アルプス席の母

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093867139

感想・レビュー・書評

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  • 面白かったです。私は高校野球ファンですが非常に興味深い内容でした。
    1人息子が神奈川から大阪の強豪校野球部に入ります。
    父母会での母親の苦労や監督との関係性など実際にもそうなんだろうなと思えるよう内容でしたね。母親の目線で実にリアリティに描かれていて、とても良かったです。

  • 甲子園を目指す高校球児と母の物語。
    前半は保護者目線の描写が多く、裏側の部分がクローズアップされていた印象。
    高校からのスカウトの方法や入学後の保護者のルールなど、実際はどうなのかわからないけど、すごい嫌悪感を感じてしまった。
    私には球児の母は務まりそうにないです…。
    皆さんのレビューがよくて、爽やかなお話をイメージしていたせいもあると思うけど、あれあれ?となってしまった。
    でも、後半は子どもたちの屈託ない野球少年っぷりが全開で、一気に気持ちよく読めた。
    あと、どうでもいいけど表紙めくったところの「本当は女の子のお母さんになりたかった」って、いるのかな?

  • 早見和真さんの作品を読んだのは、『店長がバカすぎて』、『新!店長がバカすぎて』から約1年ぶりとなる3冊目になりました。

    先の2作品も、大好きな本屋さんを舞台にしていることもあり、とても面白くて十分に楽しめたのですが、本書『アルプス席の母』は、それらを遥かに凌駕する作品として、私の心に突き刺さりました。
    本当に「読んで良かった」と言える作品で、
    早見さんはもとより、出版に携わった皆さんにも感謝したい気持ちで一杯です。

    そのような感想を持ったのも、(小説として抜群に面白かったのは言うまでもありませんが)私自身の体験・経験と照らし合わせて、共感できる多くの事柄が描写されていたことが大きいと思います。

    本書を読んでいる間、私自身が子供の頃に励んだ部活(野球)とその頃の母(その頃に父はいませんでした)、息子達が励んだスポーツクラブや部活を見守る私(役員やりました)が、意識せずともシンクロしていました。

    状況に多少の相違はあれど、数多くの方々が航太郎(高校球児)であり、菜々子(航太郎の母)であり、また、そうであったのは容易に想像できますね。

    最後に、本書はタイトルがまた秀抜で、(私のような)高校野球に思い入れのある方は、タイトルだけでも心を打たれるのではないでしょうか。

  • スポーツ小説のほとんどの主役は選手。
    だけどこの本は、それを支える〝母〟が主役として、さまざまな苦悩や葛藤を乗り越えていくストーリー。

    まさに
    「こんな小説、見たことない」

    子どもには選手目線、大人には親視点で楽しめる一冊。

  • 甲子園を目指す母と子の、さわやかで心地よいお話でした。

    人生で苦労は付きもの。
    そこで躓き諦めるのか、そこから何かを学ぶのか。
    成長著しい時期に、壁にぶつかって乗り越える経験はかけがえのないもの。
    そして壁を乗り越える強さを、子は親の背中からも感じ取っている。
    また親も子のたくましさに、勇気をもらっている。

    いつまでも応援していたくなる真っ直ぐな親子に、感動しました。

  • 題名、そして表紙を見ればわかるとおり、高校野球を描いた作品だ。ただし、いわゆる“スポーツ小説”ではない。本書は高校野球という特殊な世界に戸惑い、悩む親子を主人公とした内幕ものだ。
    夫を病で亡くした菜々子は一人息子の航太郎を女手一つで育ててきた。甲子園に行くために航太郎が選んだのは大阪にある新興の希望学園だった。寮に入る航太郎と、神奈川から大阪に移住した菜々子の新生活が始まる。
    ノンフィクションである『あの夏の正解』(未読)取材の効用なのか、保護者の意識や行動には説得力があった。

  • とても良かった。
    グッと来る場面が多く、その度に胸が熱くなった。

    スポーツ強豪校で、酸いも甘いも経験した息子と重なって、当時の事を嫌でも思い出し感情が揺さぶられた。

    監督への不満、上級生母からの攻撃、試合で負ければ往復ビンタ、成績が下がれば丸刈り。
    納得出来ない数々の理不尽に遭遇しては無理やり呑みこみ、祈る様に応援し続けた日々が蘇る。

    本作では甲子園を目指す航太郎と母・菜々子の生きざまが描かれる。
    困難を乗り越え前を向く航太郎の健やかさに心が洗われる思いだ。

    野球小説と言うより母と息子の愛情と成長の物語。

    清々しい読後。

  • 母と息子、其々に気持ちを重ね、甚く共感。前半、権力を笠に着て、ノーと言わせない野球部の悪しき風習に憤慨。野球部と航太郎の板挟みで苦悩する菜々子…『半歩近い』人間関係や理不尽な『父母会心得』が、ラストでは浄化され、清々しい親子の門出にエールを送った。

  • 高校野球を球児を支える母親目線で描く物語。

    高校の部活スポーツの中での野球の特別扱い感や、甲子園の神格化、商業主義、大人の思惑などに嫌悪を感じて高校野球は好きになれないし見ないんだけど、うちわの事情も含めて、息子に入れ込む親たちの異常な熱狂具合がよくわかる話だった。
    特に野球部の父母会の掟と、監督に渡す証拠の残らない大金のエピソードにはゾッとした。

    最後のインタビューのように、美談を強調するマスコミの報じ方も何だかな〜だし。
    読後の感想としては、ますます高校野球に魅力は感じないし、うちの息子が野球をやりたいと言い出さなかったことに感謝しかないわ。

  • 補欠の母で役員やったんですけど。補欠の親が役員やらなくて良いの羨ましい。全ての部活、親巻き込まないでほしい。(ピッチャーで4番とかの親になってたらそんな事思わないかもね)
    全体的に面白くて一気読み。

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著者プロフィール

1977年神奈川県生まれ。2016~2022年に愛媛県松山市で執筆活動に取り組む。現在は東京都在住。2008年に『ひゃくはち』でデビュー。2015年に『イノセント・デイズ』で第68回日本推理作家協会賞、2019年に『ザ・ロイヤルファミリー』で山本周五郎賞とJRA馬事文化賞を受賞。その他の著作に『95』『あの夏の正解』『店長がバカすぎて』『八月の母』などがある。

「2023年 『かなしきデブ猫ちゃん兵庫編  マルのはじまりの鐘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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