- Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093867139
感想・レビュー・書評
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面白かったです。私は高校野球ファンですが非常に興味深い内容でした。
1人息子が神奈川から大阪の強豪校野球部に入ります。
父母会での母親の苦労や監督との関係性など実際にもそうなんだろうなと思えるよう内容でしたね。母親の目線で実にリアリティに描かれていて、とても良かったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
甲子園を目指す親子の物語。
高校球児の母親でもないが、何故か共感でき何度も涙してしまう。
野球部だけではないだろうが、個人じゃなくチーム戦のスポーツはとにかく周りとの関わり方も重要であると感じた。
それに監督の影響力は大きいだろうと。
それは、球児たちだけではなく親にとっても。
甲子園というのは高校野球児にとっては踏みたい地なのだというのもよくわかる。
物語は、大阪の南部地域、羽曳野市にある高校の野球部に遠く神奈川からやってきた親子の目指せ甲子園である。
神奈川から大阪での寮生活の息子。
母も知らない土地での生活ながら高校生活の3年間の間にどっぷりと大阪に馴染み親子ともども大阪弁すら違和感がなくなっている。
強烈なのは父母会での決まり事。
反発しながらも学年が進むにつれ、なんとか改善しようとする努力はすごい。
息子も1年からスタメンを経験するも肘の故障、手術、リハビリと苦しみながらも腐ることなくメンバーの拠り所となるまでに成長していく。
高校野球最後の夏、甲子園での三回戦目神奈川県代表との一戦で先発した航太郎は、高校に入って初となる完投勝利を挙げた。
熱い夏、『母一人、子一人の甲子園』。
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甲子園を目指す高校球児と母の物語。
前半は保護者目線の描写が多く、裏側の部分がクローズアップされていた印象。
高校からのスカウトの方法や入学後の保護者のルールなど、実際はどうなのかわからないけど、すごい嫌悪感を感じてしまった。
私には球児の母は務まりそうにないです…。
皆さんのレビューがよくて、爽やかなお話をイメージしていたせいもあると思うけど、あれあれ?となってしまった。
でも、後半は子どもたちの屈託ない野球少年っぷりが全開で、一気に気持ちよく読めた。
あと、どうでもいいけど表紙めくったところの「本当は女の子のお母さんになりたかった」って、いるのかな? -
終始モヤモヤした気持ちで読み終えた。
スポーツ推薦で地元ではない私立校に行き、地元ではない県の代表として甲子園を目指す。ずーとずーと前から違和感がある世界ばかり広がっていて、読んだことに後悔。
もちろん、その世界で生きている人はいるわけで、全否定ではないけれど、スポーツで生きるには限界があり、その先の未来を高校球児のどれくらいの子がわかっているのか、わからない子たちがその先に生きる道はあるのかとか、いろいろ考えながら読み終わり。
母親菜々子の保護者会の役員話は共感だらけ。野球ではないけれど、子供の習い事、部活の親同士の関係、あれは本当に疲れた。 -
高校野球にかける親子の物語にとても感動しました。ドラマチックな展開と親目線で描かれる、息子の青春物語はきっと多くの人が涙するのかなと思いました。
本作の主人公は、シングルマザーである菜々子。彼女には1人の息子がおり、その息子は中学では有名な野球選手であった。そんな息子が、憧れの高校を倒して甲子園に出たいと望み、大阪の新進気鋭の高校に入学することを決める。そして菜々子はそんな息子を応援したいと神奈川から大阪へ移り住むことを決める。本作はそこの高校の父母会や大阪の文化に苦悩しつつ、息子を応援する3年間の母親の物語。
まず本作を読んで真っ先に頭をよぎったのは、私の兄と両親のことでした。私には1歳上の兄がおりまして、野球ではないのですが、高校サッカーで同じような体験をしました。それこそ本作に出てくるような、山藤学園みたいな強豪校が地元にはあって、私の兄は、そんな高校のライバル校でサッカーをしていました。そんな兄も主人公の息子同様、靭帯断裂という怪我を経験したり、強豪校と熾烈な争いをして全国大会に出場したりと、まさしく本作のようなドラマチックな経験をしており、両親もそんな兄を応援するため、毎回試合を観に行っておりました。
そういう、主人公たちと同じ経験をした家族がいたからこそ、本作の親の気持ちが、その当時の私の両親の気持ちとオーバーラップしたこともあって、本作がとても心に刺さりました。親の心子知らずとは言いますが、本作を通して、その当時の両親の気持ちが分かった感じがあって、私にとっては非常に良い読書体験でした。 -
早見和真さんの作品を読んだのは、『店長がバカすぎて』、『新!店長がバカすぎて』から約1年ぶりとなる3冊目になりました。
先の2作品も、大好きな本屋さんを舞台にしていることもあり、とても面白くて十分に楽しめたのですが、本書『アルプス席の母』は、それらを遥かに凌駕する作品として、私の心に突き刺さりました。
本当に「読んで良かった」と言える作品で、
早見さんはもとより、出版に携わった皆さんにも感謝したい気持ちで一杯です。
そのような感想を持ったのも、(小説として抜群に面白かったのは言うまでもありませんが)私自身の体験・経験と照らし合わせて、共感できる多くの事柄が描写されていたことが大きいと思います。
本書を読んでいる間、私自身が子供の頃に励んだ部活(野球)とその頃の母(その頃に父はいませんでした)、息子達が励んだスポーツクラブや部活を見守る私(役員やりました)が、意識せずともシンクロしていました。
状況に多少の相違はあれど、数多くの方々が航太郎(高校球児)であり、菜々子(航太郎の母)であり、また、そうであったのは容易に想像できますね。
最後に、本書はタイトルがまた秀抜で、(私のような)高校野球に思い入れのある方は、タイトルだけでも心を打たれるのではないでしょうか。 -
スポーツ小説のほとんどの主役は選手。
だけどこの本は、それを支える〝母〟が主役として、さまざまな苦悩や葛藤を乗り越えていくストーリー。
まさに
「こんな小説、見たことない」
子どもには選手目線、大人には親視点で楽しめる一冊。 -
とても良かった。
グッと来る場面が多く、その度に胸が熱くなった。
スポーツ強豪校で、酸いも甘いも経験した息子と重なって、当時の事を嫌でも思い出し感情が揺さぶられた。
監督への不満、上級生母からの攻撃、試合で負ければ往復ビンタ、成績が下がれば丸刈り。
納得出来ない数々の理不尽に遭遇しては無理やり呑みこみ、祈る様に応援し続けた日々が蘇る。
本作では甲子園を目指す航太郎と母・菜々子の生きざまが描かれる。
困難を乗り越え前を向く航太郎の健やかさに心が洗われる思いだ。
野球小説と言うより母と息子の愛情と成長の物語。
清々しい読後。 -
甲子園を目指す母と子の、さわやかで心地よいお話でした。
人生で苦労は付きもの。
そこで躓き諦めるのか、そこから何かを学ぶのか。
成長著しい時期に、壁にぶつかって乗り越える経験はかけがえのないもの。
そして壁を乗り越える強さを、子は親の背中からも感じ取っている。
また親も子のたくましさに、勇気をもらっている。
いつまでも応援していたくなる真っ直ぐな親子に、感動しました。
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題名、そして表紙を見ればわかるとおり、高校野球を描いた作品だ。ただし、いわゆる“スポーツ小説”ではない。本書は高校野球という特殊な世界に戸惑い、悩む親子を主人公とした内幕ものだ。
夫を病で亡くした菜々子は一人息子の航太郎を女手一つで育ててきた。甲子園に行くために航太郎が選んだのは大阪にある新興の希望学園だった。寮に入る航太郎と、神奈川から大阪に移住した菜々子の新生活が始まる。
ノンフィクションである『あの夏の正解』(未読)取材の効用なのか、保護者の意識や行動には説得力があった。