最大巨編 千葉県富津市の清掃会社に勤める町谷亜八(ハチ)は、過去に傷害事件を起こし執行猶予中の身だ。ようやく手に入れた「まっとうな暮らし」からはみ出さぬよう生きている。唯一の愉しみは、祖父の遺したアウディでアクアラインを走ることだった。ある日、血の繋がらない姉・ロクから数年ぶりに連絡が入る。二人の弟、キュウを脅す人物が現れたというのだ。 キュウにはダンスの天賦の才があった。彼の未来を守るため、ハチとロクは、かつて、二人の人物を殺害していた。折しも、華々しいデビューを飾り、キュウは一気に注目を集め始めたところである。事件が明るみに出ればスキャンダルは避けられない。弟のため、ハチは平穏な日々から一歩を踏み出す。 一方、キュウをプロデュースする百瀬は、その才能に惚れ込み、コロナ禍に閉塞する人々を変えるカリスマとして彼を売り出しはじめた。<Q>と名付けられたキュウは、SNSを通じ世界中で拡散され続ける。かつてない大規模ゲリラライブの準備が進む中、<Q>への殺害予告が届く――。 抗いようのない現実と、圧倒的な「いま」を描く。世界をアップロードさせる著者渾身の一作。 【編集担当からのおすすめ情報】 直近の三作品が直木賞にすべてノミネート、2022年発売された『爆弾』でミステリランキングを席巻。著者の最新作は、圧倒的なスケールとスピードをはらんだ傑作となりました。発売前から書店員さんのあいだで話題沸騰。2023年、最大の注目作です。

感想・レビュー・書評

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  • 直近3作品がすべて直木賞候補の著者による最新長編。スピードと熱狂に没入するエンタメ×サスペンス。

    令和のエンタメ業界を舞台にして「圧倒的な「いま」を描く」。

    芸能界の裏、SNSインフルエンサー、コロナ禍、アメリカのQアノン、カルト政治家。
    我々の「いま」と重なり、物語が眼前に迫る。

    美貌と天性の魅力を持つ19歳のダンサー町谷侑九(たすく)、通称<Q>に引き寄せられ、怪しげな業界人やアウトローが蠢くスリリングな展開に手に汗握る。
    やがて<Q>はインフルエンサーを超越し偶像となり、すべてが収斂していく——。

    ダンスパフォーマンスを見事に文章に昇華している。Qに魅せられる人間たちの描写にも厚みがあり、説得力を増している。

    突き放したラストは、人によって異なる感想を持つだろうが、あれで良いと感じた。
    ぜひ、今(!)読んで欲しい作品です。

  • 長女の睦深(ロク)、次女の亜八(ハチ)、末の弟の侑九(キュウ)は血のつながらない姉弟です。
    父が連れ子のいるシングルマザーと3回結婚しています。
    女性とは別れ子供だけひきとったのです。

    千葉県の冨津市で三人は仲の良い幼少期を違う母親の元で過ごします。
    キュウは19歳になった時、天才ダンサーとしてデビューしています。

    しかし清掃会社で働くハチの元に男性と同棲しているロクからキュウの命が狙われていると連絡が入ります。

    なぜキュウが狙われているのか…?
    それがわかったところまでが第一部。

    第二部、第三部はネタバレになるので、省略します。




    あらすじを読んだ時非常に面白そうだと思い、すかさず本棚登録していましたが、図書館予約はせずに購入しました(600p超あるのでちょっと高かったですけど)。
    読んで面白かったら姪に送ってあげてもいいかなと思っていましたが、これはまだ未成年の姪には読ませたくないと思いました。
    そういう描写が多いです。

    血のつながらない姉弟と天才ダンサーの物語なんて、著者の呉勝浩さんにしては何か少女漫画っぽい設定だと思って読んでいたら、最後の最後は一体どうなるのかハラハラしました。
    少女漫画ではなかったけれど、ミステリーであり、純愛小説でもあると思いました。

  • 鬼★5 不条理な世の中に抑圧された若者の咆哮と乱舞、ダーク&セクシーさに酔える傑作 #Q #呉勝浩

    ■きっと読みたくなるレビュー
    これ文学賞とらないとウソだと思うわ。

    人がめっちゃ書けてて、スケールがおっきく迫力満点、最後にはじんわりと胸を突く。作品全体からダークな雰囲気が漂ってきて、吐き出される台詞はクールでセクシー。不条理な世の中に抑圧された若者たちの咆哮と乱舞が力強く、もう完全体。痺れっぱなしです。

    映像化されたら、それはもう美しくインパクトのある内容になるでしょう。でも原作の文字だけで十分じゃない?そして原作レベルの表現は無理じゃない?というほど、圧倒的に「強い小説」だと思いました。

    〇キャラクター
    睦深、亜八、侑九、健幹、他にもたくさんの登場人物がいますが、全員がカッコイイ! ひとりひとりが全く違う魅力を持っていて、こんな風に生きられたらな~と憧れてしまう。

    メインの三姉弟がイケてるのは分かるんですが、一見普通のキャラたちも素晴らしいんです。チョイ役のような存在や、むしろ嫌な奴ですら、惹きつけられてしまいました。

    特に推したいのは健幹。Qに関わったことで、どれだけ人間としてランクアップできたか。ひょっとすると彼の成長が本作一番の読みどころかもしれません。そのくらいイイ。

    三姉弟については、あまりに良すぎてもう語れない。心情描写が深い深い、底なしに深い。心に染みるレベルがエグすぎんのよ。どんなにキツイ障害があっても立ち向かっていく様子にもうマジ泣ける。読者としてはただ読み進めることしかできなくなっちゃう。Qのダンスを見たときのように、完全に行動が奪われてしまいました。

    〇ダンス&アクションシーン
    文章からグルーヴが伝わってくる、まるでその会場にいてダンサーを見ているかのようなんです。軽快なリズムで織りなす文字列に酔っちゃう、この筆致はすげぇ!ドキドキ感がハンパないです。もちろん私は全く踊れませんが、もし若かったら挑戦したくなったかしら…と、安易に思ってしまうほどカッコ良かった…

    〇日本の病気
    2020年に蔓延したコロナ、世の中で発生した様々な影響。本作ではこの時代を舞台に進行していく。しかしこの病原体だけでなく、日本経済や格差社会、貧富の差が強烈に描かれているんです。良いところもいっぱいある日本ですが、醜く汚く、隠れた癌も存在する。子どもや若い世代のためになる社会づくりを願わずにはいられません。

    〇物語の終盤が鬼エグ
    壮大なスケール、パワフルかつ緻密、グルーヴ感満載で超高速スピーディ。ひっ迫した場面展開とキャラクター交錯が激しく、これはどうなってしまうんだ?!と心が乱される。こんなにも大迫力の文章かける作家先生は少ないと思います。このシーンは控え目にいって必読ですよ。

    はー、すごい作品だった。もう年末も近いですが、今年のトップレベルですね。ちなみに初版限定のスピンオフ掌編も、色んな意味で気が効いた作品です。本編を読了してから読みましょうね。

    ■ぜっさん推しポイント
    睦深と亜八、タイプはまるで違うけど、侑九を想う気持ちがどっちも本気すぎるのよ。こんなにも総毛が立つ純愛は久しぶりに見ました。東野圭吾先生の『白夜行』以来かもしれない。

    私は誰が何と言おうが睦深を推したい。行動だけみると狡猾でしたたかな女性にも見えますが、自らのすべてを犠牲にする覚悟を胸に秘め、ただ前に進んでいくんです。この魂をかけた真面目さと、人生を懸けた勇気のある判断に、すっかり虜になってしまいました。

    薄暗い世の中であっても、若い世代みんなが輝きを放ってる、味わいが深い素敵な作品でした。

    • autumn522akiさん
      りまのさん、コメントありがとうございます!おはようございます^^
      おめ目の調子が良くないとのこと、早く治ることを願っております。
      無理せ...
      りまのさん、コメントありがとうございます!おはようございます^^
      おめ目の調子が良くないとのこと、早く治ることを願っております。
      無理せず大切にご自愛ください。

      重厚感たっぷりの本なので、回復されたらぜひぜひ読んでみて下さい~
      2023/11/30
    • りまのさん
      Autumn522akiさん、こんばんは
      あたたかいお言葉を、ありがとうございます!ぜひぜひ、目が良くなったら、この本、読みます!楽しみにし...
      Autumn522akiさん、こんばんは
      あたたかいお言葉を、ありがとうございます!ぜひぜひ、目が良くなったら、この本、読みます!楽しみにしています。
      今は、音楽を楽しんで聴いています。すみっコぐらしのマンガを、少しずつ、見てたりしています…。白内障の手術をする予定なのですが、ドライアイがひどいので、目薬を貰い、3ヶ月後にもう一度診察することになってます。目は、手術すれば良くなると目医者さんに言われているので、大事にして、待っていようと思います。(*^^*)
      本当にありがとうございます!
      2023/11/30
    • autumn522akiさん
      現代医学は素晴らしいので、きっとすっかり良くなりますよ!
      今は音楽を楽しみながら、お大事にしてください^^
      現代医学は素晴らしいので、きっとすっかり良くなりますよ!
      今は音楽を楽しみながら、お大事にしてください^^
      2023/11/30
  • 先ず、長っっっげぇよ!!覚悟はしていたけれども笑
    これだけ長いと浮き沈みが激しくて、感情が追いつかなくなって疲弊して、読むのが苦痛になってくるんですわ。でもね、引き込まれるのよ。最終章は一気でした。どこにでもある話ではないです。
    『爆弾』が刺さらなかったのでどうかなぁと思いながら読み進めましたが今作も私には刺さらんかったです。
    これから読もうとしている方は、覚悟を持って臨んだ方が良いかと思います。他の本に逃げて、また戻ってを繰り返して下さい。

  • 呉勝浩さんは、読者が読み終わった時、体温が1度上がっていることを目標に小説を書いているのだという。
    僕はこの本を読み終わったとき、たぶん体温が2度くらい上がっていたと思う。

    血のつながらない3人のきょうだいが主要登場人物だ。
    過去に傷害事件を起こし執行猶予中で清掃会社に勤める町谷亜八(ハチ)。
    亜八と同い年の姉で輸入雑貨の会社で働く町谷睦深(ロク)。
    ダンスの天賦の才を持つ少年、町谷侑九(キュウ)。

    3人には後ろ暗い過去があるが、キュウは「Q」として、ダンスパフォーマンスが世界的に動画配信されカリスマ的存在となってゆく
    ーそして…

    呉さん曰く、「悪人」(by吉田修一さん)×BTS×「AKIRA」(アニメ)の世界観を持つ恋愛小説。

    それだけ聞くとなんだかよくわからないけど、2023年ってそういう空気感の年だった気がする。
    2024年は能登の地震やら株価史上最高値更新やらで、全く様相が異なってきているから、今初読みすこし懐かしく読めるかもしれない。

    とにかく頭と心がめちゃくちゃに揺り動かされ、感動して思考停止に陥る。
    強烈なエンタテイメントを欲している人は是非読んでほしい。

    ♫Into the Endless Night/Parannoul(2022)

  • 圧倒された。
    心を揺さぶられるような感覚を何度も何度も味わった。
    この「Q」の世界観が凄すぎる。
    「Q」から目が離せなくなる。
    みんなを虜にする魅力の根源は何だろうか⁇と思いながらページを捲る手がとまらなかった。

    血の繋がらない姉と弟の人生は、決して平坦では無くて、非情で無情とも思われた。
    少し間違えればまともに生きていくことすらできないような生活の中で生きてきた彼らだからこそ、成功と幸福を手に入れてほしいと思いながら読破したのだが、この壮絶さと迫力にまるで違う世界へ放り込まれたような虚脱感が残った。

    幾つもの罪と目を覆いたくなる場面描写もあるのだが、それを帳消しにするほどの壮大な魅力をみせてくれる「Q」の美しい動きを表現しているところに凄さを感じた。
       

    ラストの朝陽が差し込みかけた路地で、ハチを見かけてステップを踏み身体を揺らす彼の姿にことばは要らない。




    睦深(ロク)
    亜八(ハチ)
    侑九(キュウ)「Q」
    彼らの物語は最高だった。



  •  呉勝弘さんの作品で「爆弾」が結構面白かったこと、この表紙に惹かれたこともあって読むことにしました。読みだすと…もう止まらない感じ!年末の大掃除したかったけど、つい読むことに夢中になってしまいました。

     この作品は血のつながりのない町屋3姉弟(長女の睦深(ロク)、次女の亜八(ハチ)、弟の侑九(キュウ))と、長女ロクの夫で建幹が主に登場します。弟のキュウはダンスの才能があり、Qとしてデビューを果たしています。それを応援する形で、2人の姉、ロクとハチは自らの立場や生活をも犠牲にしつつキュウに肩入れしていく…。

     600ページを超す大作ではありましたが、Qが踊る場面と、ロクとハチ、そして建幹の痛いくらいQにのめり込むようになる描写…鬼気迫るものがありました。でも、エンディングはそれまでの激しい感じとは背反して穏やかなものになっていると感じます。このあとの展開が気になるところですが、そこは想像力を駆使して妄想するしかないかな…。スゴイなぁ…呉勝浩さんの作品って…いつか、「スワン」も読んでみたいです。いつか…です(^-^;

    • かなさん
      1Q84O1さん、おはようございます!
      私もそう、常に予約数上限いっぱいなんです(涙)
      私がよく利用する図書館は、予約7冊だけだから…
      ...
      1Q84O1さん、おはようございます!
      私もそう、常に予約数上限いっぱいなんです(涙)
      私がよく利用する図書館は、予約7冊だけだから…
      せめて10冊とかにしてもらいた~い!!
      そして、今休館中だし掃除もしなきゃだし、
      貸し出し可能になった作品も取りに行けません(ノД`)・゜・。
      2023/12/29
    • 1Q84O1さん
      ありゃ!?予約7冊ですか…
      それは辛いですね
      うちは10冊までオッケーです!
      っていうか、予約の上限をなくして欲しいです!w
      うちの図書館も...
      ありゃ!?予約7冊ですか…
      それは辛いですね
      うちは10冊までオッケーです!
      っていうか、予約の上限をなくして欲しいです!w
      うちの図書館も閉館中なので、かなさんと同じく貸出可の本が取りに行けなーい!(ノД`)シクシク
      2023/12/29
    • かなさん
      1Q84O1さん、おはようございます!
      いいなぁ~10冊予約できるんですねぇ…
      激しく、羨ましいっ!!
      10冊予約できればどんなにいい...
      1Q84O1さん、おはようございます!
      いいなぁ~10冊予約できるんですねぇ…
      激しく、羨ましいっ!!
      10冊予約できればどんなにいいことか…
      1Q84O1さん、贅沢ですよぉ~(;・∀・)
      2023/12/30
  • 度数の強いお酒を飲んでしまった気分。
    気分良く酔わせられてしまう。
    これが文字だけで作られる映像の世界だなんて!
    頭がくらくらしました。

    天才的な才能を持つ少年、侑九 (たすく)。
    彼が纏うダンサーとしての魅力。
    そこに潜む凄まじいまでの吸引力。
    常軌を逸した環境。
    狂気に満ちた愛の渦。
    周りに嵐を巻き起こしつつ
    当の本人は常に無風の中に立つ。
    神々しいくらいに。

    暴力的といえるほど緻密な表現の力。
    圧倒されっぱなしの660ページ。
    ところが、最後の数ページは
    信じられないくらいに静謐。
    これは、やられちゃいます!

    怪しい雰囲気で登場した有吉くん。
    いい味を出して物語を軟着陸させてくれました。

    これは愛の物語だったのね。

    • ハッピーアワーをキメたK村さん
      しずくさん

      初めまして(^O^)
      私も最近腰が何となく痛いんです
      気をつけようっと
      運動不足とかストレッチしないからとか太ったからだと思っ...
      しずくさん

      初めまして(^O^)
      私も最近腰が何となく痛いんです
      気をつけようっと
      運動不足とかストレッチしないからとか太ったからだと思っていたんですけどね
      私も立ち読み?の仲間に入れてください

      今仕事帰りでバスの中なんですけど、雪の為道が混雑していて、普段30分で着く所60分かかるそうです
      バスが全然前に進みません
      座れたから良いのですが…

      しずくさん、フォローさせて下さいね
      よろしくお願いします(๑・̑◡・̑๑)
      2024/02/05
    • yyさん
      ハッピーアワーさん

      おはようございます。昨夜はたいへんでしたね。
      お疲れ様でした。
      雪の影響はまだ続いているのでしょうか?
      お気をつけてね...
      ハッピーアワーさん

      おはようございます。昨夜はたいへんでしたね。
      お疲れ様でした。
      雪の影響はまだ続いているのでしょうか?
      お気をつけてね。
      2024/02/06
    • ハッピーアワーをキメたK村さん
      y yさん

      ありがとうございます
      昨日、バスに乗っていた時間は3時間となりました
      さすがに腰が痛くなりました
      首都高の閉鎖、慣れない雪等道...
      y yさん

      ありがとうございます
      昨日、バスに乗っていた時間は3時間となりました
      さすがに腰が痛くなりました
      首都高の閉鎖、慣れない雪等道路が大渋滞
      結局職場から4時間かけて帰りました(><)
      今日は早めに家を出ましたが、普段通り運行していました
      2024/02/06
  • 『爆弾』は強烈なサイコパスによる引き込みこそあれ、どちらかというとわかり易い警察小説だった。
    打って変わって、こちらは一体全体何の話なのか暫く全貌が見えて来ない。
    母親をそれぞれ異にする町谷3姉弟のロク(睦深[むつみ])、ハチ(亜八[あや])、キュウ(侑九[たすく])の物語。

    序盤は、地元の不良グループに夜な夜な痛めつけられていた黒い過去を持ち、現在は傷害罪により執行猶予期間中のハチを中心に、粘着性の強い悪意と暴力、不安が付きまとう、ノワールな展開。
    そこに入る7年振りのロクからの連絡。「キュウのことで話がある。会って。」

    当時不良グループの使いっ走り、呼び出し場への連行役だった腐れ縁の有吉に連れられ、キュウに只ならぬ興味を示す成金百瀬との会合を持った後、ロクとの再会で聞かされる「百瀬はキュウを自分のものにしようとしている」。
    社会の闇のどこに突き進んで行くのかと不穏さばかりが高まるのだが、物語は天性のダンスの才能を持ったキュウ(Q)のダークな偶像化計画へと進んでいく。

    そこからはQを崇め、Qに魅せられた人々のQへのカルトな賛歌。
    ロクであれ、ハチであれ、その他の登場人物のほとんどがQの完璧なゆらぎを備えた一挙手一投足に陶酔していく。
    呆れる程の無邪気、無神経、無感覚っぷりを示す中に、恐ろしい程の人心掌握スキルを有するQは、まさに神。

    とはいえ、ストレートなQののし上がり物語だけでなく、Qを巡るロクとハチの対立だったり、Qを食い物にしようと暗躍する裏/表社会の人々だったり、コロナ禍を舞台にした世間の不安の高まりや、当時の状況(クイーンエリザベス号、緊急事態宣言、オリンピック延期etc)が取り込まれており、気付けば『爆弾』とはまた一味違ったリーダビリティーの虜になっていた。
    沢山の転換点、切れ場が用意されており、1クールのドラマとして放送されたら結構面白そうだなぁとも思った。

    ハチと有吉の関係性も過去の経緯から考えると謎が多かったのだが、だんだんと不思議と心穏やかな気持ちになる自分が居て、このサイドストーリーも好きだった。

  • 呉さん曰く、『Q』は恋愛小説らしいです
    著者エッセイでこのように書かれていました


    さあ、やるぞと一行目から書き出して、すぐに恋愛小説ではなかった
    不穏な香りしかしない
    せっかく書いたのだから、もう少し続けてみよう
    いつか恋愛小説に合流する可能性もなくはない
    (いやいやいや、呉さんこの地点で合流の可能性はないでしょ!w)


    プロットを立てずに書いていき、主人公を登場させ、会話をさせ、バックグランドを決めて、あれこれと…
    過去のいじめ、父親との確執、ドラッグに溺れる日々…
    おかしい、全然恋愛小説にならない
    (そりゃそうでしょ!w)
    (恋愛小説の要素がないですもん!w)


    キュウという少年が現れて、ようやく恋愛要素が見つかった
    うん、いけそうだ
    若者たちの暗い青春をベースに、犯罪小説風恋愛小説にすればいい
    (呉さんまだ諦めてないんかーい!w)


    しかし少年が踊りだし、全部がおじゃんになった
    (いやもう恋愛小説は諦めなさいよ!w)


    いや、恋愛小説であるのだ
    少なくともそう呼んで、詐欺にならない程度には
    (その呼んでる地点で恋愛小説じゃないです!w)


    もしも恋愛という現象を、「あなたとわたしをイコールで結ぶ異様な情熱」と定義するなら、本作は恋愛小説と呼べるだろう
    もっともわたしは、そんな定義を聞いたことないけれど
    (やっぱり恋愛小説でないじゃん!w)


    と、まぁ…、
    『Q』が恋愛小説かどうかはさて置き、個人的には絶賛とまではいかないが読み出したら止まらない作品でした
    どんどん読まされてしまう
    読み出したら「今日はここで終わろう」ができない

    あれ?

    これかなり褒めてますよね!

    これ絶賛ですよね!


    けど…、評価は★3
    やっぱり絶賛ではないw

    • ultraman719さん
      え〜!
      メルカリで買お!(^_^)v
      え〜!
      メルカリで買お!(^_^)v
      2024/03/22
    • mihiroさん
      一休さ〜ん、出遅れました〜ε=(> . <)」
      これジャケットカッコいいですよね〜♪♪
      へぇ〜!プロット立てずにってスゴいですね!
      いつの間...
      一休さ〜ん、出遅れました〜ε=(> . <)」
      これジャケットカッコいいですよね〜♪♪
      へぇ〜!プロット立てずにってスゴいですね!
      いつの間にか恋愛ものではなくなってるみたいだけど〜笑笑
      2024/03/23
    • 1Q84O1さん
      mihiroさーん
      このジャケット良いですよ!
      カッコいいです!(≧∇≦)b
      そして、そもそも恋愛小説ではない気がしますが…(^.^;
      どー...
      mihiroさーん
      このジャケット良いですよ!
      カッコいいです!(≧∇≦)b
      そして、そもそも恋愛小説ではない気がしますが…(^.^;
      どーでしょうかね…w
      2024/03/23
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著者プロフィール

1981年青森県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業。現在、大阪府大阪市在住。2015年、『道徳の時間』で、第61回江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー。18年『白い衝動』で第20回大藪春彦賞受賞、同年『ライオン・ブルー』で第31回山本周五郎賞候補、19年『雛口依子の最低な落下とやけくそキャノンボール』で第72回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)候補、20年『スワン』で第41回吉川英治文学新人賞受賞、同作は第73回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)も受賞し、第162回直木賞候補ともなった。21年『おれたちの歌をうたえ』で第165回直木賞候補。他に『ロスト』『蜃気楼の犬』『マトリョーシカ・ブラッド』などがある。

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